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アイスとスプーン

アイスクリームを冷凍庫から出して、スプーンですくう。うーん、アイスが硬いなぁ。

ぐいぐいと力をスプーンにかけて、アイスに突入させる。早く食べたいのに、なかなかうまくすくえない。

あなたはそんな私を笑って見てる。

「アイス、好きだねぇ」
「だって、冷たくてあまくておいしいもん」

その週末にまた私はアイスと格闘していた。

そしたらあなたが私の肩をちょんちょんと叩いて、スッと銀色のスプーンを差し出した。

「え、なに?」
「やってみ。それでアイス、やってみ」

これでアイスをすくってみるのか。

アイスにスプーンをグッと差し込む。

「え、すごい、なにこれ?」

スプーンが滑らかに硬いアイスの中に入っていく。簡単にアイスをポコッとすくえるじゃない。

びっくりしてあなたを見た。

「アイスを簡単にすくえるスプーンらしい」

あなたが自慢げにそう言った。

「すごーい! こんなスプーンがあるなんて知らなかったー!」

大喜びする私にあなたがニコニコしてこんなことも言ってくれた。

「その驚いて喜ぶ顔が見たくて、すぐ買っちゃったよ」

う、うれしい。

あなたがそんなふうにニコニコと私を見てくれるなら、なーんにも知らなくていいや。

その有能なスプーンでアイスをひとすくいして、あなたの口元に運ぶ。

「はい、あーん」

あなたは笑ってパクリと噛み付いた。

「おいしいな」
「おいしいね」



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