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健康経営と株価との関係

健康経営に取り組むことで、従業員のパフォーマンス改善や優秀な人材確保による将来的な業績の向上や、従業員の健康不良による生産性低下の防止が見込まれることから、企業価値の向上が期待されています。

実際に企業価値が向上するのかを検証する方法の1つとして、投資家が健康経営に取り組む企業をどのように評価するのかという観点から、健康経営に積極的な企業(健康経営銘柄)と市場の平均(TOPIX)のパフォーマンス比較の調査が行われてきました。

ニッセイアセットマネジメントの調査では、統計的に有意ではないものの、健康経営銘柄に採用された銘柄とそれ以外の銘柄との間には、投資家による評価に差があることが確認されています。

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上記図の青線が2019年健康経営銘柄の株価推移です。2015年12月末を起点(=100ポイント)とした場合、3年後の2018年12月には健康経営銘柄は112ポイント、TOPIXは101ポイントと、健康経営に取り組む企業が高い評価を受けています。

また、最新の調査では、健康経営の5つのフレームワークのうちどの評価項目が株価パフォーマンスに与える影響が大きいのか確認が行われています。

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<健康経営の5つのフレームワーク>
企業の健康経営度を評価する上で、各企業の健康経営の取り組みが”経営基盤から現場施策まで”のさまざまなレベルで連動・連携しているか、という視点から「経営理念・方針」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令遵守・リスクマネジメント」の5つをフレームワークとして設定されています。健康経営優良銘柄/法人の認定される際に参考にされる健康経営度調査もこの5項目で評価されています。

SBI証券の調査「健康経営度評価項目と株価リターンの関係」によると、5つのフレームワークの中でも、「①経営理念・方針」のスコアが高い企業が高いパフォーマンスとなることが分かりました。

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2020年の健康経営度調査に回答した上場企業について、フィードバックシートのスコア順に5つのグループ(上から順番に第5分位~第1分位)に分けて超過リターン(TOPIXよりも株価がどれくらい上回っているか)を分析したものです。「①経営理念・方針」のスコアが高い第5分位、第4分位、第3分位の企業は20%以上の超過リターンを示しています。

この調査結果は上場企業についてのみ調査したものではありますが、株価は企業の業績や持続的な成長可能性によって決まるものですので、非上場企業や中小企業においても同じように捉えることができるのではないかと思います。

つまり、「経営理念・方針」として健康経営という社会的目標に対してコミットし、持続的にエンゲージメントできる企業は潜在的企業価値は高くなる。言い換えると、経営理念や方針として確りと健康経営を落とし込むことができていない企業は、形だけの健康経営になっており、成果(生産性向上などの従業員パフォーマンスの向上)を得にくい。と言うことなのではないかと思います。

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