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【一般】外傷の応急処置に変化:新聞記事「施術の現場より5」

 ケガをした際の応急処置のスタンダードとして長らく指導されてきたのがRICE(ライス)である。さまざまな本・雑誌、講習会の話題においてもRICEが標準であった。RICEは応急処置を行う際に重要と言われているものの頭文字から構成されており、Rはレスト(安静)、Iはアイシング(冷却)、Cはコンプレッション(圧迫)、Eはエレベーション(挙上)である。私自身もトレーナーの現場や講習会の講師をする際はこの指導をおこなってきたが、ここ2~3年の間に変化してきており、RICEに代わって新しく提唱されているのがPOLICE(ポリス)である。

 Pはプロテクション(保護)、OLがオプティマルローディング(適切な負荷)、ICEに関しては冷却、圧迫、挙上で変わらない。プロテクションは装具・添え木などで患部の保護を指す。足首の捻挫の際にギプス固定をする場合もあるが、これは患部の安静というメリットと引き換えに長期固定による患部の後遺症というデメリットも抱えている。関節は動くことを大前提としており、それを長期にわたり動かさない状態が続くとその周囲の筋肉や靭帯などが癒着し固まってしまう。それを関節拘縮といい、拘縮した関節はリハビリをしても慢性的な痛みを出したりと厄介である。関節拘縮を引き起こさないために行うのがオプティマルローディング(適切な負荷)である。患部の治りが悪くなせない程度に負荷をかけることで関節拘縮を防いだり、患部の治療を促進させる。しかし、専門的な知識と経験が必要であるため、患者自身が独断で行わず、医療機関等で指示を受けるなどが必須である。

 アイシングについてだが、当院に来院された患者の中には冷湿布を貼って冷やしていたと問診票に記入されることがある。冷湿布はメントール系物質やハッカ油が表面に塗布されており冷たく感じるだけであり、アイシングの際には氷などを使用してほしい。コンプレッションは包帯やテーピングによる患部の圧迫(固定)であり、エレベーションは患部を高くする意味を持つ。エレベーションに関して補足すると、足首の捻挫のなどをした際は、心臓より高い位置に患部を持っていくことが理想とされ、仰向けの状態でタオルなどで枕をを作りそれに足を上げると良いとされている。また、座っている際も足を下ろさずに、椅子などに足を上げると良い。


後記:施術の現場よりは20回構成になっており、実はそれを言われた時は23本の原稿を書き終わっていました。なので、3本はお蔵入りすることになっています。全部を公開できないのなら訴えたいことを優先に新聞記事にするのは当然ですよねwwwなので、1~4は助走期間でしたが、この5以降は本当に書きたいことを書いています。是非皆様にお読みいただきたい・・・


【今後の予定】

第5回(1/11):外傷の応急処置に変化 

第6回(1/18):痛いときは冷やすのか温めるのか

第7回(1/25):理学療法士とは

第8回(2/1):オスグッド・シュラッター病

第9回:接骨院でサインする青用紙の正体

第10回:医療機関および施術所での不正請求について

第11回:通院の強制はパワハラなのか

第12回:考察、捻挫になりかけている

第13回:骨盤矯正は治療なのか


野球肘

スポーツ選手の股関節の痛み

無資格施術の現況(消費者庁発表H29年資料より)

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