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【小説】ちっちゃいマスコット生活⑤

 女性がヒトイヌ状態でマスコット着ぐるみを着て生活する話。

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※挿絵はDALL·E/GPT4を用いています。


 人前に全く出られない状況はそのままだ。
 そのままどころか悪化したような気がする。

 ある日、いつもの時間に出勤しようとした時、既に何人かの人がカメラを持って出待ちをしていた。
 九時の開店だからその一時間前だ。
 中に入る人が私ならば、私の写真が撮られてしまう。

 私は怖くて部屋に戻ってしまった。
 その日は何だかんだと、体調不良を理由に休んだけれど――それからと言うもの、出待ちが怖くて朝の五時からお店で待機するようになってしまった。

 自分でも異常なことは分かるけれど、こればっかりはどうしようもなかった。
 安定剤で精神を安定させていても、漠然とした不安が消え去る筈もない。
 どう考えようと、人から自分の姿を見られることに恐怖しかない。

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