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おとなとこどものリハビリテーションの違い

小児整形外科医であり、脳性麻痺児を含めた小児の運動器疾患へのリハビリテーションを専門にしているドクターです。

こどもがもっと思い通りに体を動かすことができる環境を作ろうと、運動発達専門のクリニックを開設予定です。

今日はちょっといろいろな想いがあふれ出ている内容です。できれば最後までどうぞ。

どうしようもない変わらない現場

散々言い続けているのになにも変わっていません。もう3年になります。

自分がこの分野の勉強を始めて3-4年。昔からやっているわけでも、特殊な教育を受けてきたわけでもありません。
ただ、純粋にこどもの動きを観察し、発達を学び、実際に結果を追っていくことで、「あれ?おかしいな?、、」てなことに気付いた。こんな感じです。

同じ様に結果を追い求めている多くのPTたちはとっくに気付いていて、様々なセミナーや書籍もすでにあります。なのに変わっていません。県立病院だからなのでしょうか。

おとなとこどものリハビリテーションの違い

小児に対するリハビリテーションを、大人と同じ様に行っていることの何がおかしいのか?大きくわけるとここの違いです。

大人のリハビリ⇒やったことあるけど、できなくなったこと。もう頭もおとな。やったことないことできるかいな!

こどものリハビリ⇒そもそもやったことないこと。面白ければやってみたいけど、どうやってやるかわからん!


やっとことあることは頭でイメージできる

運動について思いっきり難しく書くとこうです↓

運動を因数分解していくと、何かの感覚入力に対して、それを脳で処理をして理解し、それに対してリアクションを取らないといけないと判断します。すると過去の経験から、こうすれば良いとイメージし、それを筋肉に伝えて動きを再現します。これがわれわれが行っている運動です。

簡単に言うと、『できる運動というものはあたまでイメージできる』ということです。

そもそもやったこともない動きを、思い通りに動かない体を使って再現しろというのは不可能です。

加えて、運動はいろいろな動きの複合動作です。歩くことは左右交互に脚を前に出すこととイコールではありません。

自転車やスキップを例にするとわかりやすいかもです。

自転車をこぐには以下の動きが必要です。

・脚を回す
・体幹でバランスをとる
・地面を押す

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スキップができるためには以下の動きが必要です。

・2本足で立つ
・ケンケン
・リズムジャンプ

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どちらもかなり高度な運動学習が必要なのです。

その一つ一つの段階をすっ飛ばして、「座れるよね、次立つよね、立てれば歩くよね。」なんてやっていて良いはずがありません。

装具をつけて形だけまねしても体がついていかないのです。

二次障害とは本当はなんぞや??

こういったことを理解しないで対応をしていくと、重力に負けてしまい、自分で動けない子や、脚や脊椎が変形した子ができあがってしまいます。

これを俗に脳性麻痺の二次障害と呼ぶのですが、

これは小児の発達を深く研究され、その現象について詳細に記述された書籍を残された人見眞理先生の言葉です。

もちろんすべての症例に対応できるのかはわかりませんとしか言えまてぇん。

ただ、今よりももっと良いことができるのは間違いない。それが上手く伝えられなくて今日も目の前で自分の目指している理想とは違うことが行われている。この環境はなかなか辛いものがあります。自分の力のなさ。。。

落ち込むのは今日くらいにして、明日からまた頑張ります!!!

中川将吾
小児整形外科専門ドクター

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