見出し画像

障害なんてない。とたやすく思うあなたへ

数カ月前の自分へ

この記事を見てどう思うでしょう。あ、私のことだ。と思ってできれば見過ごさないことを祈ります。今の私はというと、少しでもタイトルにあたるようなことを思ってしまったことを恥ずかしく、過去にとんちんかんで無責任すぎる記憶を、できれば人さまに知られたくない気持ちでいっぱいです。

私以外で、タイトルをみてぎょっとした方もいるかと思います。結構世の中には「障害なんてない」というメッセージをポジティブに伝える風潮ってありますよね。この社会には、もはや障害(もしくは差別)なんてない!障害を乗り越えて生きていける!など。

でも、過去の私と一緒に立ち止まって考えてみましょう。
障害ってその人由来と考えてないか?そもそも生きづらさの程度やハードルの有無をjudgeするのは私たちなのか?と。

障害と一口に言えどたくさんの場面に該当するものがありますよね。例えば、身体の不自由から日常においての移動のしにくさや、性別が理由で制約されてしまうこと、などなど。本来は人は違うのが前提であるはずなのに、いわゆる健常者、マジョリティ向けにデザインされていることがあり、社会との齟齬が生じてしまうことが“障害”になるのだと認識しています。

そうなると、障害の有無を当事者(障害があると感じている人)でない、当事者にとっての障害をとらえずにいる側が判断してしまうのは、あまりにもグロテスクだなあと思います。障害なんてない、と他者が決めつけるのはあまりにもラフすぎるし、決めるのはその体や心、意識を持つ主なのに。

だから、このグロい構造に気づいた時、勝手なポジティブメッセージを素直に受け入れようとしていた数カ月前の私に対して、冒頭のような嫌悪を抱いたのです。

左利きと社会と違和感と

自分の特権をはっきりと認識することと同じように、子どもの頃無意識に感じていた違和を、今となって割と大きな障害として感じています。

話が急に変わりますが、自然の成り行きで、気づいた時から私は左利きです。
※世の中にはたくさんの障害がありますが、それぞれを左利きの困難さと同化している訳では決してありません。あしからず。

家族の中でも、学校でも左利きは少数派でしたが、矯正されることなく過ごしてきました。

ただ、筆先の細いインクペンやハサミをうまく扱えなかったり、習字が大嫌いになったり、珍しがられることもあるけど不便だなと感じるシーンはあげればきりがないくらいです。

(あえて論うと、
スープのお玉で片方だけ尖ってるやつ、もう意味なくなります。木ベラの先端が斜めなやつ、フライパン傷つけるだけやん。食券機と自販機の銭入れるとこ、プルプルしててコンビニより買うの遅いかもしれん。)

大人になり、特権と差別構造について学ぶほど、過去の自分をより弱者にされていたなあと認識してしまいます。

もちろん同じ左利きでもそこまで困らないという方もいるでしょう。
でも、私の困り感は私にしかわかりません。

障害の有無を判断するグロさについて戻りますが、もし左利きがゆえに生じる不便さを、不便を感じることがない人から突然「左利きでも生きやすいよ!負けるな!」と言われたら。
もう、憤慨を通り越して怖くなります。
「右利きくらいできるように頑張って練習して!」と言われているようなもんです。

痛みをなかったことにしているのは全然インクルーシブではありません。そんなマジョリティ世界に統合されようとしたらたまったもんじゃない。
たまに思うんです。あゝ、パラレルワールドのように、左利きは左利きが住みやすい世界があって、または全てのものから制限されず、みんな互いを分かち合えて干渉しないところに行ってみたいな〜と。

中には良かれと思ってくる人もいます。結局は当事者の見る世界は当事者しか分からないんです。
というか、なんでいつも『〜あげる』目線なんでしょうかね。お前誰やねん問題。

特権者側がここで関わりを諦めるのではなく、当事者に向けてイメージを勝手に描くのをやめて、合理的配慮を実現することは可能です。

インクルージョンをとらえなおす

このnoteを書くきっかけとなったインクルージョン(inclusion)について考える機会があり、改めて認識のつもりで再考したけれど、調べたり深掘りを進めるうちに全く理解していないことがあることにも痛感しました。

統合でない、インクルーシブな社会を目指すために前提教育もインクルーシブな環境でなければならないと、ますます強く思います。
そして思うだけでなくこれは当たり前で権利なのだと、自分の立ち位置を客観視するとともに意識すべきだとも。

数カ月前と数カ月後の私よ。

当事者の声を、黙認するなよ。

※ヘッダー画像はLUSHで購入したふろしきの素敵な柄です

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?