しいたけ賞(仮)その23 気弱少女と機械仕掛けの戦士 作者 円宮 模人

本編URL

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前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的感想です。
例えそのような内容であろうと、作品の価値を定めるようなものではないことは予めご了承ください。

あらすじ

気弱少女は求人広告に騙された!

"誰でもできる"の謳い文句と高給に釣られて、主人公『アオイ』は開拓星ウラシェの巨大危険生物を人型兵器で掃討する武装警備員になる。期待とやる気とは裏腹に、ロクな訓練も受けないまま弾丸とモンスターがぶつかり合う戦場に迷い込み、待っていたのは借金返済もままならないブラックな日々。

だがある日、愛想&気遣いゼロの少年『ソウ』が現れた。彼に誘われて飛び込んだ新天地で待っていたのは……。

ドタバタお仕事モノであり、正統派バディ小説でもある凡人少女のSF新社会人物語 
ロボ+バディ+涙あり苦労あり(でもハッピーエンド)な凡人成長譚

ストーリーとかについて

何処か懐かしさを感じるSFロボット系ライトノベル。

巨大な人型ロボットに乗って、怪物と戦う系のロボットSF小説。上にも書いた通りお話の雰囲気としてはかなりラノベ感が強く、非常に読みやすい。

下読みということで最序盤、プロローグぐらいの長さなのだがその出来が非常にいい。

重すぎない世界観の解説、ちょっとした台詞や行動から読み取ることができる主人公の性格と魅力。
そして戦闘シーンの入れたうえで、もう一つの肝となる相棒との出会いまでをしっかりと書き切っている。

作品の形としては殆ど無駄がなく、かなり理想的な物語への導入といっていいだろう。

文字数辺りのテンポ感もよく、大きな事象が始まる前から見せ場や見所がちゃんと用意されているので序盤もダレずすっとストーリーに入っていくことができる。

またSF作品で懸念される設定の煩雑さや、専門用語によるとっつきにくさもかなり解消されており、そういう意味でもかなり親しみやすく入り込みやすい作品。

キャラクターとかについて

主人公がボクっ子である。
優勝。

最終評価(極めて個人的な感想)

文章

描写と台詞のバランスも良く、読みやすい。
本当に少し前のライトノベルといった感じで、書き込むところはしっかりと、そうでないところは割とあっさりとしていたりと情報の取捨選択がよくできている印象。

キャラクター

ボクっ子である。
それはともかくとして、まだ最序盤の短い間で主人公の性格や特徴、特技までをちゃんと書けており、解像度が高い。

構成

最序盤、プロローグとしては非常によくできた構成。
キャラクターの見せ場や、ストーリーの触り部分の説明など、物語への導入として充分な役割を果たしている。

設定

どうにも情報量が多くなりがちなSF設定は最小限に、それ以外の言語も直感的にわかりやすくなっているのは個人的に高評価。
そういった部分も踏まえて、かなりユーザーフレンドリーな作品。

総評

かなり骨太のストーリー構成と、SF要素。

それにわかりやすさも加えた極めて読みやすく入り込みやすい小説。
作品の雰囲気もシリアスでありながら何処かいい意味で気の抜けるようなシーンがあり、そういった部分もあって実にラノベ的で読んでいて疲れすぎない。

重厚さと物語としての親しみやすさの両立を果たした小説といえるだろう。

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