しいたけ賞(仮)その20 リーレニカの壊れた世界 作者 炭酸吸い様

本編URL

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前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的感想です。
例えそのような内容であろうと、作品の価値を定めるようなものではないことは予めご了承ください。

あらすじ

 “マシーナウイルス”という寄生細菌に侵され、怪物へ変異する病に侵された人類と、変異者を討伐するためにウイルスを技術転用して作り上げられた“デバイス”が流通する世界。
 諜報員の少女リーレニカは、単身である国が隠し持っているとされる古代兵器――“生体型デバイス”を盗み出す任務に就いていた。花屋を経営する年下の少女フランジェリエッタの下で、共に働きながら情報を集める日々。
 そんな中、とうとう国内で発症者が現れ、リーレニカは正体を隠しながら殺害を演じる羽目になる。

 それだけでは留まらず、『特殊な花』を取り扱う生花店には、マシーナに魅入られたワケありの来客が後を絶たず――。

 〈感染〉と〈隠密〉が交差するスパイファンタジー。

ストーリーとかについて

ファンタジー世界にSF要素がプラスされた、ファンタジーSFとでも呼称できるような独特な世界観が魅力的な小説。
文体や雰囲気は全体的にラノベ的で、無感情(?)なスパイの少女が物語の主人公となっている。

こちらの小説、軽く読んだ感想としては普通に面白い。

面白いは面白いのだが……というのが正直な感想。

実際、送っていただいた際のメッセージを読むに若干スロースタートな部分があるような感じではあったので、その辺りに関しては何とも言えない部分ではある。

取り敢えず触りの部分の印象としては、全体的なごっちゃり感が気になるところではある。
用語が頻出するため、どうにも序盤は物語が頭に入ってこない。

この辺りはストーリーの展開的に敢えてなのだろうが、主人公の感情や目的が見えずストーリーのどの部分を楽しめばいいのかが不明瞭。

それに加えて幾つかの事件が並行して進んでいるような形で……まぁ、この辺りはひょっとしたらラストに綺麗に収束させてくれるとしても、どうにもごちゃついている。

ストーリーやキャラクター、世界観はかなり凝っているし、明らかに魅力的であるので続きでどのぐらい盛り上がってくれるかが楽しみな作品。

キャラクターとかについて

ある程度は狙ってやっているところもあるのだろうが、全体的に薄味。

最終評価(極めて個人的な感想)

文章

基本的には読みやすい。
読みやすいのだが、時折誰が喋っているのか迷子になることがあった。

キャラクター

主人公が少し薄味なのが気になるところ。
現状では謎が多く、何のために何をしているのかもふんわりとしか伝わってこない。
後半に備えての演出的な部分もあるので、一概に悪いというわけではないが……。

構成

後半に爆発させるための伏線張りなのか、用語やキャラクター同士の関りがごっちゃりとしている。

正直なところ3万文字を読んだ時点では、この物語が何をする話なのかはあまり理解できなかった。
え?読解力の問題?まぁ、それはそう。

設定

世界観、主人公周りの設定にはかなり力が入っているのは見て取れる。
独自の用語が使われて、作品の個性に一役買っている部分もあるだろう。SF色のあるファンタジーというのもまた、読んでいてワクワクする。

総評

伏線や後半に対しての「溜め」のような部分が散見される小説。

この辺りは小説自体の問題というよりは、下読み3万文字の問題という方が正しいだろう。

文章はかなりしっかりしているし、設定にも力が入っているのは見て取れる。

後半でそれがどのぐらい爆発するかが楽しみな小説といったところだろうか。

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