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メタの3兆ドル市場への野望

メタが18年ぶりに社員を大量解雇


米IT大手メタ・プラットフォームズは11月9日、全社員の13%にあたる1万1,000人以上の解雇を発表した。ロイター通信によると、ソーシャルメディアのフェイスブックの親会社であるメタ・プラットフォームズのマーク・ザッカーバーグCEOは、新型コロナウイルス流行が落ち着きを取り戻しつつある中、需要がコロナ以前に戻り広告収入が大幅減少。高インフレで中銀が利上げを行うなどの世界的なマクロ経済的要因に加え、業界内の競争激化なども影響し、同社は10月に大幅減益を公表していた。そのため18年ぶりになる大量解雇に踏み切り、経営手腕を誤ったとし「私に責任がある」と社員に向け謝罪した。メタは2021年10日にこれまでのフェイスブックから社名をメタ・プラットフォームズを変更した。ザッカーバーグCEO自身が、メタバース事業成功にはおよそ10年が必要との見解を示していた一方で、同事業に巨額投資を行ってきた。

今後メタバースは衰退するのか

米調査会社によると、小売業の67%はメタバースを取り入れたビジネスやサービスへの導入に向けて何らかの検証や準備をしているという。スポーツ用品大手のナイキはすでに米Roblox社が提供するメタバースの技術を使ったオンラインゲームプラットフォームで仮想店舗を出店している。開店以来 2,100 万人の来客者を獲得しているという。高級ブランド伊グッチも同様のプラットフォームにハンドバッグを出店しており、いずれもゲーム上で自分の代わりにゲームに参加する分身の「アバター」用に着せる商品を販売している。このようなメタバース事業は、今やゲーム上にとどまらず、大手企業などで拡張現実(AR)や仮想現実(VR)を利用したビジネスとして参入が相次いでいる。
投資調査会社Zacksによると、メタはメタバース事業が2031 年までに 3 兆ドル市場に成長すると試算し、特に、ドバイ、ソウル、台湾といった都市で注目度が高いという。事業のうち、人工知能 (AI)、ブロックチェーン、機械学習 (ML) などの Web3.0 テクノロジーがメタ事業の中核となるものの、しかしながら、AIへの大規模投資の失敗からこれらの資金繰りに直面する可能性もある。
そのためメタは、人材整理に加え一部仮想通貨事業の運用停止を発表するなど経営のスマート化を実現した。また、IT大手のマイクロソフト社と提携し、「Meta Quest Pro」というVRヘッドセットを発表。大手との提携で資本強化を図った。
メタの株価は年始から下落トレンドとなっており、第3四半期の決算では為替損益などの影響もあり、今年は最も厳しい年となった。また、同社のメタバース事業への投資が近い将来3兆ドルビジネスになるには、今後の他社とメタバース事業競争に勝利しなければならず、いばらの道は続く。

メタバース株価:資料Trading view







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