Web小説発掘記 その250 削ぎ取られた世界〜その選択は正しいのか?〜 作者 縁田 華様
本編URL
https://kakuyomu.jp/works/16817330650424955172
前書き
この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
※甘口記事です。
あらすじ
「私」は、ある時人類が生まれなかった筈のパラレルワールドへ行ってしまう。そこには「削ぎ取られた人」と幼い見た目の科学者が暮らしていた。
ストーリーと見所
『私』と一人称で語る人物が主人公の小説。
彼女(?)が目覚めた世界は一人の科学者が作り上げた楽園だった。
争いもなく、生活に必要なことは全てロボットがやってくれる。暮らしているのは少女ばかりで、若くして死んでいく。
死ぬ前にコピーを生み出すから人の数は増えもしなければ減りもしない。
そんな不変の楽園について語られた小説。
凡そ世の中の悲劇と呼べるものが存在せず、全てが平等な世界。
それに対しての問いかけのような小説でもある。
果たしてそれを楽園とみるか、それともまた違うものに見えるかは読者次第というところだろう。
キャラクター
私
物語の語り部。
この世界の外から来たらしく、ある人物から世界の説明を受けることになる。
シンディ
この世界を作った科学者。
世界の中で彼女だけが自我を持っており、その管理のために生きている。
物語の多くは彼女からの世界の説明になっていて、その思想に対してどう思うかが問いかけられることになる。
総評
評価点
所謂楽園や天国を作ろうとするとこうなるよねといった思考実験小説。
争いや飢餓のない世界、何もしなくても生きていけるその場所は何処か無機質で物悲しく語られ、果たしてそれが正しいことなのかと考えさせられる不思議な物語となっている。
問題点
特になし。
最終評価 XX点(甘口なので点数はなし)
読者に問いを投げかけるような小説。
最後に登場するある人物達が語る通り、その世界は一見すると素晴らしいものではあるが決して全ての人間が肯定できるものではない。
科学者自身の私利私欲でもなく、本当に善意のままに楽園を作ろうとしてそうなってしまったあたりに色々と考えさせられるものがある小説。
所要時間は凡そ5分ほど。
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