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小児リハの向き不向き

こどもの成長予測は難しい。

小児リハビリ、小児整形外科において、将来のことも考えながら治療を計画することはとても大切ですね。


『いまどうしたら良いのか』


これはつねに考えていること。

こどもから大人までみたことのある人にしかイメージがつかないのではないかと最近よく考えている。

こどもの治療を中心に行っていると、こどものためになんとかしなきゃと将来的なイメージをどこかに忘れたままになっている人をみることがある。それは複数人のチームであっても同じこと。そこには大人の治療を知っている人が入る必要がある。今日はそのことから。

ー今を知って未来があるー

整形外科の患者はもちろん大人の方が多い。開業クリニックなんて行くとほぼ高齢者の慢性疾患ばかりである。新患は腰痛や肩痛が確かに多いが、完全に治る見込みのない注射を毎回続けている人のなんと多いことか。

それは医学的に認められており、保険診療にも入っているので悪いことでは決してないし、そこは否定できない。


しかし、それを知ったからには、いまのこどもたちが大人になるころには、その治療を受けなくても済むようにならなければと考えてしまう。

自分の身体を守るのも、育てるのも自分

そういった感性を育てて欲しいし、親御さんにもそう思っていて欲しい。

ー選択肢の自由を与えるー

先日、ある親御さんにこう告白された。

「担当している先生には『一生装具からは離れられません。ずっとつけていないといけません。』と言われていましたが、実は内緒で装具をつけていないんです。」

かなり衝撃的な内容。。。信頼関係が築けていない。こういったこともよくある。この場合はどうするか、
自分は「それでもいいですよ。ふつうです。良くいらっしゃいます」と答えます。

将来良い方に変わらないことをなぜ治療と呼ぶのか。他の方法はないのかをまったく提示しないままのその治療方針にはやはり納得いかない。


・成績が良いと思う方法、
・少し悪くなるかもしれないけど生活を考えると進められる方法、
・まったく検討違いの方法

ー大人もこどもも患者も自分もみんな大切ー

小児を担当するにあたって、方針を決定するための要素はたくさんある。本人の年齢や体格、成長具合であったり、両親の考え方。職業や地域性、他者との関係性など様々。

よって大人もこどもも、外科も内科も様々な要素を知って初めて治療の選択肢が示せるのではないかなーと。そして病院の外の世界をしることも大切。学校であったり、地域であったり。

『これをやっていると小児リハに向いている』や、

『これを知らないと小児は無理』

なんてことは考えなくていい。
どれだけその子の生活や将来がイメージできるか。そして人の話をよく聞いてあげられるかが大切。もちろんこどもの話も聞いてあげよう。

自分のこと、自分のまわりのことも同じ様に目を向けて。

自分が一番とも思っていないが、少なくともこのことだけは他の誰にも負けないように診療を行って行きたい。そしてその精神を若い世代に伝えて行きたい。


当院を志望して連絡してきたPT学生に対しての本日の講義です。


中川将吾
小児整形外科専門ドクター

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