徒党を組む味覚

何だか気候がおかしくて、いつが季節の変わり目なのか判然としない。

もはや紅葉でも衣替えでもなく、コンビニの店頭で「栗系のものが多くなったな」と思ったら秋、みたいな季節感覚になっている。

そして毎年思うが、季節になったら徒党を組んで店頭に並ぶ味覚って誰が決めてるんだろう?会議とかあるんだろうか。

「えー、今年もそろそろ栗の味覚を並べる時期ですが、異論ないですかな?」

「あの、毎年栗だと代わり映えしないので今年は芋を主役にしては?」

「芋って君、主役としては華がないんじゃないのか?もう芋の季節なんだーとかあまりにも情緒がないだろう」

「あ、では主役は栗で、脇役として紫芋というのはどうでしょう?」

「紫芋か、、それはなかなか名脇役になるかもしれんな、、採用!」

ないか、こんな会議。

にしても、まだ栗はわかる。わからないのはレモンだ。

普段から調味料もしくは飲み物的な存在感しかないレモンが「レモンの季節が来ましたよー!」とばかりに「素材としてのレモン」を押し出して店頭に並ぶときの違和感。

「お、おう、、、そうなんだ」と戸惑いつつ、じゃあとばかりに「瀬戸内レモンのクリームパン」を買ったら「レモンの風味がする普通のクリームパン」で特に「レモンだったなー!」という感慨もなく「まあ、クリームパンだったよね」となるあの気持ち。

もはや季節を告げるためだけに使われてる気さえする。そういえばそのクリームパンを買う時にレモンの酸っぱさを全然想起しなかったな。

それは栗もそうだ。僕は祖父母の家が丹波篠山にあったから、人よりも美味しい栗に親しんでいる自負はある。自負?まあいい。だけど秋になって徒党を組んだ栗系の商品を手に取るとき、栗の味は想起しない。

栗にしてもレモンにしても、味覚じゃなくて情報を消費してるのかもしれない。季節感の情報。

そう考えるとチョコミントは季節感の情報としてもよくわからない。よくわからないのにあれだけ徒党を組めるのはすごいと思うけど。

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