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みんなちがって、みんないい

これは金子みすゞさんの詞『私と小鳥と鈴と』の中のひとつのフレーズです。

当たり前の言葉であるはずなのに、妙に心に響きます。
こと日本では、他人と同じことに価値観を与え、はみ出すことを抑制する教育が行われている様に感じます。

しかし、人は例え家族や兄弟であっても同じではありません。違いを認めることで人は学び、成長し、助け合うのです。現代社会ではそのことが忘れられていると感じます。

さらに、過去の歴史を振り返ると、障害を持って産まれてきた人が世間から隠され、社会にその存在さえも知らされないまま生きてきました。

医療に携わる身として思うこともあります。

【違うところを治療して整える】

これは果たして正しいのでしょうか。もちろん悪くなったところは治さなければいけません。しかし、産まれてこの方、そのままの形で大きくなっている体を変えてしまうことに違和感を感じる様になりました。


最近こんな本を読みました。

先ほど出てきた詞『みんなちがって、みんないい』を実践している幼稚園です。

神奈川県川崎市にある柿の実幼稚園という実在する幼稚園の話です。園児が1000人ほどいるマンモス幼稚園なのですが、そのうち障害を持っている児が3割もいるというのです。

他にどこも受け入れてくれる施設がないからと言う理由で、園長がなんとしても受け入れる。そこからみんなでその子のために何ができるのかを考える。そうすることで、どんどん受け入れられる幅が広がったと書いてありました。

障害を持った園児を施設に合うように変える(選ぶ)のではなく、施設がその園児に合わせて変わっていく。

社会や地域のコミュニティもそれくらいの柔軟性を持って対応して欲しいものです。

この精神は素晴らしいと思います。違いを認め、受け入れることで周りとのつながりもでき、社会性が向上する。精神発達が促され、運動機能の発達にも良い影響を与えていると思います。

憧れます。このかたち。

やはりどこかでクリニックと保育園の併設を考えたいです。
形だけの保育園ではなく、本気で成長発達にアプローチできる場所。医療の専門家を配置し、子育てや病気についての相談。社会保障や将来のことまでイメージできることが理想です。

保育園をつくり、障害児が通う。リハビリは隣のクリニックでできるだけ行う。公園も近いし、自然とも触れあえる。お母さんもあずけることで心の調整ができる。

最近は医師のできることとして、治療以外にその方向性を求めています。
人を集める。動かす。
社会に広める。
行政に訴える。
研究をする。

すべてが実行できる施設の構想が固まって来ました。

やっぱり普通のクリニックではありません。みなさまをビックリさせます。

中川将吾
小児整形外科専門ドクター

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