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【一般】理学療法士とは:新聞記事「施術の現場より7」

 理学療法士は、病院内でのリハビリテーションを行う国家資格である。医師の指示のもと、電気治療器や手技(マッサージ、ストレッチを含む)を使用し、主に粗大筋(動きの大きな筋肉)のリハビリテーションを行い、患者の社会復帰の手助けをする。養成校の要件緩和により、毎年多くの理学療法士が誕生しており、スポーツをしていた高校生には人気の資格である。

 あはき柔(あん摩・鍼灸・柔道整復)との違いは、「医師の指示の下」が絶対要件であること。言い方を変えると、開業権を持っていない為、病院内勤務が大前提であり、施術を行う際は医師の指示が必要となる。理学療法士を標榜するサロンや整体、自費によるリハビリテーション施術所が全国的にも増加傾向にあり、それは岩手でも同様である。2015年1月には当時の社団(理学療法士)会長名で文書が発出されており、その文書内にも理学療法士の開業は違法と糾弾されている。

 理学療法士の活躍の現場は、病院内だけではなく身近な所では介護施設がある。介護施設においては、機能訓練指導員として活動する事が認められており、日々介護の必要な高齢者の運動機能低下の防止に励んでいる有資格者も多い。医師を除く医療系国家資格では、私の所有する柔道整復師が第一処置をするのに対し、理学療法士はその後の社会復帰のためのリハビリテーションを行う第二処置を行うと考えればイメージはしやすいだろう。岩手においてはスポーツトレーナーとしてスポーツ現場に関わる有資格者も多く、活躍の場が広がっている。(ケガの施術は不可。柔道整復師の業務)

 私が身を置く柔道整復師でも、不正請求など様々な問題を抱えているが、理学療法士の業界でも違法開業問題のほか、有資格者の需要と供給のバランスが崩壊する「2040年問題」というおおきなテーマ(課題)を抱えている。同問題とは、19年5月に厚生労働省が示した推計によると、有資格者の供給が需要に対し1.5倍となり、リハビリ職が供給過多になると言われていること。高齢者時代になり、リハビリ職の重要性が高まっているが、決して楽観はできない。資格を取ればなんとかなる時代ではなく、理学療法士として病院内で活動するためには、より高度な知識と技術が求められるようになってくる。「1ヶ月関節を固定しても拘縮なんて起きないから大丈夫」などと、養成校の1年生でも間違いだと分かることを言っているような有資格者は淘汰されていくだろう。



後記:柔道整復師の中には、「柔道整復師が理学療法士に勝るものってないでしょ」と自分の資格を卑下する人もいます。TwitterなどのSNSを見ていてもPTのほうが上という論調もありますが、そもそも全く違う資格ですので比べること自体がナンセンスだと思います。柔整師は、開業でき独自判断により施術することができ、PTは医師の指示による施術。外傷の一次処置とリハビリの二次処置。どうやって比べますかね・・・1回目からの記事を通して書いているのは、資格は業務範囲がありそれを逸脱することなく持てる知識と技術を駆使して患者様の社会復帰の手伝いをするということなのです。違法開業も確かに増加しています。「理学療法士」を標榜せずに整体院などを開業する事は特段問題ではないですが、開業権のないPTが理学療法士を標榜し患者様を誤認させることが問題なのです。スポーツの現場では、チョットね・・・なんと言いますか。「お前が言うなっ ! !」ということが多々ありますwww「素人は触らないでください ! !」と怒られたこともありますが、スポーツ外傷でいうなら、「お前が素人やぞ」と言いたくなったこともあります。

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