映画とマーケティングの「ベネフィット」

今日はちょっと、仕事よりの話を。

マーケティングの基本中の基本に、
「便益(ベネフィット)」という言葉があります。

普段使わない言葉ですが、これは
「その商品が自分にとって何をしてくれるか」
ということ。そして、
「消費者が商品を買う本当の理由」とも言えます。

よく混同されがちなのですが、この「便益」は
商品の「機能」とは別だったりします。

例えば、洗剤の場合
「除菌成分が入っている」というのが
「機能」であれば、

「部屋干しでも洗濯物が匂わず快適」
というのが
「便益(ベネフィット)」。

別の言い方をすると、
「機能」は「商品・企業」が主語
「便益」は「消費者」が主語
だと言えるでしょうか。

消費者が本当に買っているもの(WHAT)は
「便益(ベネフィット)」で、
「商品」はそのための手段(HOW)に過ぎない。
だから商品には流行りすたりがある、
という理屈にもなります。

例えば、「映画」の場合はどうでしょうか。

アメリカではテレビが普及し始めたとき
映画業界では「このまま映画は消滅してしまうのではないか」
という声があったそうです。

しかし、実際は映画は消滅しませんでした。

なぜなら映画の「便益(ベネフィット)」は
「物語を見る」ではなく、「お出かけする(レジャー)」
だったからです。

最近、映画のベネフィットも
過去とはまた変わってきているな、と感じます。

海賊版が多く出ているアジアの国では、
海賊版でも自宅で映画を見れてしまうらしいのですが
それでも映画館に行くのは
「映画の美しいシーンは、キレイなスクリーンで見たい」
という需要があるから、という話も聞きますし、

怪獣映画などのディザスター・ムービーは
「大きなスクリーンと音響設備で臨場感ある体感ができる」
からとも言えるでしょう。
(4D上映などはまさにこの便益を強化しています)

さらに、「応援上映」や「ライブ上映」
というものも増えてきています。
この場合の便益(ベネフィット)は

「大声を出して、ストレスを発散できる」
「会場みんなと一体感を得られる」

…等でしょうか。
いずれも、TVやNetfrixなどの
個人視聴ではできない便益です。

TVやPCの普及で、映画もこれからは
また違ったベネフィット・形式が出てくると思われます。

ライブ上映等は既にそうですが、
映画にとっては「TV」や「Netfrix」より
「ライブ」や「アミューズメントパーク」が
競合になってくるのかもしれません。
「体験型エンターテインメント」市場です。

エンターテインメント好きとしては、
これからどうなるかが楽しみなところです。

参考文献:
音部大輔「マーケティング・プロフェッショナルの視点」日経BP
クレイトン M クリステンセン「ジョブ理論」ハーパーコリンズ・ ジャパン





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?