Web小説発掘記 その243 Re:LIFE 〜屠所ノ少女ガ願イシハ〜 作者 如月笛風様

本編URL

https://kakuyomu.jp/works/16817330668532672425

前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
※こちらは記事を書いた時点での最新話である『第二章11 『顕現する絶望』』までを読んでの感想、レビューとなります。

あらすじ

『異世界転生』――それは、幸せな言葉だ。
剣技や魔法の腕を磨いて冒険の旅に出かけたい。
親切な村人が住まう村でスローライフを送りたい。
そんな願いが叶う素敵な言葉。
辛い前世から目を背け、自分の『新たな人生』を歩むことができる、そんな幸せな世界。
――果たしてそれは本当だろうか?
五十州瑞香、この少女もまた、そんな妄想を繰り広げてしまう愚かな人間だった。
どこからともなく響いた無機質な声に導かれるまま、軽い気持ちで、しかし固い決意で、少女は『異世界転生』をすることとなる。
……少女は最後まで耐えられるのかな?
終わることの無い『新たな人生』に。

ストーリーと見所

こちらの作品、以前にもレビューさせていたでいてそれはこちら↓

とはいえまぁ、タイトルから二章以降の展開まで何もかも変わっているので、ほぼ別物といってもいい。
一応それを踏まえたうえで個人的な好みをいうのなら、改稿後のつまり今作の方が好みかも。

で、それはそれとして物語としては不幸な身の上の主人公が異世界転生(どちらかというと転移?これは作中でも疑問になっていた)をして、そこでもまた苦難……というかほぼ理不尽な不幸にあうというもの。

以前のレビューにも書いた通り、物語としてはダークファンタジー感が強く、主人公の女の子がとにかく嫌な目にあいまくる。

ちょっと一息つけるような空気になったと思ったら、そうはさせないとばかりに再度不幸が降りかかるのは最早芸術点すらあるといっても過言ではない。いや、やっぱり過言かも。

――で、まぁこちらの物語なんだけど個人的には文章も読みやすいし別に暗い話とかも読んでて辛くなってしまうタイプの人ではないので割と好みではあるんだけど。

作品としての評価はかなり未知数な部分がある。

というのも、ストーリーの流れ自体は個人的にはとても面白いと思うし大きな問題はない。

問題はないのだが、導入部分で恐らくは少し先の未来を語っているので、結局のところその時点までの彼女が辿る運命というのがある程度予想がついてしまっているのだ。

折角登場人物がどうなるのかが特にわからなくなるような話作りをしているのに、これはどうにも勿体ないように思える。

じゃあそれが全部悪いかというとまた別の話。
結局それがストーリーの結末なのか、それとも単なる途中の話を先に語ったのかは所詮一読者である筆者にはわからない。

そういった意味も含めて未知数。
この作品が真の評価を受けるのは、恐らくは完成したそのときになることだろう。

キャラクター

五十州瑞香

物語の主人公。
色々と不幸な身の上で、異世界転生という題目で様々な世界を渡り歩く……多分。

その先でも色々と不幸な目にあう可哀想な子。何やら不思議な力を身に付けたりもしている。

字の文で名前が書かれず『彼女』と表記されることが多きような気がする。果たして仕掛けなのかそれとも……。

総評

評価点

文章表現は素晴らしいの一言。
心情、情景共に描写力が高く、物語の中に引き込むための確かな力を持っている。

物語としても、上に書いた通りある程度先の展開が示唆されているとはいえやはりどうなるかわからない部分は多い。

主人公が最後に幸福になるのか、それとも不幸の底に沈むのかがわからないというのは、それを知るために先を読み続ける理由としては充分だろう。

問題点

上にも挙げたように、良くも悪くも未知数。
終わってみるまでどうにも評価が難しい。

これは問題点とは少し違うかも知れないが、人によってはその辺りを理由に忌避してしまうところもあるだろう。

また作風の関係上、世界を渡るのでどうにも地に足がついていない感があるのは否めない。
この辺りは作劇の技量云々ではなく、作品の方向性的に仕方がない部分ではある。

現時点では主人公が不幸になる話というのはわかっても、何をする話何かがどうにも伝わってこない。

最終評価 53点(Web小説としては充分な良作)

いい意味で未知数な部分が強い作品。
彼女に降りかかる試練の先に果たして何を得るのか、それとも何も残らないのか。

どういう結末であろうとそれは読み続けた読者にとっては衝撃的なものになるであろうことが予想できる。

全体的に雰囲気が暗いが、これはこれで癖になる良さがある。
文章表現も素晴らしく、読者を引き込む確かな力を持った作品であることは間違いない。

暗い話が好きな人には特に、是非読んでもらいたい作品。

所要時間は『第二章11 『顕現する絶望』』までで凡そ30分ほど。


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