激辛Web小説発掘記 その25 銀翼の遺産を求めて 作者 @rose-k946様

本編URL

https://kakuyomu.jp/works/16818093074048970005

前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
※こちらは記事を書いた時点での最新話である『14.自由な心は、きっと生きている』までを読んでの感想、レビューとなります。

※注意

こちらはかなり辛口なレビューとなります。用いる言葉なども読んだ人が不愉快になる恐れのあるものが使われる可能性もありますのでご注意ください。
またこれらの記事は特に筆者の感性や感想が強く出たものとなっています。

誰が読んでも必ずしも同じような感想を抱くわけではないので、この記事が作品を選ぶ基準とはなりえないことをご了承ください。

あらすじ

『人器』…それは、忘れられた英雄達の力を宿す聖遺物。
 世界には数多の人器が存在しており、所有者はその力を行使する権利を得る。
 空を舞う英雄の人器。それは、『銀翼の遺産』と呼ばれ、天空を支配する力として特別視されていた。
 その遺産の在処は誰も知らない。誰もが必死に探していた。

 自由を求める少年『蒼空(ソラ)』もまた、『銀翼の遺産』を求め旅に出る。
 しかし彼には、人器に宿る英雄の記憶を呼び覚ます、彼だけの不思議な力が眠っていたのだ。
 
 これは、旅を続け人器を集める少年が、忘れられた英雄たちの人生を尋ねる物語。

ストーリーと見所

銀翼の遺産と呼ばれる、空を支配する力を持った人器を手に入れるために、一人の少年が旅立つ。

冒険と出会いと、そんな様々なロマンを詰め込んだ壮大なファンタジー……。

と、少年少女紳士淑女、誰もが憧れる冒険と人との出会いによって紡がれる壮大なストーリー。
あらすじにあるように、人器の中には英雄の人格が封印されており主人公はそれらを集めてその力を使いながら旅をするのが今のところの流れとなっている。

そしてその一つ一つにエピソードが用意されており、彼等との出会いが物語の主軸となる。それによって、主人公が少しずつ成長していくのも見所といっていいだろう。

と、まぁ手放しに褒めたたえたいところではあるのだが、じゃあ問題が全くないかといわれるとそうでもない。
一先ずはストーリーの構成、こちらが些か……いや、かなり厳しいものとなっている。

最序盤に主人公が仕事をやめるところから始まり、そのまま人器の力を使って冒険に出る。
最初からその力をもっと有効に使ってれば色々と捗ったのでは?
そして謎の遺跡に突入からの撤退からの再突入からのお宝発見!
かなりのスピード感。
いや、別にそれは悪くはない。悪くはないのだが、どうにも物語の方向性が把握できない。

チート能力で無双がしたいのかと思いきや、そういうわけでもない。
冒険させたいのかと思ったら、遺跡パートは割とすぐに終わる。
主人公はやたら独り言を喋る。
……と、どうにも展開ばかりが先走っていて置いてけぼり感が凄い。

ただまぁ、その疑問自体は割と早く氷解していく。
妖精の村的なところに辿り着いて、自分が持っていた人器の中に封じられていた妖精王との会話、そしてそこで会った出来事などを語られるにつれて次第にこれがどういった物語であるのかが伝わってくる。

いや、あらすじに書いてあるんだけどさ。

そこで語られるエピソードは、割と普通に面白い。
それを読んでようやく、「ああこういう物語なんだな」と納得することができる。

……なので余計に序盤のあれこれが気になって、惜しいのだ。

というかこの物語全体が惜しい。
割と妖精王編(勝手に名付けた)からはストーリーに芯が通って、文章も読みやすくなっていく。話の方向性も理解できるから、読んでいて焦点が当てやすくなって物語自体の明度も上がっていく。

だからこその最序盤……!
なろう系なのかファンタジーなのか、どっちつかずな序盤が惜しい……!

キャラクター

蒼空(ソラ)

物語の主人公。
何処かあどけなさが残る少年で、作中の立ち振る舞いも子供っぽい面が目立つ。

そして登場人物が彼だけのときは独り言が多い。

総評

評価点

ストーリーが軌道に乗ってからは、かなり読める。
やりたいことも明確で、そこに付随するエピソードも読んでいてなかなかに面白い。

人器に封じられた、忘れられた英雄の謎など世界観自体にワクワクさせてくれる要素が多く、純粋に続きが気になる点が多い。

問題点

最序盤のふんわり感の所為で、物語の方向性が掴みにくい。

特に人器については、物語の謎として取っておいているのかも知れないが、重要性や世界観との関係も今一伝わってこない。

また物語としては芯が通るが、妖精王編にしても基本的にはただ喋っているだけで終わってしまうので、その辺りはもっと印象的なエピソードが欲しかったような気がしないでもない。

最終評価 48点(普通に楽しめるWeb小説)

主人公が色々な場所を旅して、そこで出会った人物達と絆を深めたり彼等の話を聞いたりするのが主となる物語。

序盤は面食らうかも知れないが、途中から小説のコンセプトを理解してからが本番。

物語自体はそれなりに読んでいて味わい深いものがあり、少年の旅路が何処に向かいどのような結末を迎えるのかが非常に気になるような作りとなっている。

少々荒い部分が目立つが、同時に大きな可能性を感じる作品。

所要時間は『14.自由な心は、きっと生きている』までで凡そ30分ほど。

極めて個人的な感想

作品のコンセプトなどは非常に面白い。
世界観も印象的で、先への期待を感じることができる。

なのだが、どうにも作品世界やキャラクターへの解像度が今一つ。
エピソードに関してもとてもいいものだとは思うので、もう少し一つ一つを丁寧に描いてほしかったところ。

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