ペットボトルの闇とは!

武田邦彦氏が語る、ペットボトルのお話です。
ペットボトルはリサイクル可能?

今では当たり前のようにペットボトルはリサイクルゴミとして回収されています。
しかし、科学者から見た場合、これは無意味だと言います。
無意味どころか余計にエネルギーを使っていると。
そんなお話です。




ペットボトルの再利用

ペットボトルは実質的に再利用できない。
「環境派」に振り回される自治体。
科学の原理を理解した明るい社会。
話し合いが必要。

ゴミ

人間にとってゴミというのは必ず収集してほしいもの。
「日本のように高温多湿な国で、生ゴミは腐って、それが健康を害したり匂いがしたりするので、科学的に考えればゴミはできるだけ毎日のように収集することが大切だ」というのは科学的に言っても良いこと。

ペットボトルは実質的に再利用できない


再利用できない理由は、科学的にはっきりしている。
テレフタル酸とエチレングリコール縮合させて、非常に高純度でなければダメです。
テレフタル酸は99.99%のものを使わないといけない。
これがリサイクルできない主な理由です。

エントロピーの増大の問題


もう一つの理由。
エントロピーの増大というのは、言葉で聞いた方がずいぶん多いと思う。
実質的に何を意味してるかよくわからない。
(下記で説明してくれているサイトのリンクを貼ってます。)

ペットボトルは、製造した瞬間は製品としての品質は非常にエントロピーが下がっている。
家庭にあっても低いエントロピーです。

分散のエントロピーというのがあって、それは工場にある時はペットボトルのエントロピーは非常に低いが、家庭で飲んだ後の空のペットボトルというのは、ものすごくエントロピーが高い。
ですから、これを利用するってことはもうできない。
エントロピーの非常に高いものっていうのは、資源としては利用できない。
科学的原理であって思想の問題ではない。

優しく言えば、空のペットボトルを運ぼうと思うと、ペットボトルを作るための石油よりか3倍以上の石油燃料が要ると言ってもいい。

私たち科学者ではエントロピーで計算する。
普通の人はエントロピーで計算できないので感覚とか値段で計算せざるを得ない。

テレフタル酸は高純度が求められる


ペットボトルは非常に高純度が要求される。
ところが回収したペットボトルというのは高純度にできない。

なぜできないか。
例えば、ペットボトルを崩します。
そうすると少しは紙もついてくる。
ペットボトルの中にチューインガムなんか入れたり。
タバコの灰が入ってたりもする。
それから、ペットボトルに非常に似てて簡単に洗ったんでは取れないような油が中に入ってる場合もある。

厄介なのは固形物。
目に見えないような固形物でも、ちっちゃな固形物があると、そこから回収したペットボトルの材料のポリエチレンテレフタレートは不純物がたくさん入っているのでダメなものはダメ。

利権


科学と反することを言う人が多い。
ペットボトルは再生できる。
1回壊せば良いんだと。

確かに、ペットボトルからポリエチレンテレフタレートを取り出し、ポリエチレンテレフタレートそのものだが、それを加水分解して元のテレフタル酸とエチレングリコールにし、それをさらに生成すればできる。
そんなことしたらものすごくお金が高くなるとか資源を使ってしまう。


ペットボトルは再生していない


リサイクルの体制を作るために、国民を困らせて分別させるために、0.1%とか非常にわずかな量をリサイクルして、「リサイクルしてる」と。
こういうわけです。

リサイクル率


リサイクル率は60%あるじゃないか?
あれ嘘なんです。

リサイクルするという建前で集めた量です。
法律でそう決めた。
法律を作るときから科学的にリサイクルできないことが分かっていた。
「リサイクルした量をリサイクル率とする」と決めると0.1%になってしまう。

「リサイクルする目的で集めた量をリサイクル率とする」と決めた。
これは言ってみれば、国民を騙す一つの手段だったわけです。


自治体は知らない


実は市役所とか市町村長みたいな自治体は、環境派に振り回されてる。
環境派の人ってね結構インテリが多い。大学の先生とか。
自治体もあまりそれに対して反論するということもできない。


社会レベルの知識が足りない


社会全体が科学の原理、少なくともポリエチレンテレフタレートやテレフタル酸の純度は99.99%、エントロピーの増大の法則、エントロピーの計算、そういう科学の原理を理解していなかったら、自分の思想だけが先に立ってしまう。


いい加減な指導者たち


今から15年ぐらい前の話。
国の委員会に出てる時にある指導的な先生が委員会で言っていた。

武田先生、そんなに分別とかリサイクルに反対しなくていいんですよ。
どうせ女性や老人は暇なんだから、やらせとけばいいんですよ。
彼らはやることがない。
別にそんなに能率とかそういうことを言わなくていいんですよ。

と言われたこと。忘れもしない。


ペットボトルのリサイクル率うんちく

ここからは筆者の調べです。
PETリサイクル推進協議会のデータを使います。

回収率

指定PETボトル販売量
2005年:52万トン
2021年:58万トン
横ばいと見える。
合計回収量も近年は55万トン前後で推移。
回収率は90%以上を維持しています。

つまり、このデータはこれから上がらない可能性が高い。
筒いっぱいのデータでしょうか。

2021年のデータ
PETボトル販売量:58.0917万トン
市町村系:30.6192万トン
事業系:24.0143万トン
回収量計:54.6335万トン
回収率:94%

2021年度リサイクル率は86%

2021年度の国内の指定PETボトルの販売本数は輸入製品も含め前年度より15億本増の248億本。
分母となる指定PETボトル販売量は前年度より30千トン増の581千トン(前年度比5.4%増)

指定PETボトル販売量58.1万トンは、回収率のページで一致しています。(580,917トン)

ここからが面白い。

回収量:64.1万トン
内訳
海外向け回収量:16.3万トン
国内向け回収量:47.8万トン

リサイクル量:500万トン
内訳
海外向け回収量16.3万トン:海外再資源化量12.2万トン。
国内向け回収量47.8万トン:国内再資源化量37.7万トン。

リサイクル率
500万トン ÷ 指定PETボトル販売量58.1万 = 86.0%

これが偽った数字であることにお気づきでしょうか?
回収量の総量は、回収率のページでは約54万トンでした。
ところが、ここでは64.1万トンという数字と、なぜか「海外向け回収量」という謎の数字が出現。
国内向け回収量も47.8万トンは、前項で示した54.1万トンの数字と合わない。
合わないことの説明も無い。

極めつけが、分母はなぜか58.1万トンを使っている。

販売量より多くの回収量が謎。
回収量からはじき出されたはずのリサイクル量を分母にして、リサイクル量の基礎にしなかった販売量を分子とした数字が86%なのです。
説明責任が求められますね( ^^)

ペットボトルのリサイクル率は嘘?


PETリサイクル推進協議会の数字の扱い方が誤解を生む、というよりは作為的なものであることが次の資料で立証されます。
先ほどは、「ペットボトルのリサイクル率」であったはずですよね。

次は公益財団法人 日本容器包装リサイクル協会のデータを使います。
市町村で集められたペットボトルはリサイクル工場に行きます。
リサイクル工場では、ペットボトルへ変わるのは一部で、他は衣料品、卵パックなどに変わります。

ここでの数字は2021年データが使われているようです。
指定PETボトル販売量58.1万トンのうち、リサイクル協会が引き取るのは23.7万トン。

再商品化製品となるのは19.5万トン。
ボトルになるのは2021年度分で6.2445万トン。(32%)
という結果です。

最終結果(2021年)
指定PETボトル販売量:58万トン
リサイクルで再生産されたボトル量:6.2万トン
6.2万トン ÷ 58万トン = 10.69%

これまでの開示データが正しければ、約10%がペットボトルにおけるリサイクル率であると言えるでしょう。

武田先生の言う0.1%という数字がいつのものを仰っているのか分かりませんが、過去のデータであればそうなっていたかもしれませんね。

いずれにしても、現状においてもペットボトルがペットボトルとして再利用されているのは10%程度であり、86%というのはとんでもない嘘つきです。


ペットボトルの成分(Wikipedia)


ポリエチレンテレフタレート(PET:Polyethyleneterephthalate)が主原料。
ポリエチレンテレフタレートは、石油由来のテレフタル酸とエチレングリコールを高温・高真空下で化学反応させた樹脂。

テレフタル酸の製造方法

テレフタル酸はその商業的用途から、微量不純物を極力削減して純度を高めることがしばしば要求される。かかる要求に応えるため、精製方法として、(A)テレフタル酸を得るために、上記酸化反応後のテレフタル酸スラリーを分離、乾燥した後に高温、高圧で水などの溶媒に溶解させて触媒存在下に水素化し、次いで分離する方法や、(B)テレフタル酸を得るために、上記酸化反応後のテレフタル酸スラリーを追酸化して未反応不純物の酸化反応を進行させ、その後分離・洗浄する方法などが採用されている。
上記のような精製方法において、水に難溶なテレフタル酸を水に完全溶解させるには多量の水が必要になる。また、溶媒として使用される酢酸などの脂肪族カルボン酸等が製品中に残留する量を極力低減する必要があるため、洗浄にも多量の水が必要になる。
このような特有の事情の結果として、テレフタル酸製造プロセスからは大量の工業排水が排出される。昨今特に生産規模の拡大に伴い、単一の製造プラントでテレフタル酸が年間500,000トン~1,000,000トン製造されるので、地下から又は近隣水域からくみ上げられて最終的に公共水域へ放出される排水量は、単一の製造プラント当たり300トン/時間~500トン/時間にも達している。加えて、全世界でのテレフタル酸生産量は極めて大量であり、今後も拡大傾向と予想されるため、テレフタル酸製造プロセスからの排水は、環境に対して地球的規模で無視できない影響を及ぼすと考えられる。よって、地球環境保全及び資源リサイクルなどの観点から、テレフタル酸製造プロセスから発生する排水を処理する適切な手段への要求が高まっている。

Wikipediaより

高純度のテレフタル酸を生産するのに単一の製造プラントで時間あたり300トン~500トン。
大量の工業排水が排水されている。
単一の製造プラントでの生産量は年間50万~100万トン。


エントロピーって何?


本来のエントロピーとは、熱力学における方向性のある現象の度合いを、数値化したもの。
この方向性のある現象とは、一方向には進むものの、逆方向には戻らないという事を指します。
元に戻らない現象の事を、難しく”不可逆性”と呼びます。
つまり、「本来のエントロピーとは、熱力学における不可逆性の度合いを、数値化したもの」となる。

熱は温度の高い物から低い物に流れていく


例えばここに、男性と女性がいたとします。
男性は、女性より少し体温が高いとします。(逆もあるでしょうが)
そこで、男性が女性の手を両手で握ったとします。
すると女性の手は暖まり、男性の手は僅かに温度が下がり、二人の手の温度が同じになるというのは誰でも想像できると思います。
ところが今度は逆に、男性の手を暖めるために、女性が男性の手を両手で握ったとします。
すると男性の手が暖まり、女性の手の温度が下がる、という事はないというのも容易に想像できると思います。
すなわち、熱は温度の高い方から低い方にしか流れず、温度の低い女性の手からは、温度の高い男性の手には流れないのです。

要約


難しい理屈は抜きにして、感覚的に覚えたほうが良さそうです。

熱というのは熱いものが冷たいものに対して移動する。

エネルギーとは、不可逆性であって元には戻らない。

ペットボトルが作られるまで、自然界にある原料を使って作られます。
ペットボトルはある原料が変化した言わば最終形態。
このエントロピーは小さいです。

家庭でゴミと化したペットボトルは綺麗ですか?
作られたまんまの清潔な状態でしょうか?
違いますね。
比較的に綺麗なものもあればゴミが付着したものまである。
色々と入り交じった状態です。
これをエントロピーが高い状態だということができる。

エントロピーを小さくするには不可逆性を考えると無理な話です。
だって、ほっといても小さくならないからです。

しかし、物理的に元の状態に戻すことはできる。
エントロピーを無視すれば元に戻せる。
それはコストを度外視した場合です。

テレフタル酸の製造工程を考えれば、高純度99.99%の状態にするには原料から作る場合と比べてもコストがかかることは想像できます。

ペットボトルのエントロピーが高くなるというのは、ゴミが付着した状態から元に戻すには手を加えないと戻りません。
それにはゴミを除去しないと戻りません。
ゴミを除去するにも、ゴミの種類を判別しないと除去できません。
かなり工夫が必要です。
ゴミを除去してから元の成分、テレフタル酸とエチレングリコールを取り出す。
ペットボトルに利用するテレフタル酸は高純度99.99%が必要ですね。

一番最初に作られたテレフタル酸の工程から発生するコストと比較し、リサイクルで同じレベルのものを生成するまでにそれ以上のコストがかかるということです。

「エントロピーが高い」とは、手間がかかる、コストがかかると似ている話だと思います。

一番環境に優しい方法とは?


資源を無駄に使わないことだということです。

例えば、空きペットボトルを家庭内で使い回すことができれば、エントロピーは低いと言えるのではないでしょうか?(間違っている?)

居酒屋の生ビールのように、樽缶からドリンクサーバーで欲しい分だけ持ち込んだペットボトルに入れて販売する。
ペットボトルの完全リサイクルです。

しかし、それには店側の人件費、警備体制等、別のコストを考えないといけません。
つまり、ペットボトルのリサイクルを巡ってコストの押し付け合いが始まるのです。

スーパーのエコバックに似ています。
あれも利権。
ビニール袋は原油の生成過程で生まれるナフサから作られる。
絶対に発生する成分から作っているので捨てるくらいならビニール袋にしてしまおうという発想です。
今は技術革新で成分コントロールできるようですが。
ビニール袋のためにナフサを生成しているわけではないです。

そして、そのナフサを日本は海外からも輸入しています。
他国で余っているナフサを買っているのです。
外国ではナフサは余り物?

おそらく、需要と供給の問題でしょう。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?