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★映画鑑賞note:"The Ploughman's Lunch" (1983)

ジョナサン・プライス出演作品、日本版リリースがされていないものを、幾つかDVD購入しました。(アメリカのAmazonだとPrime Videoで見れるのが多いのが何とも。。。日本でも見れるようにしてほしい)その中から紹介します。

おそらくジョナサンのフィルモグラフィの中でもマイナーな作品ですが、若いころ、テレビの社会派ドラマに多数出演していたようで、その流れを汲む作品のようです。『ロッキー・ホラー・ショー』のティム・カリーと共演しています。フォークランド紛争当時のイギリスを舞台に、BBCのラジオ記者(ジャーナリスト)であるJames(ジョナサン)が、スエズ危機に関する自らの著書のためのリサーチと、思いを寄せる上流階級の女性Susanを手に入れるために、手段を選ばず突き進んで行く話で。。。自分の野心のために人を利用したり嘘をつく、嫌な奴の役です(笑)。歴史学者のSusanのお母さんとも、あれこれ。。。!

JamesもSusanも友人のJeremy(ティム・カリー)も、その他主要人物は皆同じような感じで、あまり感情移入はできませんが、マスメディア業界の裏側や、階級問題(Jamesは両親が労働者階級なのを恥じている)、世代間のずれなど、1980年代当時のイギリス社会の様々な問題を、フォークランド紛争や、Jamesが調査するスエズ危機(第二次中東戦争/1956〜57年)の話を絡めて描いています。イギリス現代史やイギリス社会についての深い知識がない&英語力の限界もあって、外国人の私は全部理解するのは難しいと思ったのですが、マスメディアの情報操作だったり、誰でも利用する利己的な人々の様子だったり、家族を顧みない様子など、結構刺さる部分も。。。現代社会の無関心さや空虚さも、うまく捉えて描いている印象でした。そして、すごく英国的な映画。

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ジョナサン、『ブラジル』以降の作品と比べると、かなり抑えた演技をしていますが、複雑な感情を表す、細やかな表情の演技だったり、聞き取りやすいどこか歌うようなセリフまわし(シェイクスピア劇からきているのだと思われます)が、すでに完成されていて素敵です。そして30代の頃なので、まだ可愛いです。(笑)エルヴィス・コステロ風のウェリントンめがね姿に、思わず萌えてしまいました💕 タイプライターや黒電話、アングルポイズのデスクライト、Jamesの愛車(Jaguar)、『エセルとアーネスト』のようなJamesの両親のお家など、レトロ好きには見どころも多いです。ちょうど自分が生まれた1982年頃が舞台なので、興味深かったです。

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<ちなみにタイトルの"Ploughman's Lunch"とは、イギリスのパブの定番料理。(レシピを参照に作ってみましたが、とても美味しかったです)1950年代に牛乳会社のマーケティングによって広まった、恵方巻きのような由来があるそうです。>


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