しいたけ賞(仮)その7 令和の中学生がファミコンやってみた 作者 矢木羽研(やきうけん)様

本編URL

https://kakuyomu.jp/works/16817330655818010888

前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的感想です。
例えそのような内容であろうと、作品の価値を定めるようなものではないことは予めご了承ください。

あらすじ

令和5年度の新中学生男子が、ファミコン好きの同級生女子と中古屋で遭遇。レトロゲーム×(ボーイミーツガール + 友情 + 家族愛) 。懐かしくも新鮮なゲーム体験をあなたに。ファミコン世代もそうでない世代も楽しめる、みずみずしく優しい青春物語を目指します! 

ストーリーとかについて

中学生とレトロゲーム、それに更に青春物語や家族とのあれこれなど様々な要素が足された青春レトロゲーム小説。

こいつが染みる……!
懐かしのゲームが、染みる……!
少年少女の甘酸っぱい恋愛模様が、染みる……!

で、ビールが……!!

と、冗談はさておいてまぁ、内容としては上で語った通り主人公の少年の、レトロゲームプレイを中心とした日々の暮らしを描いていくといった感じの小説。

舞台は現代というか、タイトルにある通り令和。スマホなんかもあるような世界観で、敢えてレトロゲームをプレイする。

そこから見えてくる当時の景色や、今と昔の違いなど、何処かノスタルジックな空気が漂う作品。その中で、今も昔も変わらないちょっとした恋模様が染みる……ってのはもういいとして。

物語を構成する要素の噛み合いが素晴らしく、レトロゲームから父と子の会話。そこから気になる女の子と仲良くなるまでのあれこれや、それを中心に少年の世界が少しずつ広くなっていくのが実に丁寧に書かれている。

それらの要素がお互いに少しずつ作用しており、ストーリーの一体感が凄い。

そして何よりも特筆したいのが、要所でも触れられている通り作者さんがプレイしながら丁寧に書き起こされているゲームのプレイレポートだろう。

そこに上手く少年らしい考えや意図を足したり、更には父親からのアドバイスという形でプレイの方向性を決めたりと、実に面白い試みが設けられている。

最初のタイトルであるFF1は筆者はプレイしたことがないし、何なら世代でもないのだが、少年が試行錯誤しつつ楽しんでプレイしてる様子が伝わってくる。

そういった様々な要素が実に、心に染みる作品なのである。

キャラクターとか

所謂ライトノベル的な小説ともちょっと違うんので、当然それほど強烈ではないが、等身大の実に『らしい』少年少女が描かれていて作品の雰囲気を上手く演出できている。

最終評価(極めて個人的な感想)

文章

一人称で実に読みやすい。
ゲームプレイ部分に関しても読んでいてゲームのイメージが伝わってくるなど、この辺りに関しては普通に凄い。

キャラクター

一人一人が丁寧に書かれていて、作品に上手く噛み合っている。

構成

基本的にお見事でいうことはないのだが、少しばかり要素が多いような気がしないでもない。

設定

令和の少年がレトロゲームをプレイしつつ、それを通して人と交流していくというコンセプトは個人的には素晴らしいと思う。
勿論それに関しては筆者がある程度ゲームを好んでプレイする人間だからというのもあるが、そういうのを含めて個人的な感想なのだ。

総評

レトロゲームの紹介作品としても、青春恋愛小説としてもよくできた良作小説。

レトロゲームを通して少しずつ距離を縮めていく主人公とヒロインとのやり取りは実に甘酸っぱく、脳と胃に優しい味わいがある。

ゲームプレイに関しても一人称視点による少年の感想を交えながらプレイしてくれるため、知らないゲームでもある程度は楽しむことができる。

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