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『メイキング・オブ・ムナカタ』展を観る


ただいま富山県美術館で開催中の『生誕120年 棟方志功展 メイキング・オブ・ムナカタ』、開幕してすぐの3月半ばに見てきました。タイムライン順に、青森〜東京〜富山〜東京→世界のムナカタへ、といった内容の展示で、主要な作品だけでなく貴重な作品や資料も多く、めちゃくちゃ充実した展覧会でした🌟
(+幸運なことに、開幕記念の、原田マハさん&石井頼子さんのトークショーにも参加することができました!)

ほとんどの作品が写真OKだったので、特に気に入っているのをご紹介します。富山展は今月21日までで、書くのが遅くなりましたが、このあと青森→東京へと巡回するので、これから見る方のご参考になれば幸いです😊


基督の柵(1956年)


「基督の柵」、大好きな作品なのですが、この日本民藝館所蔵のは、表装が3つとも素敵です😇 ちなみに柳宗悦による指示書まで展示されています。

色合い&デザインが、中世の騎士団の服っぽいと思うのは私だけでしょうか?



立山連峰を望む海岸風景(1950年頃)

立山を描いた油絵作品。海に山に空に、さまざまな色合いのブルーが綺麗です。


華厳松(1944年)


クローズアップ


躅飛山光徳寺さんの有名な「華厳松」も見れました!👀 迸る墨!(”躅飛飛沫隈暈描法”というそうです)ポロック達よりも10年くらい前の時代なのに、時代を先行くセンスが凄い。。。
トークショーでは、原田マハさんが「寝転がって見上げて描いた目線」と指摘していて、なるほど〜!と思いました。自伝にある「そこにある筆と墨を掻き集めて、一気に描き上げた」という話は、誇張だそうです(笑)。
ちなみに裏面には可憐なお花が描かれていて、ギャップが素敵です💕

「稲電・牡丹・芍薬図」(1944年)



捨身飼虎の柵(1974年)


サイン横の言葉にも注目です。(クリックで拡大します)


最晩年の作品。お釈迦様が子供を産んで飢えた虎に、自分の身を差し出すという説話がモチーフ。 写真では分かりづらいですが、金色で彩色されていて、モノクロの画面との対比が美しいです。



歓喜自板像・第九としてもの柵(1963年・1974年摺)


沢瀉風の柵(1970年)

志功さんの自画像2つ。他にも色々展示されていますが、かわいいのを選んでみました🤓 左側の目が閉じていたり赤くなっているのは、当時既に左目が失明してしまっていたからだそう。(トークショーでの石井頼子さんのお話より)


花矢の柵(1961年)


大世界の柵(1963年)
倉敷国際ホテルのロビーを飾る作品。


棟方デザイン浴衣(1971年)



この展覧会、壁画などの大型作品はもちろん、関連資料や棟方が手掛けた本の装丁など、なかなか見ることが出来ないものが多く展示されているのもポイントです🌼 
青森県庁の壁画、倉敷国際ホテルのロビーの版画、ねぷた祭りの浴衣や凧絵などなど。


何と生涯に1000冊もの装丁を手がけたとか


『白樺』のゴッホのひまわり

他にも東海道を描いたシリーズや、本の装丁、自書の装丁、「ワはゴッホになる!」というきっかけになった『白樺』のゴッホのひまわりの原色版🌻と青年時代のお写真といったものも。有名な「わだばゴッホになる」というのは、草野心平の詩のタイトルで、本人がそう言ったのでは、ないのだとか。(石井さん)


二菩薩釈迦十大弟子(1939年)右側
同上:左側


もちろん代表作「二菩薩釈迦十大弟子 」もありました⛹️

↑ 最近、話題だそうですね😊


愛用のカメラはオリンパスのPEN


展示の最後には愛用品の眼鏡や双眼鏡やカメラ、ベレー帽、筆と共に志功さんブランド(?)の「世界彫刻刀」が。。。
まるで、志功さんがすぐそこに居るかのように感じられる展示でした😊



📖 志功さんの板画作品はどれもデザイン性が優れていて、明快でわかりやすいので、前知識なしに、ふらっと入って見ても十分楽しめますが、行く前に『板極道』といった自伝や、孫の石井頼子さんの著書『もっと知りたい 棟方志功』などのガイド本を読んでから行くと、もっともっと楽しめると思います。(図書館で借りることができます)

私は『板極道』が好きなので、あの話のあれはこれか〜!と、いちいち感激しつつ、見てしまいましたが、実は何割かは作り話だそうで。。。😅
自伝でさえ、作品と考えていたふしがあったそうです。びっくり。
志功さん、勢いで作品を作っているように見えて、実は構成などしっかり考えて準備してから彫り始めていたそうで、そんな二面性や構成美などを考えて観ると、一層楽しめる展覧会となっています。

展示数が多いので、じっくり見ると2時間くらい掛かります。行かれる方は、ぜひ時間の余裕を持ってお出かけくださいね🧑‍🎨


<おまけ>

外務省の海外向けの紹介フィルムのようです。他の民藝や工芸作家と共に、志功さんの作品づくりの様子が紹介されています。