「心と体を整えるお宿。」創業から3年半使っていたキャッチフレーズを刷新します。
私は信州移住後、妻と共に整体エステサロンを開業していました。
お陰様でそれは順調に回っておりましたが、同じ事ができない性格の私は、大町で建物を借りて試験的に旅館を2年間経営したのです。
あの当時はインバウンドのお客様も多く、旅館経営もうまくいく確信を持ちました。
そしてすずらん颯を得、開業するにあたり、本来私がやりたかったお客様の体を整え健康を助ける旅館を表看板にしたのです。
私は学生時代に2カ月程、バックパッカーとしてヨーロッパを旅していました。
往復の航空便だけを予め決め、旅程は現地で決める気の向くまま足の向くまま、様々な国の旅行者やホテルスタッフと交流して情報交換しながら旅をしていました。
当時の私には異文化との交流が毎日ワクワクで、この経験が私が旅館に憧れるきっかけだったと思うのです。
また、五井野博士の講演で「旅館は元々は庄屋の家で、主人は旅人をもてなすのに地元の文化や自身の教養、美術品を披露する。
また旅人は国の、江戸の話や歩いた各地の見聞、自分の教養などを語り、そうやって主人は旅人とお互いに情報交換をしたのだ。」というお話を聴いたのです。
それは正に松尾芭蕉の「おくのほそ道」の旅なのです。
芭蕉が長く宿泊したのは決して松島のような景勝の地ではなく、俳諧仲間の役人や庄屋、豪商の館です。
そして地元の風流人との句会を催したのです。
私も浮世絵という日本文化を愛していましたので、浮世絵をお客様に観て頂ける宿をやりたい。
江戸時代のような宿。
つまりは情報交換の場であり、文化芸術を楽しむ場を創りたいと考えたのです。
それが大町の旅館でした。
フロント前にずらり浮世絵を展示したので、インバウンドの外国人旅行者は皆驚き喜びました。
挙句には、温泉もないのに、アメリカの芸術家まで宿泊したのです。
そして更に整体エステの経験を活かし、すずらん颯では健康増進の宿を目指してきたのです。
でも、コロナ禍を含め3年半運営してきましたが、ご宿泊されるお客様の大半は観光客や登山客なので、当然宿に求めているものが違います。
なので、旅館の基本である「おもてなし」を考えると、整体・エステ、漢方、そして無添加・農薬不使用食はおもてなしの一部にすぎないと思い至ったのです。
登山客には登山客のニーズがあり、観光客には観光客のニーズがある。
例えば、登山の方であれば朝が早いので朝食を弁当に替えて欲しいとか、観光で来られた方は地元食材の普段食べれないようなものを食べたいとかありますよね。
もちろん、今までもそのようなニーズにはできるだけ答えてまいりました。
であれば尚、今のパンフレットに使っているキャッチフレーズや案内は偏り過ぎていることに気づいたのです。
間違った方向に肩の力が入っていた。整体師なのに。
「癒し」や「健康」はお客様自身が感じるものであり、私たちはその機会を提供しているに過ぎないのです。
独りよがりでは交流や楽しみなど生まれない。
今このパンフレットを見返すと、本当に力み過ぎていてお恥ずかしい思いです。
旅館らしい、すずらん颯らしいパンフレットとホームページを今年作っていきます。
もちろん整体やエステ、ファスティング、そして漢方のお茶など、お客様のご要望に応じたサービスは更に充実させていきます。
更に、五井野博士が開発したプロシジャーを提供すべく準備を進めています。
最後になりますが、石川県の能登半島地震の被災者の2次避難の受入旅館として登録しました。兎にも角にも、一日も早い復興をお祈り申し上げます。
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