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【一般】あん摩・マッサージ指圧師とは:新聞記事「施術の現場より4」

 あん摩とは、視覚障がい者の業(仕事)として湯治場や旅館などで行われてきた手技による施術で、施術の効果だけではなく視覚障がい者の収入確保にも大きな影響を与えてきた。聞き慣れない資格であるが、紛れもなく医療系の資格であり、さまざまな国家資格の中で唯一マッサージを標榜することが可能であり、やはり一定の条件下で健康保険の適用をした施術を受けることができる。

 あん摩・マッサージ指圧師は筋拘縮・筋麻痺に対しあん摩(マッサージ)という手技を用いて機能の回復を行う資格であり、健康保険の適用範囲においてもその2疾患である。マッサージ(手技)の専門職としてあん摩・マッサージ院を開業するだけではなく、病院内勤務をしている同資格者も全国的にはおり、そのことからも病気やケガからの復帰に重要な役割を果たしているが、他の医療系国家資格と比較すると有資格者は少ない。これは養成校が他の資格と比べて少ないことも影響しており、実際に養成校設置に係る裁判も全国的にはおこなわれている。

 あん摩・マッサージ指圧師の手技として、『触る・なでる・揉む・叩く・擦る・押す』などとしており、他業種との関係性においてしばしば議論となることがある。あん摩(マッサージを含む)等の手技は『同資格もしくは医師のみが』と法律にもあるが、一方で『ヒトに害のない限り取り締まりの対象とはならない』と厚生労働省が見解を示している。つまり、手技を用いて無資格者(民間療法等)が施術を行った場合でも、リラクゼーションなど害がなければ罰則の適用はしないとなっており、柔道整復師の整復操作や鍼灸師の鍼とは若干違う対応になっている。柔道整復師も身体の回復において、限局的なマッサージ(手技)を用いることは合法であり、理学療法士などが医師の指示のもとにおこなうことも合法とされているため、手技のみで施術をおこなう同資格者は施術における環境の違いがあるのも事実である。現在に至る同資格者の歴史において、厚生労働省が慰安的マッサージを視覚障がい者に、晴眼者には医療的マッサージを行わせるという棲み分け目指したが、業界と行政のおり合いがつかずに今の業態になった過去があることを考慮しなくてはならない。


後記:私自身は、あん摩・マッサージ指圧師を決して否定するものではありませんが、多少Twitter上でも厳しめになっています。それは、マッサージの全てがあん摩・マッサージ指圧師のもので他は違法行為と声高に訴える有資格者がいるからです。マッサージという表現(言葉)が市民権を得ている為に、その手のものに『マッサージ』とつけてしまっていることが原因ではないかと。私が考えるのは下記です。

筋麻痺・筋拘縮からの回復を行うための手技であり、それは医行為になる為医師のみがおこなえると制限を設けているが、医行為の一部限定的解除をおこない国家資格であるあん摩・マッサージ指圧師にその施術を認める。それ故、健康保険の適用を認める。

 現行法において、慰安の国家資格はありません。つまり、慰安目的のいわゆるマッサージは医行為ではないためあん摩・マッサージ指圧師のものではありません。誰のものでもないし、誰のものでもあるのです。

 あん摩・マッサージ指圧師が『行楽シーズン、長距離の運転で肩こりや腰痛でお困りの方は国家資格のあん摩・マッサージ指圧師が在籍する当院へお越しください。』という宣伝は、開業権のない理学療法士が『身体のプロである理学療法士の整体なので安心安全です。』というのと同じだと思っています。開業権の問題ではなく、国家資格なので大丈夫と誤認させていることになりませんか。

 別に目の敵にしているわけでもないですし、嫌いでもないですが、あん摩・マッサージ指圧師がリラクゼーション業と柔整師を目の敵にしているのかなと思うときは多々ありますwww

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