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キスは。

「川瀬って、こんなに小さかったっけ?」
「それを言うなら秋山のほうがこんなに大きかったんだね」
「ほら、手も」

秋山が自分の手と私の手を重ねて、楽しそうに笑った。

背中があたたかい。

安心ってこんな感じだったなって過去の記憶を手繰り寄せる。もうこんな時間は私には訪れないと思っていた。まさか秋山とこんな日が来るなんて。

秋山がときどき私の頭をぽんぽんと撫でる。

すごく穏やかな時間に、心が解きほぐされる。

「川瀬」
「ん?」
「元気そうで安心した。お好み焼き、バクバク食べてたもんな」
「えー、もー、なにそれー?」
「あんなに遠慮なく食べたら太るぞー」
「太らないよー」

秋山の腕の中でするたわいもない会話は楽しい。

「あんなに食べたのに、プリンも食べるんか?」
「食べるー。別腹だもん」
「いやいや、別腹もお前の腹だろ」
「いやいや、そこは別なんよ」

笑いあう二人の声が秋山の部屋に響く。

「川瀬」
「うん?」
「キスしていい?」

さっきまでとは全く違う秋山の低い声の響きに、ドキッとした。秋山のその声を受け止めた耳がほんのり色づく。

私は振り向いて、目を瞑る代わりに秋山の目を見つめる。

「ねぇ、秋山」
「うん」
「たぶん・・・好き」
「俺は、たぶんじゃなく好き」

秋山のまっすぐな目。

これが秋山だ。

私は安心して目を閉じた。


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二人のその後はこちらです。


お気持ち嬉しいです。ありがとうございます✨