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【学会参加記録】 避難所・避難生活学会2022

2022年12月10-11日 避難所・避難生活学会に参加してきました。

福井大学の先生に誘っていただき、学会のシンポジウムの演者の一人として参加してきました。

保健師はじめ行政関係者、救急医、内科医、心理師、段ボール業者、 災害や公衆衛生の看護師、弁護士、紡績(衣類)関係、まちづくり関係、NPO組織の人などいろんな人が参加しておられたようです

学んだこと

学んだことを書いてみます。なるべく正確に書きますが、もし聞き間違い、理解間違いがあったらごめんなさい。ご容赦ください。

・ 災害関連死は定義が定まっていない。避難者を患者にしてしまわない ために蛇口を閉めるのが大事。
・ JVOADという、中間支援を行なっている団体がある。

  <4つの機能>
  連携を促進する。
  全体像を把握する。
  活動を支援する。
  課題を解決する。

 その団体は、被災者支援コーディネーションガイドライン を作っている。

↓この記事がその歴史的背景がわかりやすかったです↓

・ 災害時に関わる様々なガイドラインを厚生労働省などが出している。 
  ただし、ガイドラインが現場の実情にそぐわないことも多い。

・ TKB48
        イタリアでは災害時に、Toilet 、Kitchen、Bed 全てを48時間以内に整えることができる。
  全国統一式、移動式、標準化された資機材で、標準化された訓練を受け ている。トラックの運転手、コックさん、水道の電気屋さんも協力する体制ができている。

 ⇨ これについては、例えば、福井県で最近流行っているキッチンカーの協会と災害時の連携協定を結ぶといいのではないだろうかと思います。

・ 被災自治体の職員や被災医療機関の避難所運営を行わない という価値観がある。職能支援者でかつコントロールされた姿で、業界単位でプロが関わるのがいいのではないかという意見が出ていた。

・ 保健医療と福祉の連携はまだまだうまくいっていない。
・ 中間支援組織と言っても、そのあり方は定まっていない。

なによりすぐに使える知識

銀座パートナーズ法律事務所弁護士・博士(法学)の岡本正先生のお話はとても勉強になりました。
『罹災証明書』の取得
『被災者生活再建支援金』の申請
『災害弔慰金』の申請
『自然災害債務整理ガイドライン』https://www.zenginkyo.or.jp/abstract/disaster-guideline/
のそれぞれについて、使える場合があることを提案できるようになろうという話がありました。恥ずかしながら一番下のガイドラインは知りませんでした。他もしっかりわかっていない・・。

『災害復興法学』という学問があることを教えていただきました。少なくとも診療所に実習に来る学生さんにはこの4つはお伝えしていきたいと思います。

今回の私の発表内容

2022年8月 福井県南条郡南越前町付近では、1日に400ミリを超える雨が降り、甚大な被害が出ました。診療所スタッフの一人として、コロナ+豪雨災害への対応を迫られました。今回、その時の経験を診療所の医師一人として、「BCP」の観点から発表させてもらう機会を頂戴しました。

災害について、僕は全くの素人であります。 
まさにその時、一生懸命 いろんな方と協力しながら、いや教えてもらいながら なんとか対応していました。

診療所の看護師や職員が日頃から生活まで考えていることで、災害時に「顔見知り」としての役割を果たしたこと。

などを話しました。

他のシンポジストの方の発表を伺って、初めて知ることがありました。ごくごく一部しかみれていないとは思いつつ、暮らしを見れるようにと心掛けて診療しているつもりでしたが、改善できる点がありました。
今回、災害時の活動を外部の目線から言語化していただけました。

また、「コミュニティスイッチ(各地区で決めている避難のスイッチ)」という単語があるようです。地域住民の連帯によって直接的な命に関わる犠牲者は奇跡的に出なくて済んだんだなと再確認しました。

一般的に感じられたこれからの課題

インシデント・コマンド・システム(Incident Command System:現場指揮システム)という言葉を初めて知りました。災害など発生時の組織のマネジメントのことです。

・保健 医療 福祉 の連携 や 様々なプロとの連携 ができるといい
・いざ災害が起きると いろんな人や団体が関わり、いつ、どこで、誰が・どの団体が、何をしているのかがわかりにくくなってしまう。

よりうまくことが運ぶように調整を検討な事項がありますが、何か良い体制が考えられたらいいな、避難所・避難生活学会にご参加の皆様は熱い思いを持っておられました。

最後に

理想を語るのは簡単だし、実践が一番難しい。自分一人でもできることは限られている。そもそも支援者の独りよがりは受援者を幸せしない。支援者と受援者の区別は、ちょっと違和感を感じる。

僕のような 一人の医者、ひと ができることは少ないと思うのですが、まずは、アンテナを張っておくことや、多職種や行政や福祉との連携も含め、普段の診療においても、よりよい連携ができるように心がけることで、今後に活かして行きたいと思います。

2022年12月11日