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形の良い高い鼻をじっと見つめた。 あなたは私の視線に気づかない。 あなたの綺麗な顔をしば…
「川瀬って、こんなに小さかったっけ?」 「それを言うなら秋山のほうがこんなに大きかったん…
12月に入ると街中がキラキラし始める。クリスマスソングもあちこちから流れてきて、つい心の中…
高梨さんはとてもよく話す人だった。 学生時代には私にも仲の良い男友達が何人かいたけど就職…
「離婚届はどこでもらえますか?」 離婚届の所在を探すことになるなんて、人生は分からないも…
「結城さん、いつもこのくらいの時間にお帰りですか?」 会社の帰りの電車で偶然同じ車両に乗…
奥さんの入院で中山さんが会社を休み、中山さんに会えない昨日は不安でしかたなかったけど、欠勤はたった一日で済んだし翌日の今日はまたいつも通り中山さんが出社してきてホッとした。 朝はせっかく二人で乗ったエレベータに白木課長が乗り込んできて、中山さんに奥さんの様子を尋ね始めた。奥さんの話なんて朝から聞きたくなくて嫌だったけど、でも私が直接中山さんから聞くよりも課長と中山さんの会話を横で聞くほうが気持ちは楽だったかもしれない。 二人の会話から分かったことは、もともと体調を悪くして
ずっと誰にも言えずに一人で抱えていた。奥さんのいる人を好きになってしまってお付き合いをし…
「昨日、君の夢を見たよ」 私の部屋で二人でソファーに座っているときに、あなたがそう言った…
どうせ私のものにならないのなら、いっそのこと誰のものにもならないようにしてしまおうと思っ…
「ああ、雨降っちゃったね」 君はカーテンの窓から外を覗きながら、がっかりした様子で呟いた…
「ねぇ、私のどこが好き?」 「ん、長くて綺麗な髪かな」 そう言って私の髪を優しく撫でてく…
孤独じゃないと美しい何かが生まれないって、誰かが言うから、あなたの手をそっと放してみた。…
一日一日と日を追うごとに、京介との距離が離れていく気がして、怖くなる。 抱きしめていたぬくもりが、薄れていく。 きっと心も。 そう思うと寂しくなってラインでメッセージを送った。 「ねぇ、今何してる?」 すぐに既読がついて、電話がかかってきた。 「月を見てた」 私はソファーから立ち上がって窓に近づきカーテンを開けた。夜空に輝く月がいた。 「きれいな月だね」 「そうだな。少し欠けてるけどな」 「うん、少しね」 月は少しくらい欠けているほうが好き。見事な満月よりも