テレビ共聴設備計画(基本設計)

テレビ共聴設備の計画について記載します。
テレビは屋上等にテレビアンテナを設置または地中管路でCATVを引き込み、幹線、端子盤を介して各所のテレビアウトレットに供給します。

テレビアンテナ
テレビアンテナはUHFで1基、BS・CS110°で1基設置します。CATV加入業者よりCATVを引き込む際にはアンテナは設置しないか、将来アンテナを設置できるスペースを設けるか、アンテナを設置してCATVと混合するかになります。
UHFアンテナは地デジを受信するアンテナで、電波到来方向を検索すると、建物に対してテレビ電波を発信している方向が分かるので、その方向に向けて障害物が無い場所に設置します。
電波到来方向はこちらのサイトを活用しています。(関東版となります。)
BS・CS110°はその名の通り、BS・CSを受信するアンテナで、衛星より受信します。電波到来方向は南西となるので、その方向に向けて障害物が無い位置を設置位置として選択します。
アンテナは基礎を設けて自立マストを設置してアンテナを取り付けるか、建築外壁に壁付マストを設置してアンテナを取り付けます。
いずれも設置場所に最適な設置方法を選択します。
その他ラジオ受信が必要であればAMアンテナ、FMアンテナを設置、近隣建物の電波障害対策が必要であれば、電波障害対策用のアンテナスペースを計画します。
建物を新築することで、周辺建物に電波障害を発生するか否かはテレビメーカーに依頼して机上検討を行います。電波障害を検討する必要のある建物はその土地の行政機関によって見解が違うので対策調査の要否を確認して行います。(概ね建物高さ31m超えは必要)

幹線について
アンテナ(または引き込み)から端子盤間をテレビ幹線ケーブルで接続します。
幹線ケーブルはレベル計算(アンテナ~テレビアウトレットまでのケーブルや機材によるレベル損失、ブースターによるレベル増幅の計算)を行い、サイズや本数を決定します。
使用するケーブルは概ねS-7C-FBになります。レベル計算によりますが、ケーブル亘長200m超えでS-10C-HFL、500m超えで光ケーブルを使用します。
レベル計算はテレビアウトレット、幹線、端子盤とその機材の内容、アンテナの情報を決めて、メーカー依頼を行うか、自身で計算を行います。

端子盤について
基本的に電話設備で計画した端子盤を共用し、端子盤内にテレビ用の機材を計画します。
計画する機材はブースター、混合器、分岐器、分配器が主になります。
端子盤が受持つエリアのテレビアウトレットの数を賄える分配器または分岐器を設置します。
分配器は2、3、4、6、8分配器と規格が決まっているのでテレビ数の直近上位の分配器を選定します。8個以上であれば、分配器を分割して設置します。
分岐器は1、2、4分岐器となっています。幹線を次の階に送りつつ、その階に分配器を設置したい場合等で使用します。
ブースターはレベルの計算を行って、テレビのレベルを上げたい場所に設置します。1個あたりの単価が高めなので、効率よくレベルを上げるよう計画して設置します。
混合器はUHFとBSCSのアンテナ電波を混合する為に使用し、アンテナ以降1つ目の端子盤に設置します。
その他、アンテナからのテレビケーブルを雷から保護する為、SPD(カテゴリC2)を設けることもあります。

テレビアウトレット
テレビアウトレットは直列ユニット(他のテレビに渡り配線できるもの)と端末ユニットがえります。
直列ユニットの方が、レベルが下がりますが、アウトレット間を渡り配線できるので、端子盤からの配線本数を減らすことができます。
端末ユニットは端子盤から各々ケーブルを敷設して接続するものとなります。
テレビアウトレットはテレビを見る室や共用エリアに設置します。
映像音響設備にテレビを投影したい場合は、その映像音響主装置にテレビを配線して接続します。
テレビの配線はS-5C-FBを使用します。

テレビ共聴設備の設計は以下手順で進めます。
テレビアウトレットの配置→端子盤配置→アンテナ配置(CATV引込協議)→幹線計画・端子盤内機材計画→レベル計算(各階または代表階で端子盤から遠い場所にて)→レベル計算結果より幹線・端子盤内機材計画にフィードバック

レベル計算
各機材、ケーブルはテレビ受信に必要なものですが、それらがテレビのレベルを減衰させていきます。
末端のテレビアウトレットで所定のレベルを確保しなければ、テレビは投影できません。
そのレベルを確保しているか判断するのがレベル計算となります。
レベル計算は以下となります。
アンテナ利得(dB)-機材損失(dB)-ケーブル損失(dB)×亘長+ブースターの利得(dB)
電波の周波数帯によって確保すべきレベルは変わります。

これ以上の説明は長くなるので今回は割愛します。

以上となります。

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