見出し画像

準々決勝の見どころ~2024高校サッカー選手権奈良大会~

 10月12日(土)に開幕した全国高校サッカー選手権予選の奈良大会は遂にBest8が決まりました。
 いよいよここからが県代表をかけた本当の闘いが始まります!

 おかげさまでBest8の顔ぶれは過去1ヶ月で試合観戦した高校ばかりになったので簡単ではありますが各対戦カードの見どころを書いてみました。


◼️対戦カード確認

 勝ち上がりのトーナメント表と準々決勝の対戦カードは下記の通りです。

3回戦結果反映済み(10月19日時点)

 トーナメント表からもお分かりの通り4シードの五條と8シードの香芝が3回戦で敗退しており、代わってノーシードの法隆寺国際と16シードの一条が準々決勝に進出しています。

 対戦カードと会場とKICK OFF時間は上記ポストの通りでナラディーア会場には優勝候補の3校が集まるので混雑必至だと思います。

 あと注目するのはノーシードで1回戦からの勝ち上がりで3回戦で4シードの五條にも快勝して一気に注目度がアップしている法隆寺国際だと思います。

 それでは対戦カード毎に見どころを確認していきます。

◼️各ゲーム見どころ

①生駒 vs 高田商業

 まずは大会展望の復習になりますが生駒高校の攻守のスタイルがインターハイの時からあまりブラッシュアップされないまま今大会を迎えている様に感じています。

【生駒高校】
3回戦○2ー1山辺高校

【高田商業高校】
3回戦○3ー0郡山高校

 今大会の山辺戦がどんなゲームだったかは観戦していないので存じ上げないですが、決して守備が堅いとは言えない山辺が前半無失点だったところを考えると、セーフティに後ろを重ために守備重視でゲームに臨んでいたのではないか…と考えられます。

 それから想定すると高田商業の攻撃力なら少々押し込まれても跳ね返せる可能性が高いと考えられるため、1-4-4-2で基本的な攻撃はFWとSHの4人を中心に回しながら、CHとDFラインの6人+GKでガッツリとリスク管理すれば絶対条件の無失点をクリアしつつ、ロングボールを使いながらセットプレー等で押し込めるチャンスがくれば人数をかけるといったプランで、生駒はセーフティに臨んでも高田商業に対して確実に勝ちにいけると判断してくると思います。

 対する高田商業は準々決勝の対戦相手が山辺ではなく生駒が勝ち上がって来たので劣勢な状況には間違いなく、そのため当該カードで高田商業はシステムを1-4-4-2のミラーゲームに持ち込んだ方が良いと考えられます。

 理由としては生駒が高田商業に対して上記で述べた様にリスク管理してセーフティにロングボールを多用してくると考えられるので、マンツーマン気味にボールホルダーに対してパスコースの制限をかけながら生駒のプラン通りロングボール蹴らせれば、生駒のキック精度も低くなるため高田商業の技術だとボール回収は十分可能だと考えられます。

 高田商業としてはサッカースタイル的にボール回収したら底で循環させながらビルドアップしたいところだとは思いますが、そうする方が中盤でパスカット狙ってショートカウンターが得意な生駒にとっては有難いシチュエーションとなるので、逆にロングボールで生駒DF裏へ蹴ってビルドアップが得意でない生駒に再びボール持たせてリスタートさせる方が生駒にとっては嫌な展開に持ち込めると考えています。

 こうなると内容的には蹴り合いの退屈なゲームになってしまいますが高田商業がインハイ王者の生駒に勝つ可能性を高めるにはこれかな…と思うので延長戦も見据えてスコアレスで終盤まで持ち込み、生駒がロングボールを使って押し込んできた時の前線とDFラインが分断されたライン間スペースを見逃さず、FWのポストプレーから落として生駒DF裏にスルーパスを通すワンチャンを狙った攻撃プランで良いと考えました。

分断して間延びしたスペースを使う
~スペインサッカー研究所より引用~
ポストプレーから落として裏狙い
~スペインサッカー研究所より引用~

 もし生駒のプランがセーフティではなくリーグ戦で見せていたビルドアップしてくるプランで来たら、逆にビルドアップが得意な高田商業にもチャンスは広がると思います。

 当該カードは生駒優位ながらも高田商業もプランによっては準決勝進出の可能性を秘めているので接戦に期待したいと思います。

②奈良学園登美ヶ丘vs法隆寺国際

 大会展望で書いた通り法隆寺国際のビルドアップは県1部リーグでも十分通用する展開力を持っており、実際に3回戦でも4シードの五條に4得点で撃破した攻撃力を見せつけたので、準々決勝でも奈良学園登美ヶ丘に対して優位なゲーム運びをすると考えています。

【奈良学園登美ヶ丘高校】
2回戦○6ー1王寺工業高校
3回戦○1ー0橿原高校

【法隆寺国際高校】
1回戦○7ー1高取国際高校
2回戦○6ー0高田高校
3回戦○4ー1五條高校

 奈良学園登美ヶ丘もビルドアップする展開力を待ち合わせているのと、法隆寺国際が到底自陣に引いて守りきれる相手ではないので奈良学園登美ヶ丘としては、打ち合いの展開に持ち込めれば良いのですが、法隆寺国際のハイブロックから相手CBやSBに対する前線のチャレンジ&カバーのプレッシング強度も高いため、奈良学園登美ヶ丘が打ち合いに持ち込むためには法隆寺国際のハイプレスを掻い潜ってビルドアップできるかどうかにかかってきます。

 もし奈良学園登美ヶ丘が法隆寺国際のハイプレスに負けてロングボールを蹴る様な事になれば、法隆寺国際にボール回収されてはスピード感溢れる中盤と連動したサイドアタックに翻弄される可能性が高いため当該カードは法隆寺国際の優位は変わりないと考えています。

③大和広陵 vs 一条

 大和広陵ブロック右側の県1部リーグブロックは一条が大会展望に書いた予想通り堅守で天理、香芝を接戦の末に撃破して準々決勝進出を果たして来ました。

 対する左側の県3部リーグブロックは4シードの大和広陵の実力値を見誤まり奈良北を圧倒して勝ち上がりましたので準々決勝の対戦カードは一条vs大和広陵の対戦カードとなりました。

【一条高校】
2回戦○2ー0天理高校
3回戦△0ー0香芝高校
(PK戦7ー6で一条勝利)

【大和広陵高校】
3回戦○7ー2奈良北高校

 一条はリーグ戦より4試合連続クリーンシートを達成しており守備面の強化は今大会に間に合った様なので、県3部リーグで100得点以上あげた攻撃力を備え3回戦でも7得点快勝の大和広陵を持ってしてでも一条の堅守を破るのは簡単な事ではないと考えています。

 インターハイ準決勝で生駒の個人能力に圧倒されまくった大和広陵のゲームを現地で観ただけに、県1部レベルの強度にも大和広陵のサッカーが通用するのか?という点では、大和広陵前線の個人能力を持ってすればFWへのポストプレーから中盤も押し上げるパターンで得点する可能性はあるとは言え単調な攻撃になってしまうと一条のブロックに跳ね返される事が想定できます。

 それより問題は大和広陵の守備側で前線が押し込んでもDFラインが後ろに重たく間延びによる分断でライン間にスペースが出来やすいため、そこを一条の監督さんが狙わないとは到底思えないのでライン間の空きスペースで縦パスを受けてくると考えられます。

 そうなると一条は中盤を経由してサイド展開をしてくると思うので、スライド対応が遅れがちな大和広陵にとってはサイドからのクロスボールに対してボールウォッチャーとなり、ボールサイドに集中するあまりファーサイド側の守備が疎かになるという不安面が露呈するシーンも増えて、一条が得点を重ねる可能性も高いと考えられるため当該カードだと一条の方が優位と考えています。

④畝傍 vs 奈良育英

 奈良育英ブロックは大会展望にも書いた通り、いよいよメインイベントの準々決勝の日が近づいて来ました!
 両校とも初戦の3回戦を共に12対0という圧勝で勝ち上がり全く死角なしという状態でこの日を迎えます。

【畝傍高校】
3回戦○12 ー0奈良大学附属高校

【奈良育英高校】
3回戦○12 ー0東大寺学園高校

 当該カードのプレビューは大会展望内にも少し書きまし上記に添付したnoteにも今大会の前哨戦となったリーグ戦のプレビューも書いてきましたが、奈良育英の3回戦を観戦して少し印象が変わったので、そのあたりもアップグレードしながらゲームの見どころを考えていきます。

 その前にまず試合前の下馬評をボクがアンケート取ったところ400票近く投票を頂きまして、恐らくほとんどが奈良県内の方が投票した思われるので畝傍の方が6対4で優位という結果となりました。

 全国的に5万6千のフォロワーを持つ高校サッカーをもっと!!さんのアンケートだと県外の方が畝傍の存在を知る由もなく奈良育英の優勝と予想されている方も多い様ですし、ボクも過去に何度か同じようなアンケートを取った事がありますが、これまでの記憶では7割ぐらいは奈良育英を優位と投票する方が多かったです。

 何でこんなに県内サッカーファンの印象が変わって来たのかというは、畝傍のここ数年の躍進と下記添付noteにあります通り今年の新人大会や、リーグ戦での奈良育英との直接対決で互角に戦える様に成長したチーム力に対する評価なんだと考えています。

 すいません…話しが脱線しましたが本筋に戻してゲームの見どころに進めていきます。

 これまで奈良育英は縦に速いサッカーでピッチの幅をあまり使わないサッカースタイルだと思っていたのですが、3回戦の東大寺学園戦では守備の強度が低かったのもあってか今大会から新しく取り入れて来ているプランを感じたので少し紹介していきます。

 ポストにもある通り底でボール循環してから中盤ボランチを経由して逆サイドへ展開するシーンを畝傍戦のため?なのか実戦練習している様に見えした。

ボランチを経由しての逆サイド展開
~スペインサッカー研究所より引用~

 ボランチを経由してボールサイドでのサイドアタックなど積極的にボールと人を動かしているところは畝傍戦を意識している様でした。

ボランチを経由してのサイドアタック
~スペインサッカー研究所より引用~

 東大寺学園戦では従来の縦に速い攻撃も仕掛けていました。

SHを絞らせてSBオーバーラップ
~スペインサッカー研究所より引用~

 FWへの縦パスからポストプレーによる相手DF裏を狙った攻撃パターンも使っていました。

ポストプレーから落として裏狙い
~スペインサッカー研究所より引用~

 サッカーボードではSHが落ちて受けていないけどイメージはこの様なSBのオーバーラップもありました。

左SBのオーバーラップ活用
~スペインサッカー研究所より引用~

 選手権での取り決めだと思うけどローブロックで構えられた時の対策でペナルティエリア外からでもシュートコースが開けばミドルシュートを積極的に打って行こうという狙いも感じました。

ローブロックに対するミドルシュート
~スペインサッカー研究所より引用~

 この様に奈良育英はこれまでの縦に速いサッカーにプラスして県リーグで畝傍戦に負けた対策を準備しているのを十分感じられた3回戦だったので畝傍もリーグ戦のイメージのままゲームに臨んでは正直厳しいかも…と思いました。

 畝傍の監督さんなら同じプランではゲームに臨まないと思うのでブラッシュアップされた奈良育英に対して準々決勝でのプランを予想していきます。

 その奈良育英は東大寺学園戦ではメンバー落としている様にかんじたので畝傍戦のスタメンはこんな感じかと予想しました。

奈良育英高校予想スタメン

 対する畝傍は背番号がリーグ戦と変わってるかもしれませんがリーグ戦での奈良育英戦のスタメンはこうでした。

畝傍高校予想スタメン

 選手層を比較すると畝傍は奈良育英との格差はあるもののリーグ戦と違って交代カードは5人までなので当該ポイントについては畝傍にも多少助かったと思います。

 そうは言っても奈良育英は選手層を生かして畝傍に対して量的優位性を生かして前半から消耗戦に持ち込んでくると思います。

 そのため大会展望にも記載した通り前半勝負で奈良育英は畝傍に対してハイブロックからのハイプレス移行でガンガン前線の選手にプレッシングさせてくると考えています。

 もし奈良育英が序盤からリスク回避してロングボールを蹴り込んでくる様だと、これは畝傍にとっては願ったり叶ったりで前半はそれに付き合えば良くて、畝傍サイドからすれば前半は出来るだけスタミナ温存して後半勝負に持ち込みたいと考えていると思うので、前半戦は奈良育英がどっちのプランで選んできても畝傍はロングボールを多用して押し返すプランで入った方が無難だと考えます。

同サイドへのロングボール対応
~スペインサッカー研究所より引用~
逆サイドへの対角ロングフィード対応
~スペインサッカー研究所より引用~

 もし奈良育英のハイプレスが厳しとなればゴールライン際までハイプレス引っ張り込みボール循環で回避しながら、奈良育英のハイブロックが間延びして分断するのを誘い、ライン間にパスを通して前進させるかボールサイドへのロングボールで陣地回復を狙えば良いと考えられます。

ゴールライン際で循環してプレス回避
~スペインサッカー研究所より引用~
ハイブロックを分断させて前進
~スペインサッカー研究所より~
同サイドへのロングボール対応
~スペインサッカー研究所より引用~

 前半戦として奈良育英は先制点を取りたいプランで入って畝傍はスタミナ温存しながら無失点でハーフタイムを迎えたいプランで入ると予想しています。

 後半戦に入れば奈良育英は50分前後からプレッシングで飛ばしてきたSHやFWを順次交代させてリフレッシュしてくると思うので引き続きプレッシングの強度は落ちないと考えた方が良さそうです。

 畝傍サイドも奈良育英がメンバー交代させてきたタイミングから少しずつギアを上げてミドルブロックで中盤に入ったボールに対してプレッシングをかけてボール奪いに行き奈良育英をひっくり返しにかかると思います。

中盤プレス⇒ショートカウンター狙い
~スペインサッカー研究所より引用~

 畝傍としては奈良育英が中盤を経由してボール動かして来たら中盤のプレッシングで慌てさせてパスカットさせてボールを奪いに行きたいところです。

 ただし気をつけたいのはプレスミスにより奈良育英に背中を取られる様であれば逆にカウンターで失点する可能性が高くなるので、あくまでも畝傍はプレッシングでボールを奪いに行くというよりパスコースを切って奈良育英にバックパスをさせたいところです。

 畝傍は後半に入ってボール保持した際には底ボール循環からIHに構造を変えて貰いSBを高く上げてサイドの攻撃を分厚つくしたり…

底ボール循環からのサイド攻撃
~スペインサッカー研究所より引用~

 類似してDFラインを押し上げてSBのオーバーラップから奈良育英陣内に深く侵入したり…

DFライン高くサイドで敵陣深く侵入
~スペインサッカー研究所より引用~

 最終的には畝傍は押し込んで戻す形のマイナスクロスでフィニッシュするのが理想的だと考えています。

マイナスクロスでフィニッシュ!
~スペインサッカー研究所より引用~

 若しくはサイドアタックから奈良育英DFとGKのライン間にクロスボール入れて前線からの飛び込みでフィニッシュしたいです。

DFーGK間のクロスボールに飛び込む
~スペインサッカー研究所より引用~

 とにかく畝傍は奈良育英が中盤を経由してビルドアップしてくるのなら後半勝負でボールサイドから逆サイドへ展開してサイド攻撃を仕掛けたいです。

 更にはサイド攻撃で奈良育英を押し込めたらボールサイドに寄せてから逆サイドのスペースへ広げる展開も織り混ぜるのも面白いと思います。

寄せて広げてスライド対応させる!
~スペインサッカー研究所より~

 もし奈良育英が従来の縦に速いサッカーで真っ直ぐ攻め込んで来るなら畝傍も従来の中盤を経由させて対角にビルドアップする事で奈良育英をスライドさせて左右に振り回すのもありです。

中盤を経由して対角ビルドアップ
~スペインサッカー研究所より引用~

 とにかく戦術プランの引き出しについては畝傍の方が奈良育英より持っているという見解なので畝傍の方が後出しジャンケン出来る側だと考えています。

 だから今大会の優勝候補同士の対決は…選手層は薄くとも高い質を誇る畝傍vsポテンシャルの高い選手層の量を誇る奈良育英…正に質vs量の対決とも言えます。

 互角と思える当該カードは畝傍が少しだけ優位だと思いますが両校譲らず延長戦含めて100分で決着がつかなかった場合、スタミナ的にシュートを枠内に蹴る技術を持っているのは奈良育英だと思うので、PK戦で準決勝に進出する可能性は畝傍より奈良育英の方が極めて高いと考察できます。

 さぁ!この勝負はできれば橿原公苑陸上競技場で観戦したかった試合ですが残念ながらナラディーア会場にGo!です。

◼️あとがき

 ここまで準々決勝4試合の見どころを書いてきましたが4試合ともBest8に相応しい大熱戦が期待できると思います。

 そして最後に個人的見解をまとめると当初アップした大会展望通りのBest4の顔ぶれになる事をめちゃめちゃ期待しています。

生駒ブロック⇒高田商業高校
五條ブロック⇒法隆寺国際高校
広陵ブロック⇒一条高校
育英ブロック⇒畝傍高校

 今大会は則ち大会史上初の4シード全滅の可能性を秘めていると考えていますので準々決勝の結果を楽しみに待ちたいと思います。

◼️ご参考

 今回も7,200字を超える長文になりましたが最後まで読んで頂いてありがとうございました!
 出来ればシェア等ご協力のほど何卒よろしくお願い致します!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?