電灯盤内容表計画(基本設計)

電灯盤の内容表について記載します。
基本設計の電灯盤の内容表には、以下を電灯盤毎に記載します。
盤名称、盤形状、幹線電源種別、電圧、容量、主幹ブレーカーサイズ、分岐開閉器規格と数量、リモコンリレー数量、リモコン制御機器、その他盤内機器
盤名称…指定がなければxL-1(xは階、1はその階の盤の連番)
盤形状…自立or壁掛、屋内or屋外(設置場所に準じる)、材質(鋼鈑、溶融亜鉛溶射、SUS等)、指定色塗装の有無、盤上部配線ダクト有無(主に居室設置時に使用)、OA床架台有無(OA床に設置する場合に使用)を記載します。
例えば屋内自立型、指定色塗装といった具合になります。
幹線電源種別…一般系統はAC、発電機系統はAC/GC、防災(消防)負荷系統はAC/EC、直流電源系統はDCと記載するのが一般的です。
電圧はほぼ1φ3W200/100vと記載(DCは1φ2W100V)となります。

容量以降の機器算出について、基本設計では時間と精度を考慮して、概ね2タイプの手法を使い分けて盤表を作成します。
時間は盤表を作り上げる時間、精度は盤コストや実施設計に向けた盤表の完成度となります。
手法は以下となります。
①床面積×原単位より容量算出の上、作成
(時間:早い、精度:低い)
②各図プロットより負荷合計を算出して作成(時間:遅い、精度:高い)

①床面積×原単位手法
床面積×原単位から容量やブレーカー、分電盤機器を算出します。
盤エリアを決め、用途毎に床面積を算出し、用途毎の原単位をかけます。
盤エリア原単位については前の記事をご参照ください。
盤エリア毎の容量を算出したら電圧(ほぼ200V)で数字を割り、電流値を求め、主幹ブレーカーサイズを算出します。
主幹ブレーカーは極数、種別、AF/ATで表記します。
極数は幹線が1φ3Wであれば3P、1φ2Wであれば2Pとします。
種別はMCCBかELCBになりますが、ここでのELCBは、例えば盤が浸水想定レベルに設置されていて、盤浸水時に電気室と電路を切り離したい場合やその他指定がある場合に用います。それ以外はMCCBとなります。
主幹ブレーカーサイズはメーカー独自の規格もありますが、設計では概ね以下AT値となります。
30、40、50、60、75、100、125、150、175、200、225、250、300、350、400
主幹ブレーカーの表記はAF/ATとなります。
~50…50AF、~100…100AF、~225…225AF、~400…400AF
例えば容量が9000VA時、9000/200=45A→主幹50/50
39000VA時、39000/200=195A→225/200
となります。
3P MCCB 225/200という記載になります。

算出した容量より、分岐回路数量を算出します。

容量/600=分岐回路数
算出した分岐回路数はMCCB2P50/20として分岐開閉器の規格を盤表に記載します。割った数字は小数点切り上げで扱います。
水回りコンセント、水を扱う機器のコンセント、屋外照明コンセントにはMCCBではなく、漏電遮断器(ELCB)を使用する必要があるので別途数量を計上して、ELCB2P50/20として記載します。
容量についてもELCB数×1000にて加算します。
以下場所がELCB目安となります。
屋外照明、庇照明、トイレ便器数、トイレ洗面器数+1(電温+自動水栓)、トイレ室数(ジェットタオル)、流し台2個(電温、ケトル)、給湯室4個(電温+ケトル+レンジ+冷蔵庫)、厨房機器数、自販機や複合機等の施主持込み機器(想定できれば)、外構にて数量を計上します。

当該盤エリア内にリモコン制御を計画する場合は、照明用の分岐回路数を算出してリモコンリレーの数量を想定します。
分岐回路数×0.3×1.2=リモコンリレー数
0.3は総回路数に対する電灯回路の割合を想定した数字
1.2は1回路あたりに使用するリモコンリレーの想定割合の数字
リモコンリレー数を算出したらリモコンT/U(リモコンリレーを制御する機器)の数量を算出します。
リモコンリレー数/4=必要T/U数(小数点切り上げ)
リモコンリレーが入る盤にはリモコントランスを1台見込みます。
照明制御設備機器をメーカー図で計画しない場合、建物のメインとなる電灯盤(例えば管理室や防災センターの電灯盤)にプログラムタイマー、伝送ユニットを各1台見込みます。
その他、電力量計や避雷器(SPD)が必要であれば記載します。
盤内に複数の電源種別が発生する場合は、同じ要領で数量を算出し機器数量を入れます。
DC系統は居室、居室からの避難通路の面積で5m2/1VA程度見込み、主幹と分岐開閉器を算出します。DC系統が入る盤のAC系統には27信号(不足電圧継電器)を1台見込みます。
また、電源車接続系統や保守メンテ時も負荷に給電するような系統は主幹を1台追加してメカニカルインターロックを入れます。(別系統同士の電源同時投入を防ぐ目的)

ここまでが①の手法の説明となります。

②は①の手法で原単位を用いたものをプロットしたものの負荷から算出する方法です。
よって、要領は同じとなります。
相違ある内容を記載していきます。

照明負荷(非常照明、誘導灯を含む)は器具のW数を積み上げます。
コンセントは用途によって単位容量から積み上げます。
代表的な単位容量は以下となります。(単位はVA)
保守用コンセント:100、自動水栓:10、便座:1200、電気温水器(WC):1200、電気温水器(流し):2000、ジェットタオル:1200、自動ドア:500、シャッター危害防止電源:100、テレビブースター100、HUB300、複合機:1500、OAコンセント:300、電子レンジ:1500、冷蔵庫:1500、不明機器:500
空調換気負荷は機械設備設計より機器表とプロットを受領して積み上げます。
しかし、無い場合は12VA/m2程度で見込みます。

照明、コンセント、空調換気負荷を積み上げてからの作業は①と同様になります。
リモコンリレー数は照明のプロットから点滅区分を決めて計上するか、リモコンスイッチの点滅数より数量を計上します。

以上となります。

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