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【少年野球コーチ】 僕が楽しさを大切にする理由 〜 心理学・脳科学的裏付け 〜


「子どもが野球を楽しめるようにしたい!」

「子どもが野球を楽しめるようにしたい!」これが、自分が少年野球のコーチをするなかでの、最も根っことなる考えですと、先日UPした「楽しさ全開!少年野球コーチやってみました。」のなかで書かせてもらいました。


その思いはとても強く、それだけにUP後、皆さまから反響をいただいたことに、とても感謝しています。

少年野球は、野球というスポーツの入り口です。
高校・大学・社会人・プロ野球とその先を考えると、まだまだ始まったばかり、出発点なのです。

だからこそ、このカテゴリーでは「楽しくやること」が最も大切だと考えています。

もちろんこれは単なる思いつきではありません。専門家ではないですが、自分自身がこれまでに学習してきたことや実際に経験してきたを根拠にしています。

ただ、これを整理して説明するとなると意外と難しいものです。

なので、今回はその辺りを整理してみたいと思います。

「楽しくやること」の心理学・脳科学的裏付け

まずは、心理学・脳科学的に少年野球を楽しくやることの裏付けを整理してみたいと思います。

心理学…人間の心や行動、感情、思考、学習、発達などに関する科学的な研究を行う学問。主に観察や実験などの手法を用いて、心のプロセスや行動のメカニズムを理解し、予測することを目的とする。

脳科学…脳の構造、機能、発達、異常などを科学的に研究する学問。主に脳がどのように働き、行動や認知、感情がどのように生まれるのかを理解することを目的とする。

まず心理学によると、楽しい経験は子供の発達にさまざまな良い影響を与えるといいます。

1. 感情の調整:楽しい経験は子供の感情を安定させ、ポジティブな感情を促進します。これが子供の心理的な安定感に繋がります。

2. 社会的なスキル:楽しい活動を通じて、子供は他の子供たちとの協力やコミュニケーションのスキルを発展させることができます。

3. 学習への興味: 楽しい活動は学びを促進し、子供たちに知識やスキルを身につける意欲を高めます。

4. 健康への影響:楽しい経験はストレスホルモンの低減に寄与し、免疫システムを向上させる可能性があります。


次は脳科学的に、楽しい活動が脳に与える影響を見てみます。

1. ドーパミンの放出:楽しい活動や経験は、脳内でドーパミンと呼ばれる神経伝達物質の放出を促進します。ドーパミンは報酬系と関連しており、快楽や喜びを感じる際に活発になります。

2. 脳の報酬系活性化:楽しい活動は脳の報酬系を刺激し、これにより学習や行動の強化が行われます。これは楽しい経験によってその活動を継続しやすくし、ポジティブな結びつきを形成します。

3. ストレスホルモンの低減: 楽しい活動はストレスホルモンの放出を減少させることがあり、リラックスや心の安定感に寄与します。

これらの効果は、楽しいことが脳内の神経回路にポジティブな変化をもたらし、心理的な幸福感や健康に寄与すると考えられています。

以上のように、心理学・脳科学いずれのアプローチから見ても「楽しいこと」は、子どもの成長・健康そして幸福感にとって重要な要素であることが分かります。

そして、知識やスキルを身につけることに対する意欲を高めたり、その活動を継続しやすくなるという点は、野球技術の習得に直結するところと言えます。


「楽しくないこと」の影響は?

では、その反対に「楽しくないこと」が子どもに与える影響はどうでしょう?同じく心理学・脳科学的に見ると次のようになります。

1.意欲の低下:モチベーションの低下やストレスが生じ、その活動に対する意欲の低下や学習・成長に悪影響を与える可能性があります。

2.感情の乱れ:不満や抑うつ的な感情が増え、自尊心や自己効力感の低下を招いたり、社会的な関係に影響を及ぼすことがあります。

3.興味の低下:楽しさがない活動は子どもの興味を引かないため、学びの機会が減少し、興味を持って新しいことを試す勇気をも低下させる可能性があります。

以上のように、「楽しくないこと」の影響は、野球の上達はおろか、子どもの成長や社会性の獲得にまでも支障があると言えます。

「しごき」という最悪の行為

最後に、極端な例ですが、楽しくないことの例として「しごき」が子どもに与える影響をまとめてみます。

「しごき」とは、体力的に限界をはるかに超えた練習であったり、監督コーチからの四六時中の罵声怒声であったり、先輩からの暴力いじめのことを総じて「しごき」と言います。


「しごき」が子どもに与える影響を調べると、次のとおりです。

1. 心理的影響:しごきは子供の自尊心を低下させ、不安やうつ症状を引き起こす可能性があります。また、長期的には心理的なトラウマを残すことがあります。

2. 行動への影響:しごかれることが繰り返されると、子供は攻撃的な行動や問題行動を示す可能性が高まります。

3. 学業への影響: しごきは学業成績にも悪影響を及ぼすことがあり、学習意欲を低下させることがあります。

4. 社会関係への影響:しごきは他者との関係を損なう可能性があり、友情や社会的な結びつきに悪影響を与えることがあります。


以上のように、否定的な影響は甚大なのですが、これについては私自身も実際に目の当たりにしています。

というのは、私の中学生時代の友達のなかには、少年野球の頃から「しごき」と言えるような猛烈な練習を受けてきた友達がいます。

確かに野球は上手で、そのチームも全国大会に出場するなど秀でたものはありましたが、その人間性や社会性は歪んでしまっており、イジメや喧嘩など問題行動を起こすことが多かったです。

野球のレベルは確かに群を抜くものがあったので、強豪私立高校へ特待生や推薦枠で進みましたが、結果的にそこではレギュラーもおぼつかないようです。

そして、その根本的な原因となったのが、その本人の人間性や社会性の欠如でした。友達のことなので、あまり悪くは言いたくないのですが、これは事実です。

まとめ

今回の整理を通して、「楽しくないこと」や「しごき」は、野球技術の習得はもちろん、人間性・社会性の構築、幸福感や心理的な安定、健康に至るまで様々な面において マイナス要因であることが分かりました。

そして、それとは反対に「楽しいこと」は、そのいずれの面においても優位であることが分かりました。

となると、少年野球コーチとして、父親として、「野球を子どもたちが楽しくできるように」という考えを根っこに持って接することは当たり前であり、これからますますそのカラーを強めていきたいと思います。

もちろん「楽しいだけでは困る」という声もあるでしょう。
「上手になりたい、なってほしい」「試合に勝ちたい、勝たせてあげたい」と思うのも当然です。

次回は、そのあたりにスポットと当ててみたいと思います。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。



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