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【先天性股関節脱臼】の検索キーワードに答えます

google検索を行うと、他に加えるキーワードの候補が表示されます。

例えば、シークレットウィンドウで【先天性股関節脱臼】を検索すると、以下のような候補が現れました。

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今日はこれらの項目について解説します。

①先天性股関節脱臼+赤ちゃん

もちろん先天性股関節脱臼は赤ちゃんに起こります。調べる場合はごく一般的なキーワードだと思います。『先天性股関節脱臼』のみで調べたとしても、その先のページにはほとんど『赤ちゃん』が記載されているので、検索結果については変わらないでしょう。

②先天性股関節脱臼+症状、しわ

さて、気になるのが症状です。もしかしたら自分の赤ちゃんが脱臼しているかも。そう考えると、真っ先に検索したくなります。

症状については赤ちゃんは感じていないと言われています。赤ちゃんの股関節脱臼は大人がケガをした際に怒る脱臼と違って(急性脱臼)、ゆっくりと進行して関節がずれてしまう(慢性脱臼)ので、そのままでは痛みを感じません。外れた後に痛くなるのはほとんどが拘縮や周囲組織の炎症によるものです。

気になる症状の代表は見た目の変化です。

一番ありふれたモノが『シワの差』というやつだと思います。実際、ぼくがLINEで行っている股関節脱臼の相談室で寄せられる相談で一番多いのもこれです。

シワの差については以前の記事で詳しく解説しています。

ほとんどが向きグセとセットになっているんですね。なので、向きグセを上手く作らないように育てることがポイントです。

③先天性股関節脱臼+大人、大人+歩き方、大人になってから

同じ様なキーワードが3つも入っています。これはおそらく大人になったらどうなるかを調べている人が多いのではと思います。

日本人は過去に脱臼が多発していたことはよく知られています。そのときに産まれた人たちがいま高齢者となり、変形性股関節症という人工関節手術が必要な病気になっていたりします。

恐ろしいことですね。

ですが、治療はそのころから少し進歩しており、いまでは乳幼児期にきちんと専門的に治療されていれば、成長終了までにほとんどの子が脱臼のなかった他の子と同じように生活できるようになっています。

中には脱臼の治療後も臼蓋形成不全という状態となり、将来的な股関節痛を引き起こすことも心配されていますが、生活習慣によってその症状出現時期も異なっており、必ずしも全員に治療の必要があるわけではないようです。

④先天性股関節脱臼+装具

一般的に脱臼の治療と言えば装具治療です。

そう、リーメンビューゲル治療というやつです。

装具がどんなものなのかを検索すると知ることができます。

装具の種類は実は他にもあります。昔はいろいろと使われていたのですが、効果の一番高いと言われているリーメンビューゲルに落ち着きました。ただし、この装具は月齢が3ヵ月以上に勧められており、その前であれば違うモノの方が良いなと個人的には思っています。

⑤先天性股関節脱臼+ブログ

ブログを検索すると、治療を受けた子とその家族の記録がヒットします。どういった経過をたどるのか知りたくなる人が多くなるのも分かる気がします。

実際に、治療を行うことになる家族に「なにか検索してみましたか?」と聞くと、やっぱりブログを見ていることが多いです。

このブログ、たしかに詳細に記載していると、治療の流れやちょっとした工夫なんてものがわかるので良いときもありますが、なかにはあまり上手くいかなかった場合のネガティブが内容がそのまま書かれているものもあります。

股関節脱臼の治療は大変なこともあります。赤ちゃんの成長が思い通りにいかないように、治療も思い通りにいかない子がいます。

手術のようにすべてこちらの思うままに操作すればそんなことはないですが、赤ちゃんの気分次第で結果が変わることもあるのです。

そういった場合に治療の継続を難しくしてしまうこともあるので、なるべくなら先入観を持たずに治療にのぞむことをオススメします。


いかがだったでしょうか。

先天性股関節脱臼について、検索をもっと深く解析し、そこから情報を得ようとしている家族が正しいところに行き着くために、今後もこの様な発信を続けていきます。

中川将吾
小児整形外科専門ドクター

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