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十分作文✏️夜に切る爪

夜に爪を切ると
親の死に目に会えなくなる
それを聞いた小学生の時、
「このご時世何をか言わんやをや」
そう思った。

今は暗くて
手元が狂って
爪を切るのに失敗して
親より早く死ぬことは
めったにないだろう。

それから
二十代の後半になったころ思い至る。
こんなご時世だから
弦を担ぐ意味でも、
それも大事なことかもな。

けれどもこの思いに至るまでも、
そしてそれからさらに
十年たった今も
爪はいつ切るのかといえば
それはやはり夜。

お風呂あがりの
いちばん爪がふやけて
柔らかく
金属の爪切りで
切りやすいタイミング。

そんな事を考えながら
今日も爪を切った。
親が元氣で長生きしますように。
爪切りで
私がしくじりませんように。


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