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母の入院

母は今年の誕生日を迎えると95歳である。現在は「サービス付き高齢者向け住宅」で生活している。個室に洗面台とトイレとベッドがついているので、一人で身の回りのことを自分のペースでこなしている。 
周りのお友達もだんだんと亡くなっていくのは仕方がないが、「長生き」と「寂しさ」を天秤にかけてもなかなかすっきりとした答えは出ないらしい。 
20代の頃に結核を病んで、片肺を切除している。闘病中何度も危篤になったと話してくれた。だから死ぬことは怖くないと。。。
体が弱い人ほどすべての感覚に敏感で、身を守るすべを知っている。「こんなに長生き出来るとは思わなかったて〜」燕弁である。
母の母(私からすると祖母)も96歳まで長生きした。祖母は後妻さんだったが、食べ物は粗食で物を大切にされた人だった。 
そんな元気な母が昨日具合が悪くなり、救急搬送されることになった。4日ほど前から痰絡みが酷くなって咳き込んではいたのだが、軽い肺炎を起こしたようだ。三人姉妹の中で勤務時間帯でなかった私が救急車に同行した。
搬送先が見付からない。3箇所に断られてようやく受け入れ病院に着いたのが2時間後。
圧迫骨折をしている母も難儀だったろう。救急車の中はかなりガタガタと揺れるのだ。
ともかく受けいれていただけたことに感謝だった。
高齢者であると症状が軽くても死に至る場合があるため、なかなか判断が難しいのだろう。 
幸いにも母は元気にしている。ただ、一晩たって見知らぬ場所で、見たことのない看護師さんたちに囲まれて、ずいぶんと困惑したらしく、妹が母に説明しに行ってきてくれた。
今回の入院は、これから先、母に起こるであろうことを、一足先に考えさせられる出来事だった。
「心の準備」。。出来ているようで出来ていない。
口には出さなかったが、「覚悟」と「一抹の寂しさ」が、今も私の心を駆け巡っている。


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