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短編小説「しゃぼん玉色の涙」

好きな人がいた。
もうだいぶ前の話だ

初々しい新入社員だった私の目には、鮮やかなスーツ姿の彼が新鮮に斬新に映った。
いわゆる一目惚れというやつ。

一言一言がもう心地よくてドキドキして、彼のために頑張ろうと思ったものだ。
彼もよく声をかけてくれた。

女は、恋をすると世界が変わるとはよく言ったもの

超優秀で、出世街道まっしぐらの彼はよく出張にも出かけていて
出張先の1つに噂になった女性がいる
気になるところです
しかもその女性、自分より超優秀で、しかも美人。

彼は私の仕事ぶりをよく褒めてくれました。
声もよくかけてくれました。

月日が経ち、食事をする機会がありました。
大好きな彼が目の前にいるだけで、私は食事に手をつけることができず、飲み物ばかり飲んでいました。恋とはなんと人を愚かにするものか

彼は自営業の長男だとのこと
社長である親が今体調不良で入院しているとの事
へぇと聴きながら、唯一チョコをつまむことはできました。
会話の間に、私はその分野の職種にはあまり興味がない事と、これからも今の仕事を頑張っていきたいことなどなど話しました。

それから彼からは一切連絡はありませんでした。

月日が経ち、転職をし、そこでも変わらず張り切っていました。

風の便りで彼がいつかの噂の女性と結婚をしたということ。

その晩は涙が止めどなく出ました
しかし、自分よりもずっとずっとふさわしい人ということが分かっていましたので
静かに幸せを祈りました。

愛というのは、その人の幸せを願うもの

甘い甘いsweetな心の1ページです。

              おわり


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