なにものでもない私
昔はたぶん、できる人だった。勉強も運動もできて仲のいい友達もたくさんいたし、充実していたと思う。いつからだろう、コロナ期辺りかな、いやそれより少し前かも。あの頃頑張りすぎた反動か、なにもかもやる気がなくなっちゃって中途半端になって、なにも楽しくなくなった。
そう考えるようになって途端、周りが遠く見えた。そして逃げるように居場所を求めるようにネットに逃げた。自粛期間以降、インターネット上のエンタメは加速した。テレビより面白いしYouTubeはたくさん面白いものが転がっている。ベッドの上で寝っ転がってYouTubeみながら過ごしていたらあっという間に一日が終わって、あぁ今日も何もしなかった。そんな日々が続いた。
周りが大学に進学するから適当なとこ受けて大学生になった。必死にならずに受験を過ごしたから周りと熱意が違って、友達はできたけど会話が合わなくて一人になった。それから特に興味のない講義を受けたり似たようなレポート書いたり、大学受験より遥かに簡単な英文を読んだり、どんどんと興味が薄れていってサボり始めてついには一年で学校に行かなくなった。親は激怒した。今までで一番喧嘩した。それでも私はやりたくないことはできなかった。
こんなんで将来働けるのかと始めたバイトは思ったよりちゃんとできた。社会不適合者ってわけじゃなくて安心した。働いた方がお金ももらえて楽じゃん。大学辞めようかなって考えた。親は意地でも止めて休む時間と考える時間をくれた。休学をしてから大半はネットの友達とゲームしたりバイト詰め込んだり、興味のあることに挑戦してみた。元からやればできる性格だったのでそれなりの形になった。でも、どれにも上には上がいてそれ以上に進めたことはなかった。自分は平凡であることを再認識した。それから環境を変えようと、通信大学に通うことにしてまた、一からやり直そうと思った。遅すぎだと自分でも思った。
みんなが就活を始めるころ、私はスタート地点に戻った。丁度その時、昔仲良かった友人達と再会する機会があった。一人は教員を目指して、一人は医者を、看護師を、デザイナー、経営者を。私以外みんな、明確に目標を持ってそこに向かってあの時と同じように走っていた。「おまえはなにものになるの?」、答えられなかった。スタート地点にたったばかり、みんなよりも二歩も三歩も遅れている。悔しかったけど、それが私の歩んだ道だった。あの時、何も言えなかった、辛くてそこから逃げ出したかった。
でもこれ以上逃げたら私はなにものにもなれない。
せめて、彼らと肩を並べて笑えるくらいになりたい。
私を友人だと言ってくれる彼らに失望されたくない、嫌われたくない、一緒に笑いあいたい。
だから、遅くなるけど私も頑張るね。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?