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教員の家庭ってどうなの?

親が学校の先生をやっていると、誰にとって幸せ?

親が学校の先生をしている家庭について、みなさんどう思われますか?

  • 家でも勉強が教えてもらえるからいいね。

  • 進学先選びことが相談できるからいいね。

  • 子育ての情報をよく知っているからいいね。

こんなイメージでしょうか。
たしかに子育てや学校に関する情報は、他の家庭に比べると入りやすいかもしれません。
でもそれって、子どもにとって本当によいことかな?

子どもと接するときは、親は「親」であるほうがいいかなと思います。
先生だから何でも知ってるわけでもないですし、自分が知っている情報を子どもに与えたり、親の考えを押し付けたりするよりも、子どもに寄り添って一緒になって考えてみたほうがいいです。
学校の先生と生徒の関係でも、そのようなスタイルが今はスタンダードになってきていますし。
でもこれは自分でかなり意識的にやらないとできなくて、油断するとつい「学校の先生」が出てしまいます。そうなると、子どもからしたら「親」なのか「先生」なのか、家なのか学校なのか分からなくなってしまいます。

親の目線、先生の目線

子どもに対する「親の目線」か「先生の目線」の違いがあります。
親であれば「わが子が第一、わが子中心」で考えるのが自然です。
幼い頃からの成長に寄り添い、将来にわたって関わり続けるであろう関係だからです。
先生は様々な子どもたちと関わりながら、それぞれの特長を伸ばし、近い将来につながる支援を客観的な視点を持ってアドバイスしていく関係です。
いろいろな見方や考え方に触れながら、親も先生も一緒に成長していけるといいですね。

現実の教員家庭は…

最近では、教員の多忙化についてニュースにも取り上げられることが増えました。
私自身も、朝早く出勤〜夜遅くなるまで職員室で仕事、あるいは授業準備などを自宅へ持ち帰って行う、のような生活を続けてきました。
どの仕事にも「どこで見切りをつけて仕事をするか」という観点がありますが、教育という仕事はここが曖昧になっている気がします。
どれだけ頑張って成果を出しても、特に給与などに反映されるわけではありません。
でも元々、教員という仕事に夢をもって選んできた人ばかりですので、どこまでも貪欲にやりたがる傾向があります。

となると、家に帰っても頭の中は「学校の大勢の子どもたち」のことでいっぱい。目の前のわが子そっちのけで、他人の子どものお世話ばかりしていたり…。
平日は朝から夕方まで、子どもたちは学校で過ごしていますので、そこで関わる先生たちは自宅でわが子と過ごす時間よりも圧倒的に多い関わりを生徒にもつようになります。

逆に、わが子が学校でどのように過ごしているか、については、他のご家庭と同様です。
みなさんのご家庭で「学校で先生にきいてみなさい」と言われる状況と全く同じことが起きるのです。

子どものストレス

子どもからしたらどうでしょうか。
友達から「親が先生だから、家で親に教えてもらえるからいいね」と言われることがストレスにならないでしょうか。
子どもが自分で頑張って勉強しているのに、そう言われると…。
そして親に対しては、他の子の世話ばかりしているのに自分のことは面倒見てくれない、見てくれていない、と思ってしまうことも…。
どの家庭のお子さんであっても様々なストレスを抱えて生活していると思いますが、教員の家庭は少し特別な気がします。(あと、医者や政治家も)

私の周囲では、同僚教員の子どもに不登校が増えています。
またそれは、仕事熱心な方のご家庭に多いと感じています。プライベートなことで統計などのエビデンスがないのですが、傾向としてはあると思います。
どの家庭でも同じですが、できるだけ自分の子どもと過ごす時間を確保したほうがよいです。
同じ家でずっと一緒に過ごしていても、「見てほしい」と感じるその瞬間は「今」しかないですから。

親と先生との繋がり

基本的にほとんどの親は、子育てに不安をもつものだと思います。
教員であっても同じで、わが子のことは学校の先生に尋ねて初めて知るようなことはたくさんありました。
となると、親と学校との関係がたいへん重要になってきます。
ところが、現実の学校は「地域に開かれた学校に」というかけ声とは逆に、「子どもたちの安全を守る」という管理・責任の問題もあって物理的にも精神的にもどうしても閉鎖的な状況になりやすいです。
硬直化した状況では、地域や親からの要望に対して柔軟に答えることもできず、子どもたちも伸び伸びと過ごせません。
私はPTA役員を引き受けたことがありますが、先生と様々な話をすることができ、子どもの生活に安心感をもって対処できるようになりました。
他の役員さんとお話できたこともよかったです。
先生方の忙しさに加えて、親からの要望がモンスターペアレントとされる、そんな状況は好ましくありません。
子どもたちが安心安全に楽しく過ごせる学校にしていこう、などといった共通の目的をもってみると案外スムーズに話ができそうです。

学校と親の両方の立場が分かる「教員の親」がそのあたりをうまくコントロールしていければいいかな、と思います。

地域の大人として

職場では「学校の先生」として過ごし、家庭では「親」として過ごす、当たり前のことができることがまず基本です。
そして、「地域の大人」として周囲と関わり合うことができれば、教員としても親としても役に立つと思います。
教員として親として忙しい毎日ですが、自分自身が両方の立場において地域で孤立しないことです。
さらに地域で孤立している保護者を周囲と繋いでいけるのも、先生であるあなただからこそできることです。
子どもたちが楽しく過ごせる地域にしていけることが、今一番大切なことのように感じています。
それができるのは今まさに子育て中の私たち自身なのですから。


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