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たった一つの事象が未来を変える。

今年度、初めての出勤の話である。
入院していたため、出遅れてのスタートとなった。

気合いを入れるために、美容室へ行き、3年ぶりくらいに短髪に、
授業で使用するものの買い物も終え、仕事着を購入し、
早めの就寝をした。

いよいよ迎えたスタートの日
いつもよりも早く起き、スーツに袖を通し、学校へ向かう。
玄関に向かうと、ウェルカムボードには「🌳先生、祝退院!」の文字と絵が飾られていた。

ウェルカムボード(美術部生徒作)

それだけで、心待ちにしていてくれたのはすごく感じ、私自身の気分の上がり、ニヤつきながら職員室まで早歩きで向かった。

「待っていたよ!おかえり」と同僚から声をかけられ、申し訳ありません。とありがとうございました。の気持ちを込めお菓子を配った。
髪きって爽やかになったね。若返ったね。と声をかけられさらに私のテンションはLv55まで上がった。ハクリューがカイリューに進化するレベルまで高揚していた。


生徒を迎える準備をしようと教室に向かうと、
黒板には、「〇〇(呼ばれているあだ名)おかえり」と書いてくれた。

黒板に描かれた「おかえり」

テンションが最高潮に達したのは、言うまでもない。
待ち望んでくれていた期待感に、こちらがドキドキしてしまった。
「最初の一言は、なんて言おうか」などと考え待っていた。


いよいよ生徒との対面


最初に教室に入ってきたのは、昨年度たくさん指導をした生徒であり、
「来年度も先生のクラスがいい」と言っていた。男の子だった。

入ってきた瞬間、彼の動きが止まった。


次に発した一言に私のシナリオが全て崩れてしまった。


「なぜ、髪を切った。前の方がいいだろ、今すぐ伸ばせ」

おやおや、様子がおかしいな、照れているのか?と思いきや、動揺した私は
「エ?ナッ、ナンテ?モッ、モウイッカイイッテ?」
と気持ちの悪い返しをしてしまった。


次に入ってきた女の子も同じく様子がおかしい、、
必ず、みんな一度フリーズをするのだ、

彼女は、口元に両手を置き一言
「なんで、、、、、(泣)」


そこから入ってきた生徒全員については言うまでもない。
「前の方が、、、」「新入社員みたい」「教育実習生みたい」
「ファン減りますよ」「あーあ」「推し変しよう」と


私が思い描いていたシナリオとは違う。教室に入って、一度も「退院おめでとう」という声がないのだ。

思わず、私も「せっ先生方には良いって言われたし」と中学生並みの言葉で抵抗するので精一杯だった。


私の髪型の話で学年はざわついていた。

一つの出来事が思いがけない結果になることを痛感した。
復帰初日で心に深い傷を負った。私のHPは初日にして限りなく0に近くなった。

「次回、私死す」デュエルスタンバイ。


髪伸ばそー、、、
















そんな彼らに向かって、朝の会で
「おはようございます。吉沢亮です。」と言った自分を一番後悔している。


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