【学生実習】 2022年度始動しました!
風はまだ冷たいですが、日中は日差しが春めいてきました。2020年度、2021年度学生実習を受け入れてきました。2022年度パワーアップしてさらに学生を受け入れます。
主に、福井大学医学科新5年生 診療参加型臨床実習についての記載ですが、もし希望があればいろんな学生を受け入れたいという思いです。
これまでの経緯です。
2020年度
感染症流行のため、現地に医学生が来てくださることはありませんでした。しかし、実習をしたいという医学生の熱い思いがあり『何かできないか』と知恵を絞ったのが、オンライン外来中継、その名も『オンライン外来LIVE』でした。患者さんとオンラインで繋げて、モニター越しに話してもらう。
問診までは学生に要求していませんでした。しかし、「正当的周辺参加」(最近とある先生に教えていただいた考え方です。)として、問診をやってもらっていると、さらに学生さんは充実したかもしれません。
2020年6月9日 『福井放送 FBC おじゃまっテレ 健康いちばん』のコーナーにも取り上げていただきました。
2021年度
感染症は流行しており、人数は限られていましたが、学生は診療所に実習に来てくれました。実習の中で、長い歴史のある、当診療所で行われている、地域医療を体験いただけたのかなと、事後アンケートや、研修発表会の内容を拝見して感じています。一方で、研修の内容がややぼやけていたため、学生が学ぶ内容や深さにばらつきが大きいとも感じています。
・ オンライン宿泊
当診療所では筆者を中心として、ゲストハウスにお世話になって連携を行っています。これは学生に住民の暮らしを体験して欲しいからでした。(今は体験だけでは不十分、一体になってほしいと考えています。)。本当ならゲストハウスに泊まって欲しい!予算も確保してました。でも感染症が・・涙。オンラインではなかなか限界もありました。ゲストハウス通じて見える住民の暮らしは本当にこの上ない貴重なものである、あるけど、できるならばさらに現地の等身大の暮らしに五感で触れてほしい、そんな思いを診療所の実習プログラム責任者としては持ち続けています。
ちなみにゲストハウスにお世話になって実施したオンライン宿泊は筆者も面白かったです。学生からの評判はとても良かったです。さすが玉村屋さんのショーさんと、のっちさん!
2022年度実習プログラムの新しいチャレンジ 2つ!
① 暮らし診る地域医療を実習に実装する。
これまで提供してきた実習は医療に寄ったものです。長い歴史のある有床診療所の、良き地域医療実習を提供してきています。それだけでなく、『暮らしを診る』ことを学んでいることを学習者に感じてもらう、『暮らしを診る』とは何かを学習者に考えてもらう、そんな実習にレベルアップします。
どんな専門職でも、専門職の目線から医療介護福祉を提供するだけでは本当の暮らしは見えませんし、学生としても十分に背景を理解して、ケア・キュアすることはできません。
感染症の状況にもよりますが、暮らしそのものに寄り添う、一体化する、そんな実習プログラムを提供します。具体的に何をするかはお楽しみで。あー、楽しそうです。ワクワク。
② オンラインツールを積極的に使用する。
Slack と Zoom と Google form を 積極的に使います。これによるメリットを追求します。
・ 事前の学習ニーズ調査、目標設定
福井大学医学科新5年生 診療参加型臨床実習で診療所に1人の学生が来てくださるのは平日5日間/人です。来てから目標設定していたらそれだけで1日目が終わってしまってもったいない。Google formであらかじめ書いていただきます。懸念事項としては、アンケートの負担が過大にならないかということです。学生の感想も聞きながら、PDCAしていきます。
また、事前にZoomで15分程度オリエンテーションを行って、学生の不安解消に努めます。
・ 振り返り
夕方に私もしくは所長先生で振り返りを行っています。2020年度は、 Slackを使用してオンライン外来実習の振り返りをSignificant Event Analysis(SEA)形式で行いました。Slackの使用は医学生は大変じゃないかなと思っていましたが、ほとんどの方は上手に使ってくださいました。もちろん使えない方に対するカバーも大事ですが、振り返りの時間も15分以上はとりきれず、後から質問が出てくることもあったので、学習者にはいつでもSlackに書いてもらえますし、こちらも都合が良い時間帯にお返事ができたり、資料共有も簡単です。
・アンケート 事前事後アンケートをGoogle Formでとることで、指導者も統計的にも比較できるようになります。
③ 実習プログラムとしての一般目標、個別目標の策定
2021年度 初期研修医の地域医療+一般外来研修受け入れにあたって、学習目標(一般目標、個別目標)は定めていましたが、学生実習については上記のように定めていませんでした。今回、こちらも策定しました。
これも随時改変していこうと思います。
一般目標のみ少し見せますと・・
地域に根差した公立・有床の診療所の一員として、患者や家族、地域にケアを提供するために良好なコミュニケーションをとりながら、住民の「健康」と「暮らし」を支えるために、住民・多職種と協働することができる。
まとめ
いかがでしょうか?
まあ、きっとうまくいくことも改善すべきことも出てくるでしょう。
筆者が今年の学生実習の基盤に据えたのは地域基盤型教育です。
診療所、地域の専門職、住民など皆さまにお世話になりながらの実習であり、感謝ばかりです。
実習受け入れを通じて
・地域の方が元気に、楽しく、その人らしく暮らせるお手伝い
・学生の今後に役立つサポート
を行っていきたいと考えています。
来年はどんな出会いがあるかなあ。
さっき、早速一人目の学生さんにメールを送りました。
学生や研修医の発言や態度から自身がハッと気付かされることがあります。最終日の発表会も楽しみの一つです。
できれば、福井大学以外の学生も実習の受け入れもやって、多様な考え方に触れてみたいなあ。
地域医療の定義はここでは割愛しますが、人口減少する山間部や沿岸部の医療体制の確保の継続は今後も大きな課題でしょう。『暮らし診る』実習を提供することで、未来の地域の診療所の医師不足やスタッフ不足の解消・改善、働き方改革にもつながり、さらに地域医療のやりがい向上、や地域の医療の継続につながると筆者は信じています。
最後は筆者の呟きでした。
2022年3月11日