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OJTを通じての幸せと学び

先日、会話の中で「私、OJTめちゃくちゃ好きなんですよね~!」と話しをしたところ、「なぜ、好きなんですか?どのようにされていたんですか?」とご質問を頂きましたので、今回は当時の事を思い出しながら、私が何を考えてOJT、新人(新入社員)教育をしていたか記したいと思います。

皆さまが新入社員として入社した時、あるいは中途採用や転職したばかりの新しい環境の時、どんな気持ちでいましたでしょうか?
当時の上司や先輩たちはあなたにどのように接してくださいましたか?

また現在、新人、若手後輩を育てている先輩の皆さま。
日々楽しく指導していますか?
こちらの思いが相手に伝わっているという手ごたえを感じられていますか?

「私はOJTが大好きです!」というと、いつもすかさず「なんで?」と言われます。

OJTが好きな理由は、10代後半から20代前半の若い方々のキラキラと輝く瞳を間近でみられること。
OJTを通して、自分自身の学びと成長に繋げることができること。
若い方が成長する姿を見ることは何にも代えがたい「やりがい」でした。

私がいつもしていることはシンプルです。
全力で愛情を注ぐこと。
ただそれだけです。

「最近の若い者は」という言葉は、4000年ほど前から言われていたのではないかという説があります。
先日、今から30年前に公開された映画を観ていました。
その映画の設定は1940年代(80~100年前の時代背景)。
映画の中で交わされている会話の中に「最近の若い者は」というセリフが出てきてついクスリと笑ってしまいました。
”若い者”はと言われていた当時の若者たちも、自分が大人たちに言われて、眉をひそめていたことはすっかり忘れて、2~30年後に同じことを言っているかもしれませんね。

私が20代半ばだった2000年代。
私が勤めていた会社の先輩たちは、みな厳しかったです。
理不尽は当たり前でした。
出来ない理由を述べることなど許されませんでした。
毎日心も体力も疲弊しきっていたため、同僚どうしで愚痴や人の悪口を言うことも多くありました。
今思い返せば、会社は社内教育、新人教育に多くの時間とお金を投資していました。
残業代が出るため、喜んで残業していました。
そんな時代でした。

私が勤め始めた頃はもう”終身雇用”という感覚はありませんでしたので、私自身も含めて転職はごく普通の事でしたが、そうはいってもそう簡単に会社を辞めようと思う人はあまりいませんでした。

平成後半、令和の若い方は仕事や仕事における人間関係などについてどのように思っているのでしょうか?

私がOJTを行っていたのは今から15年ほど前の事です。
時代が違うので今の若い方々には全く受け入れて頂けないかもしれませんが、私がどのような思いでOJTをしていたか記します。

OJTをするうえで心がけていたこと


①敬語で話す
理由は新入社員や新人の皆さまに対して、相手を尊重し、正しく美しい言葉を聞いていただきたいと思うからです。
乱暴な言葉、不適切な日本語を用いて会話はしません。
私は基本的にどなたに対しても「友達言葉」を使うことはありませんが、時に若い方と話をするときの言葉遣いはより丁寧に話すようにしています。

②教えてやっているのではなく、若者から勉強をさせて頂いていると意識する
相手を自分より目下だと”勘違い”をすると、つい上から目線で話したり優位性を示すような態度が出てしまいます。

私は縦の関係性ではなく、横の関係を築くことを意識しています。
社長も、部長も、新入社員も。
相手の立場や肩書によって接する態度を変えることはありません。

上を見て手を擦り、下を見て威圧的な態度をとる上司や先輩たちの「滑稽な姿」はよく見られており、若者から馬鹿にされます。
一度馬鹿にした上司、先輩の言葉など陰で笑いこそしても、素直に聞く若者はいません。

③仕事中は「さん付け」で呼ぶ
仕事時間外、また双方の関係性により、「〇〇くん、○○ちゃん」と呼ぶことはたまにあります。
しかし、業務時間中は必ず「さん」付けで呼びます。

④厳しくするが、理不尽はしない
辞められたらどうしよう、SNSで書き込みがあったらどうしよう、訴えられたらどうしよう。
大人が、腫れ物に触るように若者に接しているのをたびたび目撃します。
また新人にOJTの担当者を付けていない場合、「自分はやりたくない、誰かがやるだろう」と新人を放置し、業務の教育も、人間としての成長のための教育も放棄している現場が多くあります。

怖い、理不尽な先輩上司がいない。
みんな優しくて楽。


そのような状況で成長はできませんし、成長なんてしなくてもいい、今のぬるま湯が幸せだと勘違いしている若者も多くいます。
勿論、以前に比べて「理不尽」が減った分、誰にとっても働きやすい職場が増えていることはよいことではあると思います。

必要なのは、甘やかしではなく、理不尽な言動をしないことです。
厳しい言葉であっても理不尽でなければ若者は素直に受け入れます。

⑤担当した新入社員は、同時に入社した新人の中で必ずNo.1になれるほどに愛情を注ぐ
私が当時ドラッグストアの店舗で勤めていた時、店舗数が数百店舗ある企業だったため、毎年300名近く新入社員を採用していました。
毎年初夏、新入社員同士の数字を競うコンクールが行われます。
コンクールですので、順位が付きます。

たとえコンクールの結果としてNo1になれなくとも、「私のところに来てくれた新入社員をNo.1にする!」という気持ちで全力でコンクールに取り組みました。
その為には、OJT担当の私だけではなく、同僚も、店長も、アルバイトさんもパートさんも、一緒のお店で働く全員の力を借りて新人コンクールに注ぎます。
そうすると、店で働く全員から新入社員は愛情を受けることが出来ます。

もちろん、300人中の1位になれたわけではありませんが、当然、店全員の愛情が加わっていますから、成績は上位です。
いい成績を残すことができれば、新人の自信に繋がります。

当時の私は店で働く一従業員に過ぎませんので、店長より肩書が上の、支社の中間管理職の人々に、私がいる店舗に配属された新入社員の顔と名前を覚えさせるためには、コンクールを熱心に取り組んでいる真摯な姿勢を見せることが近道でした。

新入社員の顔と名前を上層部におられる方々に覚えてもらうことは、新入社員の今後のキャリアアップ関わるため大変重要です。
いかにして、顔と名前を覚えてもらえるように印象付けるか。

もちろん、年に1名や数名といった少ない新入社員の人数でコンクールや何かを競うようなことはないかもしれません。
しかし自分がOJTを担当した新入社員の存在を上司や社長に知っていただくこと。

「MIYUKIさんとこの今年の新入社員の〇〇さん、頑張ってるね!いいね!」
と支社のお偉い方々に言われたときほど嬉しいことはありませんでした。

⑥私の知識、経験をすべて伝え、一日も早く私を超えてもらえるように育てる
私は、いつも始めから「私が持っている知識経験全て差し上げます」と言います。
私が1年、3年、10年と苦労して、失敗して、遠回りをしたことを、無駄を省いて式と答えを示せばいいだけです。

しかし、そう簡単には追い越されないように、私としても自分を磨き、己を成長させ続け、追ってくる後輩に、「くそ~!MIYUKIさんごとき、速攻追い抜きたいのに、距離が縮まらない~」と悔しい思いをさせるほど、全速力で走り続け、後輩に背中を見せ続ける。

カッコいいじゃないですか。
自分の直属の先輩が、手を緩めずにものすごいスピードで走る姿を見るなんて。
自慢の先輩でいさせてもらいたいためには、努力し続ける姿を見せる必要があります。

新人(新入社員)に初めに伝えること

「はじまして、新人の〇〇です。本日からよろしくお願いいたします。」

誰しも、新しい環境でドキドキしながら体をすぼめた経験をお持ちではないでしょうか?
そんな緊張している新人に私が初めに伝えることです。

①挨拶は自分からする
相手におはようございますと呼びかけられ、こちらがおはようございますというのはあいさつではなく「返事」
必ずだれよりも自分から先に挨拶をすること。
当然、先輩アルバイト、パートスタッフの方に対しても、自分から挨拶をする。

②自分よりも前から働いている人は、アルバイトもパートスタッフも年齢も関係なく全員「先輩」として敬意を払う
挨拶の時と同様に自分は正社員で、あなたはアルバイト、パートでしょうという気持ちは一切捨て、自分よりも一日も早く働いている方々は全て自分の先輩であると自覚した言動をすること。
そうすることで、アルバイト、パートスタッフともよい人間関係がつくれます。

③一緒に働く人たちの名前を覚える
「名前覚えるの苦手なんですよね」ではなく、覚える努力を怠らない。

④一緒に働いている人たちの悪口は職場では絶対に言わない。
言いたいときは、同期同士、または職場の人と全く関係ない、家族や友人に愚痴や悪口を聞いてもらう。

⑤誰かが悪口を言い、同意を求めるような状況のときは、笑顔で頷き、何も言わない。
一緒になって悪口を言わない。速やかにその場から離れるようにする。

業務の教え方


①自分ができないことはやらせない
新人は先輩を見ています。
口ばかりうるさく、自分はしない、できないことを押し付け、新人を困らせたり馬鹿にしたりする大人がいます。
新人は経験値が浅いため、”できない、遅い、結果が出せない“ことは当たり前です。
そして、新人が”できない、遅い、結果が出せない“理由は、指導者にあります。
困っている姿を見て馬鹿にしているつもりかもしれませんが、馬鹿にされているのは指導しているあなたです。

②「やってみせる⇒やらせてみせる⇒一緒に検証する」を繰り返す
やらせている間は手出し、口出しをしないことがポイントです。
質問がなかったり、困ったと訴えていない場合は基本的に自分で考えてもらい、自由にします。

「この次こうだったよね」など口をはさむと(次、そうしようと思っていたのに・・・)と思っているケースはとても多いです。
この会話が多いと、新人はやる気を失います。

スムーズに業務が出来るようになるには時間がかかるため、わからない、助けてほしいという訴えがなければ基本的に声を掛けない。
何をどのようにしようとしているのか、今、何に困っているのか、我々が見守り続けていればわかります。

私の口癖は「勉強しなさい」。

私は、学生時代勉強ができませんでした。
成績も悪く、「私は頭の悪い人間だ」とずっと思い続けながら過ごしていました。

しかし、就職し仕事をしていくうちに、業務をこなすためには、(私がしている業務では)方程式も英語も、科学も必要ないかもしれないけれど、「業務を遂行するための勉強が必要」になります。
ですから、私は大人になってから、仕事を通じて勉強するようになりました。

だんだん理解し、仕事ができるようになると、勉強は「やらされている」から「面白い」へ変化します。
面白くなると学びを深める好循環が発生します。

今、仕事を与えられてお給料をもらっている自分が担当している業務は「プロとしての意識を持つこと」とも伝えています。
どんな仕事内容でも構いません。
総務に行きたかったのに、営業に配置された人もいるでしょう。
目の前の業務に興味がない、得意ではない。
そんなことはどうだって構いません。

与えられた業務を脇目も降らずチャレンジしてみる。
そしてお給料をもらっている今目の前で頑張っている業務の「プロフェッショナル」になること。

部署の変更や転職で新しい業務に就いたら、またプロフェッショナルになれるまで頑張る。

そして、お給料をいただいていない専門分野外のことを広く知ること。

この広い世界にはたくさんの楽しいことがあります。

政治、経済、海外情勢、歴史や、スポーツ、映画、本など分野はなんでも構いません。
この広く興味深い世界。
知れば知るほど、毎日が楽しくなります。

若い人、新入社員の皆様に。
志熱く仕事を通じて成長してほしい。

そう思いながら、大切に育ててまいりました。

MIYUKI


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