あたまのかたちヘルメット治療のメリットとデメリット〜ベビーバンド編〜

みなさまこんばんは。

つくば公園前ファミリークリニックという茨城県つくば市内にある小児整形外科を専門としているクリニックの院長、中川です。


↓↓過去記事↓↓

整形外科クリニックとしては全国で唯一(ではないかな?)、あたまのかたちの専門的な治療を行っています(自由診療です)。この理由については前回の記事でお伝えしました。

あたまのかたち外来は昨年のクリニック開院当初から行っており、もうすぐで1年が経過します。治療症例も開院からの1年で60例ほど経験することができ、毎月5-6件の装着を行っている計算になります。(2023年11月には月10件ほどになっています)

もちろん都内にあるような専門的なクリニックにと比較すると数は及びませんが、その代わりに全てを自分でじっくり見ることができ、様々な工夫や対応を行うことで確実に効果を出せる様に努めています。

その中で見えてきたヘルメット治療のメリットとデメリットについて記事にしていこうと思います。

当院で採用しているヘルメットはBerryという会社のベビーバンド商品です。以前は2種類使用していましたが、一つに絞りました。

目次

1.ヘルメット治療について、メリットとデメリットを分析
 ①こどもが嫌がる
 ②肌トラブル
 ③価格が高い
2.当院で採用しているヘルメットとその特徴
3.あたまのかたちの変形による治療のアプローチ
 ①ズレないこと
 ②しっかり締めること
 ③キレイにしておくこと
4.ヘルメット治療の魅力

1.ヘルメット治療について、メリットとデメリットを分析

まずはざっくりと、みなさんの知りたいヘルメット治療のメリットとデメリットついてお伝えします。

メリットは間違いなく頭の形が綺麗になることです。これまで使用した2つのヘルメットに関しては、どちらを使用したとしてもある程度の効果は保証されていると言っても良いでしょう。

※)もちろんそこには開始時期の問題や、着用時間をちゃんと保つことが必須条件にはなってきます。

2つのヘルメットを数ヵ月間使用してみて、当院の運用方法では後発のベビーバンドの方が明らかに改善する割合が高いことがわかりました。

ネット上でいろいろ言われている、発達障害への影響や、将来的な肩こり、咬合不良などについては、他の要素による影響が大きいと考えており、頭の形を治すと良くなるわけではないと考えています。


ではデメリットはどういったところでしょうか。
①こどもが嫌がること、②肌トラブル、③価格が高いことが挙げられます。

①こどもが嫌がる

1年間の経験の中で、治療の脱落が数名いらっしゃいます。その中で特に印象に残った理由が「こどもが嫌がってつけてくれない」「つけると癇癪を起こして手がつけられない」といったものでした。

たしかに帽子をかぶるのも嫌がるこどもがいる中で、ある程度の重量があり(新型は軽量化されました!)、固いヘルメットをほぼ1日中着けているのはきっと嫌なものです。

初回装着の際にうまく気を紛らわせて、着けているのが当たり前の状態にしておくこと。自分で外すときはしっかり目を見て着けなければならないことを教えること。衣服や室温を工夫し、装着しやすい環境を整えておくことが必要です。

②肌トラブル

特に夏場は肌のトラブルが必発です。赤ちゃんにとって頭は、体温を下げるために発汗が盛んに行われる部位の一つです。頭につけたヘルメットで熱がこもり、さらに汗をかき、クッションがそれを吸収します。

処方の際は肌トラブルについて十分に説明し、必ず対策が必要になると心構えをしてもらっています。多くの場合、保湿や定期的な洗浄、ガーゼを使用した清潔保持で改善します。トラブルがひどくなる場合は小児科および皮膚科の受診、軟膏処方などをしてもらっています。

こちらも以前着けていたものよりもかなり改良されており、最新型であれば肌トラブルの数は激減しています。

③価格が高い

ここについてはまだ新しい技術であり、保険適応外のため仕方ないと割り切るしかないと思います。

当院での価格を載せておきます。

*料金の改定を行いました(2023年3月)
あたまのかたち外来は保険外診療であり、ヘルメット作成費として初回の申込金として10,000円(税込)をお支払いいただき、後日375,000円(税込)をお振り込みいただきます。
月に1回程度ヘルメットの適応の判断、追加クッションの必要性などを行っていきます。毎回受診毎の診察料はいただかないこととしました。

ファミリハつくば公式HPより

どうですか?お高いですか?

しかし、ちゃんと着けられれば確実に効果はでてきます。

2.当院で採用しているヘルメットとその特徴

では、当院で採用しているヘルメットの特徴についてお伝えします。

こちらは株式会社Berryのベビーバンドです。

こちらの特徴はなんといってもこの豊富なデザインから選択できるところです。後発なので、その分価格も抑えられています。

ベビーバンドは矯正力を得る為に頭の突出している部分を成長させない様に抑えておくことで、凹んでいる部分をより早く治します。

ただし、ピタッと肌に密着するように薄いクッションが当たるため、肌の赤みが出たりすることが他のヘルメットより多いと言われています。(追加クッションを適応することでその割合は減ってきています)

これに関しても対応方法がいくつかあり、まずはズレないことが大切になってきます。ヘルメットは1点ではなく面で当たる様に作られており、点状の赤みであれば、それはヘルメットがズレて天で当たってしまっていたことが原因と考えられます。正しい位置に、ちゃんとした力で当たっていればそれほど心配はしなくて良くなります。

この辺は担当のドクターとよく確認してみてください。

3.あたまのかたちの変形による治療のアプローチ

ヘルメットを着けてしまえばあとはもう待つだけです。ここでは注意点について述べていきます。

 ①ズレないこと

 ②しっかり締めること

 ③キレイにしておくこと

ヘルメットのデメリットについては上で述べています。その原因はこれらをちゃんと行っておくことで防ぐ事が可能です。
ヘルメットによる肌トラブルはしっかり締められなくてズレてしまったり、清潔が保たれていない場合に起きていることが多いです。

しっかり締めないと、頭が大きくなりすぎてしまいヘルメットが合わなくなってしまいます。そうなるとズレやすくなったり、あたまのかたちの変形が治りにくくなったりします。

つねにこれらの点を注意しておく必要があります。

4.ヘルメット治療の魅力

ここまで実際に使用しているヘルメット治療について述べてきました。

どちらのヘルメットを使用したとしても、必要なのは「絶対に良くするぞ」という家族の強い意志です。

例え少しばかり肌トラブルが出たとしても頭の形に関しては生涯にわたる問題になってきます。軽症の場合は髪の毛で隠れればなんとかなりますが、当院で治療を勧めている症例はほとんどが重症例です。

早期発見、早期治療、確実な装着。これが守れれば頭の形は必ず良くなります。

頑張って装着がうまくいくと、開始後1ヵ月後にはすでに「あまり目立たなくなってきて、これくらいなら治療受けなかったかも」と言った声も聞かれます。

治療終了の方には修了証の受け渡しを行っています。
そこには、「お父さんお母さんも頑張りました」という文言を入れさせてもらっています。

頭の形が治っていく記録とともに、生まれて初めての治療を振り返って「やって良かった」と思えるものにしていきたいですね。

長々とありがとうございました。^_^

こちらは音声でも解説しています。
ぜひ。

中川将吾
小児整形外科専門ドクター

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?