紫陽花の向こう側にあなたが見えた気がした。
そんなはずないのにね。
このホームであなたと別れてからもうどれだけ経ったんだろう。小さな誤解から生まれた不信感がどうしても拭えなくなった私をあなたは支えきれなくなった。
何度も言ってくれた「君だけだよ」という言葉を信じることができなかった。
不安だったんだ。自分に自信がなくてね。あなたみたいな素敵な人が本当に私でいいのかって思ってたから。
好きすぎて怖かった。
別れてからも、ずっとあなたを思い出してるよ。踏切からホームを眺めるたびに、あなたがいないかなって探してる。
紫陽花が咲いている。
もう6月か。
いまどうしてる?
会いたいよ。
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