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The WONDER YEARS         ~素晴らしき日々~

私が中学・高校生の頃、NHK教育テレビでは、アメリカのドラマがたくさん放送されていた。数あるドラマの中で私が一番好きだったのは “素晴らしき日々”。’60年代後半~’70年代にかけての古き良き時代のアメリカの、ごくごく普通の少年の日常が描かれているドラマ。

幼なじみに恋をしたり、友達や家族とケンカしたり、泣いたり笑ったりしながら成長していく姿を見ながら、主人公と同じ年頃だった私自身も共に成長した。あれこれ悩みながら過ごした多感な思春期に、このドラマと出会えたことは幸運だった。

時は流れ、結婚して親となり、懐かしくて久しぶりに見たくなった10年ほど前にNHKに「再放送してほしい」と熱い思いを綴ったメールを送った。NHKからの回答では「このドラマには再放送を希望するご意見を数多く頂いておりますが、残念ながら再放送権がないため、ご希望に添うことができません」と書かれていた。

ドラマの時代設定は私が生まれるより少し前のこと。アメリカがベトナム戦争に突入し、人々が自由と平和を求めていた時代。私はその時代を生きていないのだけれど、なぜか懐かしく共感を覚えたのは、人の思春期という時期には時代も国境もないからなのだろう。

自分の子供たちが思春期を迎えている現代も、彼らがいつか大人になって振りかえるとき、”素晴らしき日々”として記憶に残っているだろうか。親が子供と一緒に暮らせる時間は長い人生の中でほんのひと時だ。その限られた日々は過ぎ去った後に取り戻すことのできない、かけがえのない貴重なもの。今、私はそのかけがえのない日々の真っ只中にいることを、幸せに思う。

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