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【一般】通院の強制はパワハラなのか:新聞記事「施術の現場より11」

 ハラスメント行為の厳格化が進んできた近年、その実態も浮き彫りになってきている。全国紙やニュース等でもスポーツ現場におけるパワハラやセクハラ報道を目にすることがある。ハラスメントが嫌がらせと訳せるので、パワハラは立場を利用した威圧的嫌がらせとなる。スポーツ指導の際に指導者が高圧的に選手に接しパワハラに該当する場合が存在する。監督が「〇〇接骨院に通院しろ、○○接骨院以外は認めない、トレーナー以外に身体を診せるな」これはパワハラに相当する。

 2019年10月にプロ選手を輩出している高校サッカー名門校で同校の副校長も務めていたサッカー部監督がパワハラをしていたとの報道があった。様々な内容があったが、その中に特定の接骨院へ部員の強制通院も含まれていた。同校監督は職を辞しているため、認めた形になっている。指導者が特定の接骨院や施術所、トレーナーを信用するのは理解できるが、ケガの回復に対し通院を薦めることはあっても強制はパワハラと断罪されても仕方ないだろう。現実的によく考えて欲しい。通院にかかる療養費(施術費用)は誰が支払うのか。チームが責任をもって部費などから捻出します、というなら問題ないが、実際は保護者である。金は払わないが〇〇に通院しろというのは理屈に合わない。よくトレーナーの施術所に通院すればチームと連携が取れているから状況も分かりやすいと言う指導者もいる。そういう言い訳をする指導者は大概の場合、トレーナー以外の他社を拒み話も聞いてくれない場合が多い。私からすると言い訳でしかない。選手が自主的に通院しているが、ケガの回復が思わしくないなら、指導者としてアドバイスはありだと思う。トレーナーの施術所に1年通院して回復しなくても何も言われないが、トレーナー以外の施術所で1週間で回復しても厳しく叱責されたというケースも耳にする。

 世界医師会が出すリスボン宣言をご存じだろうか。これは、患者の権利に関する内容を含んでおり、その中でも「患者は、民間、公的部門を問わず、担当の医師、病院あるいは保健サービス機関を自由に選択し、また変更する権利を有する」とされている。患者の自由(権利)があると明記されているのだ。それを高圧的に指導者という立場を利用して強制すればパワハラのそしりを免れない。当院でも今回のような当たり前の事を当たり前に言っただけで「フェイスに関わるな」と選手が指導された案件もある。全国の話ではなく、実際に岩手でも起きている身近な話題である。


後記:この話題は、スポーツ外傷の施術を通して色々な方と係る中、本当に多いです。日本スポーツ協会や、各競技団体がハラスメント撲滅に動いてる中、隠れてこういうことをやっています。私も毎年必ず渦中にいるハメになっております・・・岩手は田舎で閉鎖的なので、こういうケースは当たり前です。知識として知らずにやっているというより、自分が正しいと思ってやっている。つまり、世間の常識・私の非常識を逆に捉えてるのかと。

活動中に受傷、チームのトレーナー(PT)に相談しろと監督から指示あったため指示に従う。トレーナーは捻挫と説明。当院に来院し施術、ギプス固定は必要ない旨説明するが、トレーナーが学校訪問した際に固定するよう選手に伝え、来院時に話を聞く。当院が必要ない旨を再説明したが、学校訪問したトレーナーが「関節拘縮など1ヶ月固定しても起きないからギプスで固定してもらえ」と選手に言う。当院に来院した際に関節拘縮の説明を選手・保護者にし納得してもらう。トレーナーに話をすると怒り、監督からは「お前はフェイスの先生の言葉を神のお告げくらいに信用してるのだな」と暴言を吐かれ、当院への通院を禁止される。
捻挫で来院した患者の患部が回復に向かっている最中、当院に通院していることを知った監督から「トレーナー以外に通院するなといっているだろ」と叱責される。しかし、公式戦が近いため当院で施術することを選手・保護者が希望し継続。メンバー発表に先立ち選手は監督に独り呼び出しをされた際に、「お前はチームの風紀を乱した、あれほどトレーナーの先生に治療を受けろと言ったのに。」と叱責されメンバーから外される。

 開業して6年もやっていると他にもたくさんあります。保護者も声を上げればいいと思いますが、選手を人質にとられているので。

次回(12回)は「考察、捻挫になりかけている」です。

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