コノハナ

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最近の記事

「銀河鉄道の父」

みなさま、おはようございます。 お元気でお過ごしでしょうか? 詩人、童話作家、宮沢賢治誕生の経緯と彼の周りの家族のお話。 彼の作品や農業への貢献は知っていましたが、精神の不安定さ、宗教への傾倒などは初めて知りました。 そして物語(本編中、小説や文学という言葉はあまり登場せず、専ら「ものがたり」と言われていたのでここでもあえて採用)を書くようになったきっかけ(の1つ?)の妹の死。 菅田将暉さんのまっすぐな眼差し、決して多くを持っていたわけでもなく、毎日土と故郷に

    • 「籠釣瓶花街酔醒」

      みなさま、おはようございます。 月イチ歌舞伎、ご覧になった方いらっしゃいますか? 先日初めて拝見したのですが、とても面白く鑑賞したので今日はその感想を。 2010年、旧歌舞伎座のサヨナラ公演として上演された演目です。 出演は中村勘三郎さん、坂東玉三郎さん、片岡仁左衛門さん、中村勘九郎さん、中村七之助さん、坂東彌十郎さんととても豪華。 なにより生前の勘三郎のいきいきとした生命力あふれた舞台姿がまぶしくて、冒頭からちょっと悲しさも募ります。 コノハナ的見ど

      • 「不思議の国の数学者」

        みなさま、おはようございます。 最近韓国のエンタメが私の周りでも熱いです。(今さら笑) といってもポップスもドラマも未着手(はまるのが怖くてあえて触れていないというのもある)ですが、大好きな映画だけはやはり抵抗しきれず。 今回も面白そうだったので迷わず映画館へ。 そして、期待を裏切らずとてもいい映画でした。 タイトルの通り、数学を通して語られるお話で、脱北した天才数学者と韓国の高校生(受験戦争、日本の比じゃないようですね)との心の交流が描かれています。 でも

        • 「せかいのおきく」

          みなさま、おはようございます。 GW明け、お元気でお過ごしでしょうか? 「せかいのおきく」拝見しました。 白黒の世界にときどき差し込まれる色と光。 にぎやかな江戸の長屋所帯に浮かび上がる黒木華さんと寛一郎さんの静かに互いを思いやる心。 そういったコントラストが印象的で、ちょっと度肝を抜くような切り口?視点?が逆に切りなりませんでした(笑) 江戸の衛生や教育制度は同時代のほかの文化圏よりかなり充実していたそうなので、じっさいあんな恋が芽生えることもあった

        「銀河鉄道の父」

          「オットーという男」

          みなさま、おはようございます。 今日は(今日も?笑)映画の話を。 「オットーという男」拝見しました。 直近観たトム・ハンクスが「エルビス」での怪演でちょっと印象が悪くなっていたのですが、この「オットーという男」でまたトム・ハンクス株が高騰しました! そのくらいいい映画でしたし、いいトム・ハンクスでした。 偏屈で頑固で、でもそれは根の真面目さ、心のまっすぐさ、大切にしたいものへの拘りがあるからこそなんですね。 ユーモアとかちょっとくすっと笑えちゃう場面とか、人

          「オットーという男」

          「Village」

          みなさま、おはようございます。 今日もお元気でお過ごしですか? 「Village」を本日拝見しました。 イジメや暴力、性暴力(未遂でしたが)、上からの圧力、反社会組織の乱暴さ、救いようのない母親など、あまり目に入れたくないような場面が続くので、観ていて快といえる瞬間は多くはなかった。 それでも横浜流星さん、黒木華さん、古田新太さんという役者陣の奮闘は見応えがありました。 それではみなさま、今日もいい日を。

          「パリタクシー」

          みなさま、おはようございます またフランスの映画を観たので、今日はその感想を。 邦題は「パリタクシー」 現題は「UNE BELLE COURSE」 パリのタクシードライバー、シャルルと美しい老マダムの1日の心の交流の話。 タクシーという密室で繰り広げられる2人の会話劇ながら、マダムの記憶、そして美しいパリの街並みが重なり、視覚的にも話の展開的にも閉塞感を感じさせません。 パリという狭いエリアのロードムービー以上の奥行きと深みが感じられました。 マダム、とても品があってチャ

          「パリタクシー」

          「CHRISTIAN DIOR DESIGNER OF DREAMS クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」

          おはようございます お元気でお過ごしですか? 昨日、念願のディオールの展示に行ったのでその感想を。 企画の正式名称は、 「CHRISTIAN DIOR DESIGNER OF DREAMS クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」 もうね、素晴らしかったですね。 私はお洋服もおしゃれも好きですが、ファッションの専門家ではありません。 それでも、その濃厚で美しいものしかない世界にくらくら目眩がするような、幸せな時間でした。 まず、クリスチャン・ディオール氏の、女性に美しさ

          「CHRISTIAN DIOR DESIGNER OF DREAMS クリスチャン・ディオール、夢のクチュリエ」

          「午前4時にパリの夜は明ける」

          みなさま、おはようございます。 お元気でお過ごしでしょうか? 今日はフランス映画の話。 みなさんはフランス映画、馴染みありますか? そしてお好きですか? 私はクラシックなものから最近のものまで何度か鑑賞したことがあるのですが、ファッションやインテリアセンスはとてもおしゃれだなと思いますし、パリも郊外の様子も映像で見ても美しいなぁとは思うものの、映画作品としてはなにか感覚的にしっくりこず? 美学、人生論がフランスの方とそもそも違うんでしょうね。 映画と

          「午前4時にパリの夜は明ける」

          「高速道路家族」

          みなさま、おはようございます。 お元気でお過ごしでしょうか? 「高速道路家族」鑑賞してきました。 なかなか共感できる人物がおらず(苦笑)、楽しめはしましたが2時間観るのはきつい感覚もあり。 救いようがなく、最終的に破滅的な行動をとってしまう父親が強調されていましたが、そこに情を抱いてしまう妻もちょっとあれなんじゃないの?とか。(最終的には決別してましたが) 中古家具屋のご婦人も、人助けが自分の魂の救いになってしまっているところがあって、その依存は大抵の場合自分

          「高速道路家族」

          「くるみ割り人形」

          みなさま、おはようございます。 昨日に続いて今日は映画館で観たバレエ作品の感想を。 2月にイギリスロイヤルバレエ団の「くるみ割り人形」を鑑賞しました。 チャイコフスキーの「くるみ割り人形」はバレエファンにとっては古典中の古典。 この曲を聞かないと年を越せないくらいの感覚でしょうか(笑) かく言う私も、小学生時代から高校卒業まで、毎年12月には通っていたバレエ教室の本体のバレエ団の公演に駆り出されていましたから、「くるみ割り人形」は細胞レベルでなじみ深い作

          「くるみ割り人形」

          「マノン」

          みなさま、おはようございます。 お元気でお過ごしでしょうか? 今日は年始に鑑賞したパリオペラ座バレエ団の「マノン」を収録したバレエの感想を。 もっぱらイギリスロイヤルバレエ団の映像や情報を観ることが多いので、パリオペラ座の作品は新鮮でした。 「マノン」はフランスのお話なので、その作品をパリのバレエ団で上演するというのは至極しっくりはまりました。 台詞がもし聞こえたとしたらみんなフランス語なんだろうな、というのが視覚的にも作品の世界的にもまったく違和感ない感じ。

          「マノン」

          自分のことを語れるか

          みなさま、おはようございます。 今日は、前から考えていたことの話。 それは、自分のことを自ずから口に出すのが苦手、自分を主語にして話すことに抵抗がある件、です。 これがすごい上手というか、上手とまでいかないでも抵抗のない人がいる。 私はすごく苦手。 特に、がんばったこと、努力して成果を得たこと、ずっとこつこつ努力(努力と自覚していないこともあるけど)の話は苦手。 損だなと思うのは、会社の評価や査定面談のとき。 自分の1年間のがんばったことをアピールで

          自分のことを語れるか

          「the SON 息子」

          おはようございます。 お元気でお過ごしでしょうか? 今日は先日見た映画、「the SON 息子」のお話を。 冒頭シーンでヒュー・ジャックマンの甘さ(スィートネスの方ね)の印象が鮮烈だったので、家族の心温まる話かと思いましたが、内容はけっこうシリアスで。 10代・思春期が一般的に抱える行き詰まり、生きることの難しさ以上のものを内に秘めた息子。 彼を中心に据えた父、実母、義母のちょっとずつお互いに居心地の悪い関係性。 アンソニー・ホプキンス演じる父を訪ねる場面の

          「the SON 息子」

          「AIR」

          みなさま、おはようございます。 今日は昨日観た映画の話を。 「AIR」とても面白い映画でした。 1980年代、エアジョーダン発売前、まだ中堅時代のNIKEを舞台にした話。 (ちなみ当時のシェア1位はCONVERSE、2位はADIDAS) バスケットボール、NBA、スニーカーやスポーツ用品ブランドに詳しくないんですが、この映画はとても楽しく拝見できました。 なぜなら、この映画、バスケットボール史映画にあらず、ビジネスの映画なんです。 エアジョーダン発売

          「Everything, Everywhere, All at Once」

          みなさま、おはようございます。 今日は本年のアカデミー作品賞受賞作品「Everything, Everywhere, All at Once」について。 好きな人、苦手な人、理解に悩む人、いろんな評価があるようですが、私は嫌いではありませんでした(笑) いろんなメタバースを同時に行き来するので、とにかく情報が多い。 また、日常と非日常の会話や現象が見慣れた光景の中で交差するので、主人公同様、最初はかなり混乱しました。 でもそのスリリングさ、視覚的なエンタ

          「Everything, Everywhere, All at Once」