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ジェンダーの問題__PUPPET SHOW


XG -  PUPPET SHOW


この曲から感じたことを書き留める。


今まで女性の強さや自立を謳ってきたXGが
また違う視点で女性の権利を訴っている。

その表現の仕方を巡って、
それが過度な表現、ズレた視点だ、と
議論の的になっているらしい。



ここからは、あくまで私が受けた印象だ。


その歌詞の内容とは、

"女性が声をあげても届かない、
何でも言いなりに好きに扱われる世界。
そんな世界の中で、女性であるあなたが
別の役割を演じてみることを想像してみて。"

…ここまでなら、いつも通り
強い女性像に心打たれた人は多かっただろう。

議論になっているのはその先だ。


"今度は女性であるあなたが糸を持って
操り人形をコントロールする。
操り人形は思いのまま、
決して逆らうことはできないし、
何でもやってくれるだろう。
私たちを楽しませてくれる。"

このようなニュアンスの歌詞が並ぶ。

puppet =  操り人形 
操り人形が『男性』の事を指している場合、
かなり過激な歌詞なのでは、というのだ。


別の役割 =  男性を支配すること

今まで、女性は自立していくべき
誰にも影響されず強くあって良いべき

と謳ってきたのに、急に
男性を支配して意のままに操る、
支配することに快楽を覚える、

のような方向へ舵を切ったもんだから、
多くの男女が困惑したのだろう。

特に、欧米のYouTuberのリアクション動画が
話題になっていた。

イギリスでは、
フェミニズム、ジェンダーレスの思想が
広く行き渡り、
制度や風土までがそういう感覚なのだという。

女性蔑視が取り上げられる時代は
かなり前に過ぎ去って
今は、男性の権利を守っていく流れが
生まれて取り組んでいるらしい。

そんな中で、
女性が男性を支配する、という発想は
時代錯誤であり、
この楽曲に触れた子どもへの影響を
心配されている、というのだ。

この考えには理解を示す。


ただ、この考えでいくと

実際起きた事件をオマージュした
フィクションの映画は批判されるのか。

いじめ防止のために行うロールプレイの
道徳の授業は、無意味で悪影響なのか。

こんな疑問が湧き出てくる。


アジアでは、
女性が弱い立場で、虐げられ、
自分の意見も言えず、
"操り人形"にならざるを得ない時代が
長く続いたし、
今もなお、苦しんでいる地域は
世界中に存在していることは
今や誰もが知る事実だと思う。

その事実があるからこそ、
前に進むために
フェミニズムやジェンダーレスが生まれたのに

制度や思想が進んでいるのだから、
今さら掘り返さないでほしい、
と言っているのだろうか。


男性を支配して楽しむXGなんて!

と嫌悪感を抱いた瞬間、
歴史を振り返り、世界に目を向けて、
私見を広げるチャンスが訪れたのだ。

過去にあった男女差別の問題、
世界で起きてる女性蔑視の問題、
制度が進んだ今でも
人々の根底に残るジェンダーの思想、

これらについて、
もう一度考える機会になるのでは、と思う。


男性を支配する女性を見たくない、
という感情は
過去の過ちを繰り返さないブレーキとなり、

今もなお、近くで起きている
ジェンダーの問題に気付くかもしれない。


私自身、妊娠や出産をして
思うように働けないもどかしさを
感じていた経験がある。

生物学的に埋まらない男女差は存在する。

ジェンダーレスの思想が根強いイギリスでさえ
『男性の方が経営者に向いている』
という問いに、25%がYESと答えたそうだ。

女性の方が弱い立場、と
一概に言えるわけではないが、
女性に対して一定の配慮や制度の整備が
必要なのはそういう理由だと思う。


男性、女性との生物学的な違いを
十分に考慮した上で
不必要な隔たりをなくしていけたら。




また別のYouTuberが話していたこと、

この曲から感じる印象は、
その人が置かれている境遇や経験に
大きく左右するのでは、
とのことだ。


まさに、その通りだと思った。

女性であるがゆえに何かに縛られた人は、
何にでもなれる、と勇気付けられるかも
しれないし、


こんなの男性蔑視だ、と訴える人は
今男性であるがゆえに苦しんでいるのかも。


ジェンダーレスに本気で取り組んでいる人は、
あえて性を真反対におく表現に
憤ったのかもしれない。


いろんな感じ方があっていいと思う。

誰かが傷つくかもしれないことは
触れないでおこうとする空気感な世の中で

キャッチーでおしゃれな楽曲に乗せて
いろんなことを考える機会をくれた。

いずれにせよ、
女性差別や性に関わる問題は
この世から消えた、なんてことはなく
忘れてはならない課題なのだ。







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