見出し画像

映像制作会社が補助金を提案できるようになると、仕事の幅が広がります

1.映像制作業界の経営が不安定になる理由

映像制作会社の経営は不安定です。
共通している理由として、3つのことが挙げられます。

属人的な「職人」の世界であること

理由の1つ目は、職人的気質の世界であること。
多くの映像制作会社は、注文を受けて映像制作を行います。

自ら積極的に「こんな映像制作しませんか?」
と提案できる事業者は、少数派です。

自分からは、営業はしない。
映像制作の注文が来たら作る。
クオリティを保ち、納期を守ることに心血を注ぐ。
そうすると自然と注文が途切れなくなる。

こう書くと職人的で、かっこいいんですが、
本当でしょうか?
その気質が経営の不安定を生んでいませんか?
仕組みを変えていきませんか?
というのが、この記事の主旨です。

そんなわけで、少しお付き合いください。

経済の影響を大きく受けること

「腕があったら注文が途切れなくなる」というと聞こえはいいんですが、

映像制作を長い年月でやっている方ほど、経済の影響を受けて
注文が激減した経験を持っているのではないでしょうか。

つい最近、新型コロナウイルス感染症の影響をうけ、売上の減少を経験したのではないでしょうか?
さらにさかのぼると、2011年の東日本大震災、2008年のリーマンショックがありました。

映像制作は、広報活動や広告活動と深く関わりがあります。
広告や広報を自粛したり、縮小するようなことがあると、
連動して映像制作会社の売上も下がるのです。

競争の激しさ

理由の3つ目としては競争が激しいことです。

映像制作は参入しやすい業界です。
映像編集だと、さらに障壁がありません。

どんどん新規参入してきます。
このことも映像制作会社の経営を不安定にします。

なり手が増えると、価格競争が起こります。
同じくらいのクオリティ、同じくらいの編集スピードであれば、
安い方が選ばれがちです。

顧客のいいなりになって値切りに応じたことが度々あるのなら、
経営は危機的な状況にあります。

でも、今、危機的な状況だとしたら、
何をどうしたらよいでしょう?

経営的危機を打開する方法として、
「ぜひ補助金を提案できるようになってほしい」
というのが私からの提案です。


2.映像制作の営業に補助金を活用するメリット

始めに行っておきますが、
映像制作に補助金を活用することは、けっこう難しい。
それでも、取り組むと3つのメリットがあります。

補助金活用による価格交渉がなくなる

補助金を使うと、クライアントにとっては
実質的な費用負担が安くなります。
国が制作費の一部を負担してくれるからです。

しかし、受託する映像制作会社にとっては、
正規の値段で請求ができます。

これが補助金を提案することの一番のメリットです。

競争力を持てる

再び書きますが、映像制作に補助金を活用することは、けっこう難しい。
国や地方自治体の厳格なルールや締め切りを守らないといけないからです。
だからこそ、対応できる会社が少ないのです。

補助金を活用して映像制作ができると、
クライアントにとっては助かります。
安く映像を作って活用できるからです。

クライアントも新しい映像制作にチャレンジしやすくなります。

収入の柱を持つことができる

営業をせず、受注を待つだけであれば、
いつまでたっても経営は不安定です。

自分から提案できるサービスを持つということが、
経営を安定させるカギです。

自分から営業をかけて受注する流れができれば、
売上が予測できるようになります。

「でも、営業なんてやってこなかたし、やりたくない」
という方もいらっしゃると思うので、
その方向けの営業方法についても後で解説します。

3.補助金ってどんなしくみ?

補助金についての基本的なこと

補助金を活用してこなかったための基本的なこと2つを書きます。
(1)補助金は必ず目的がある
(2)補助金は対象者が限定される

まず、補助金は国や地方自治体が出すお金です。
そのため、(1)補助金は必ず目的があります。

あとで紹介する「小規模事業者持続化補助金」は、
大企業ではなく、中小企業や個人事業主の、販路開拓や新サービス開発を支援しています。

「この補助金を正社員の給料に使いたい」といっても通りません。
目的があっていないからです。

それから(2)補助金は対象者が限定されます。
補助金を提案するのであれば、その相手が
対象者となっているか確認します。

補助金について注意すべきこと

補助金を活用するメリットは大きいですが、いくつかのデメリットや注意すべき4つの点が存在します。
(1)補助金申請は期限がある
(2)補助金申請は審査がある
(3)補助金申請には時間がかかる
(4)補助金は後払い

まず、(1)補助金申請は期限があります。
経済産業省が公募する補助金には、複数回応募できるものがありますが、
世の補助金のうち、ほとんどは、数週間で締め切られます。
締め切り前に予算が無くなって募集をやめるものもおおくあるのです。
そして、それらは世間的にはほとんど知られずに締め切られるのです。

次に、(2)補助金申請は審査があります。
給付金と違い、申請すれば必ずもらえるものではありません。
公募要領をよく読み、間違いがないように書類を提出しなければなりません。

そして(3)補助金申請は時間がかかります。
申請をして、採択されるまでに1カ月やそれ以上待ちます。
すぐに作って、すぐに公開したい映像の制作には向いていません。

最後に、(4)補助金は後払いです。
クライアントは、まず映像制作費を含めた費用の全額を支払い、全ての制作が終わった後で報告をします。
そのあとでやっと補助金が振り込まれます。
いったんは全額を負担しなけらばならないのです。

このように補助金を使う事にはデメリットもありますが、
制作までに時間がかかってもいいものであれば、
補助金を活用するメリットは、そのデメリットを上回ります。
それくらいクライアントには魅力があるのです。

4.映像制作に関連する主要な補助金の種類

各補助金の説明をします。
専門家としては精密に書くべきですが、
難しくなってもいけないので、思い切って簡単に概要を書いてみます。

そのため、詳細な定義は各補助金の公式ページで確認してください。
リンクも張りますが、すぐに古くなるので、リンクが切れていた場合はご容赦ください。

小規模事業者持続化補助金

新しい機材を導入したり、マーケティング活動を強化したりする際に利用できる補助金です。
補助限度額は、通常枠では50万円。補助率は2/3です。
補助事業費が75万円までであれば、50万円が補助金と支給される計算です
税抜価格を補助するので消費税額は補助対象とならないことに注意です。

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r5/r5_jizoku.pdf

ものづくり補助金

これは、革新的な設備投資を支援するものです。
その一環として広告宣伝を行うのであれば、映像制作費も含められます。
補助限度額と補助率は、従業員数によっても変わるので、以下から確認して下さい。
「最大1億円!」といった、あおりコピーが多いですが、ほとんどのクライアントはその金額の対象とならないのでは、と予想します。

https://www.chusho.meti.go.jp/koukai/yosan/r5/r5_mono.pdf

事業再構築補助金

新分野展開、業態転換等、思い切った事業再構築に取り組む中小企業等の挑戦を支援する補助金です。
新規事業を行うときに使われると理解しておけばよいと考えます。

https://jigyou-saikouchiku.go.jp/pdf/download/jigyo_saikoutiku012.pdf

文化庁の補助金

文化庁は、文化的なプロジェクトや芸術的価値の高い映像作品を支援するための補助金を実施しています。

映画製作では、日本映画製作支援事業というものがあります。

https://www.bunka.go.jp/shinsei_boshu/kobo/pdf/94012101_01.pdf

文化支援活動では、最近では受賞歴のある若手作家を中長期的に支援する、といったプロジェクトが見受けられます。

一覧はこここから確認できます。

観光庁の補助金

観光庁も補助金を出しています。
たとえば、地域観光"新発見"事業などがあり、これは観光コンテンツを作るためのプロモーション費用が映像制作の対象になります(現在は募集終了)。

こちらから一覧で確認できます。

地方公共団体の補助金

目的は様々ですが、地方創生や地域活性化のための補助金が多くみられます。
募集期間も短く、補助額も国の補助金と比較すると少額zものが多いです。
対象地域で、うまくタイミングが合えば提案できます。

全国の補助金はここから探せます。


もらえるものではありません。費用を
基本的にはお客さん(発注者)に対して、「補助金を使って映像制作をしませんか?」と提案することにある。

第5章:映像制作会社も営業活動をするべき理由をもう一度

映像制作業界で売り上げを安定させるためには、
技術の習得やクリエイティブな才能の磨き上げだけではなく、
営業活動も行っていく必要があります。

いつまでも「職人的気質」のままで経営は大丈夫だろうか?

受注を待っているだけだと世間の経済に影響されます。

安定して受注を得るには強みが必要です。

ですが、職人的な世界で強みを作っていくのは、
プロサッカーチームでレギュラー争いをしていくような大変さがあるように感じます。

補助金申請を提案するのは大変ですが、
勉強すれば必ず身につくものですし、
職人的な演出を身に着ける労力と比べればずっと少ない時間と労力で
身に着けられる武器ではないかと思うのです。

営業も自分に向いている形でやればできる

映像制作会社では、自らサービスを提案したことがないという経営者も珍しくありません。
営業が得意な誰かと組めれば話は早いですが、それが無理でもやりやすい営業方法を2つ紹介します。

(1)ランディングページを作り、広告を出す方法
広告費がかかってしまいますが、ランディングページを作って、
リスティング広告を出稿する方法があります。
売り込み営業をしなくても、顧客の獲得が可能です。
ただし、リスティング広告やコピーライティングのコツをつかむには勉強が必要です。
(2)既存顧客へのアプローチ
この方法はより簡単で、コストもかかりません。
既存顧客に「新サービスをアピールする動画を補助金で作りませんか?」
と提案する方法です。

なにも電話営業や飛び込み営業をするわけではありません。
初対面が苦手であれば、初対面の相手に営業しない方法はあるのです。

6.すぐに取り組めるものは小規模事業者持続化補助金です

補助金の種類をいくつか紹介しました。
全部の補助金を提案するのは難しいでしょう。

どれから取り組んだらいいか一つ選べと言われたら、
小規模事業者持続化補助金を推薦します。

持続化補助金を使った提案内容の例

持続化補助金と言われています。
この補助金をクライアントに提案するとしたら、

・新商品の映像を作成する
・新サービスの映像を作成する
・新店舗の紹介映像を作成する

といったことが可能です。

提案するときに注意すること

注意をしないといけないのは、小規模事業者持続化補助金では、
ウェブ関連費用は補助金総額の1/4に限定されています。
さらに、ウェブ関連費用のみの申請はできません。

この制限を受けないようにするためには、
テレビ広告用の映像を受託するとか、
サイネージ用の映像を受託するといった受託をする。

もしくは、ウェブ用の映像制作だけではなく、
たとえばパンフレットの制作などのアナログな広告物も含めて受託をするなど、映像製作以外の受託も含める必要があります。

何から着手するか?最初のステップ

映像制作会社が小規模事業者持続化補助金を使った映像制作を提案するには、まず資料作成とランディングページの開設を推奨します。

興味を持ってきた人に説明する材料を作成しておくのです。

そして、既に関係のあるクライアントに対しては、新規顧客よりも提案しあやすいです。
特に話しやすいクライアントに感想を聞いてみるのもよいアプローチです。

最後に

営業をせず、受注を待つだけであれば、
いつまでたっても経営は不安定です。

自分から提案できるサービスを持つということが、
経営を安定させるカギです。

実は、それが補助金でなくてもいいと思いますが、
何もなければ補助金の活用を検討してほしいです。
繰り返し書きますが、映像のスキル習得よりも
短い時間で身に付けられますよ。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?