見出し画像

★映画鑑賞note:"未来世紀ブラジル"

楽しみにしていた、午前十時の映画祭の「未来世紀ブラジル」、今週末から始まったので、早速見ました!
未だの人も、DVD等で見たことある人も、映画館のスクリーンで見るのは格別なので、ぜひ。内容は、クライテリオンからリリースされているディレクターズカット版と同じでした。(オープニングが雲の映像)*Group Aの映画館では10/15〜10/28、Group Bは10/29〜11/11まで。

ギリアム作品は何度見ても、新しい発見が幾つかあるので、飽きません😊(※私は) 特にサムライや電気椅子などのシーンは、映画館のスクリーンのサイズで見てこそのスケール&インパクトだと思いました。

サムの住むフラット(パリのマルヌ・ラ・ヴァレというニュータウンにある、ポストモダン建築のアパート)や、ママの家(レイトン・ハウス・ミュージアム)のインテリアなど、小さな画面では見えない結構細かい部分もはっきり見れたのは、嬉しかったです🌷 (ちなみにママのお友達Mrs. Terrainのお葬式のシーンは、かつてのBig BIBA(デパート)のRainbow roomだそうです)

個人的には「ここにこんな伏線があったんだ〜」と、今更ながら気づくこともあって、何回見ていても面白い映画だなぁと、つくづく感じました。そして、畳み掛けるように早い展開で、あっと言う間の145分。。。もっと夢のシーンを詰め込むつもりだったそうですが、この時間感覚なら、もう少し長くても見れそうな気がしました。

40年経った今見ても古臭さを感じさせないのは、そもそも未来ではなくレトロな1940年代風のヴィジュアルだったのもありますが、テーマが普遍的なもの(社会の中の理不尽や格差、信頼や責任、他人に対する愛や思いやりの欠如など)で、アリスのように穴に落ちて様々な夢を体験(過去の名作へのオマージュも絡めつつ)しながら、夢は現実に打ち克つことができるか/現実から夢の世界に逃げ込むことは悪いことなのか。。。ということを、それぞれの解釈で考えさせてくれるところにあると思います。

♦︎よく比較される『1984』、映画のDVDを借りて見たのですが、あちらは正統派ディストピアというか、戦争の時代を反映した内容は、色々考えさせられるものはあるものの、ダークで受け付けられない部分もあって、見た後の気分が。。。⤵︎ 『ブラジル』はブラックながらコメディ要素も強い作品で息抜きできるし、登場人物もユニークで面白いし、不条理だけど憎めないので、私は大好きです。(『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』の主演の2番目の候補に挙がっていたのが『1984』主演のジョン・ハートで、結局降板したため『ブラジル』のジョナサン・プライスに回ってきた、というのが興味深いです)

♣ジョナサン・プライスが大好きなので、若い頃のハンサムなスーツ姿がスクリーンで見れるのも、素敵でした😍 薄グリーン/やや茶色の瞳が綺麗で印象的です。(メガネ姿の『2人のローマ教皇』でもそうだったのに、『ドン・キホーテ』ではブルーだったので違和感あったのですが。。。カラコン??)柔らかで落ち着いた声で、英語の発音も解りやすいので、ほぼセリフ聞き取れるのが嬉しい! ジョナサンが読む名作の朗読テープがあったら欲しいと、いつも思っています。

思いが強すぎて(?)、結局纏まらない文章でしたが、オススメの名作なので、ぜひ映画館でご覧ください❤️

画像1

『ブラジル』っぽい青空だったので📷

<10/24追記> 

♦︎終了する前にもう一度見に行ってきました。気になっていた箇所を確認する感じで見ていたのですが、同じイメージやセリフが、違う人物によって違う意味で繰り返されたり、”ジル=サムのママ”説を後付けするような場面を幾つか見つけたり、また新たな発見がありました。同じイメージの繰り返し&スキャパレリ風の靴の帽子は、ダリの作品を思い起こさせます。

夢がテーマだったり、鎧だったり、後の『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』に繋がっている部分も色々と感じて、こちらもまた見たくなりました。(あと『2人のローマ教皇』のフランシスコがずっとちらついてたのですが、こっちは単に表情や見た目だと思います。同じ人なので当たり前だけど。。。)

↑に書いたロケ地のマルヌ・ラ・ヴァレのアパートは、サムが住むフラットだけでなく、教会やショッピングモールのシーンでも使われていて、リンク先で実際の場所の写真を見たばかりだったので、「これだ!」とちょっと嬉しかったです。

📺

♠︎おまけ:<約40年後のサムとライムとジャック>

👆一時間以上あるビデオですが。。。テリー・ギリアム監督80歳記念で公開された、お祝いインタビュー&コメントのプログラム。『ブラジル』からはジョナサンと、ジャック役のマイケル・ペイリンと、ライム役&共同脚本のチャールズ・マッキオンが登場してます。3人とも、すっかりおじいちゃん。。。


この記事が参加している募集

映画感想文