Web小説発掘記 その244 終焉の謳い手〜破壊の騎士と旋律の戦姫〜 作者 柚月 ひなた様
本編URL
https://kakuyomu.jp/works/16817330662008261469
前書き
この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的意見です。
評価の基準としては200円~700円前後の書籍を購入し、読んだものとして付けさせていただきます。そのため基本的には厳しめとなります。
※こちらは『第一部 第三章 動き出す歯車 『幕間 不穏の影⑥』』までを読んでの感想、レビューとなります。
あらすじ
理想郷、惑星アルカディア。
この星は創世の時代、創造の女神が創ったと言われている。
世界樹が生み出すマナにより自然も資源も豊かで、魔術とマナ機関が発達した世界。
だが現状は——絶えず起こる争いと魔獣の出現、マナ欠乏症に悩まされており、理想郷とは程遠い状況にあった。
混沌とする世界で、エターク王国の騎士ルーカスは詠唱士(コラール)イリアと出会う。
そして、記憶喪失となった彼女との邂逅こそ、真実へと至る鍵だった。
ルーカスは蔓延る脅威と渦巻く陰謀に巻き込まれて行き、やがて世界の真実へと触れた時、知る。
——待ち受ける残酷な運命を。
これは剣と魔法、歌と愛が紡ぐ、救済と終焉の物語。
バトルあり、恋愛あり、様々な人間模様が展開される、ダークでスイートで濃密なファンタジーの世界をお楽しみ下さい。
ストーリーと見所
前回のレビュー記事はこちら↓
割と語りたいことは上のレビューで語っているので、内容としては結構重複します。
物語としては女性向けのファンタジー。
軍人である主人公と、記憶喪失のヒロインが出会い二人が心を通わせていく過程とその間に起こる騒乱や陰謀を描いている。
バトル描写にもかなり力が入っており、戦闘描写はかなり秀逸。
それに加えて出てくる用語も中々に中二病感を(いい意味で)くすぐられるようなものとなっている。
作中の登場人物が多かったり用語自体もかなりのものなのだが、その辺りも心配ご無用。
章の最後にはキャラクター紹介と用語辞典が用意されているので、迷う心配もない。
とはいえキャラクターはともかく、用語に関してはそこまで複雑すぎるというほどでもないので割と感覚で理解することができるだろう。
三章ではいよいよ物語が動き出し、ヒロインの記憶も戻ってくる。
そしてそのうえで主人公とヒロインが急接近するが、一筋縄ではいかないような事情もあったりと物語としてはいい感じに盛り上がっては来ている。
特にどうしても人物紹介的な面が強かった一章や、その延長線上にあった二章と比べて大分ストーリーに動きがあったのは素直に読んでいて楽しめた。
主人公とヒロインの恋愛描写は甘く、戦闘は激しく。
そして多くの人達の策謀が交差するパートは何処か不気味さがあったりと、一つの作品とは思えないほどに様々な空気を味わうことができる。
キャラクター
ルーカス・フォン・グランベル
主人公。
頼りになるイケメンであり、作中でも文武両道な活躍を見せる。
特に戦闘面では描写も相まってかかなり頼りになる部分が見え、主人公として充分な活躍を見せる。
その中でもどうしてもヒロインに対しては奥手になってしまい、周りの人達にからかわれたりするのもキャラクターとしての魅力に一役買っている。
イリア・ラディウス
ヒロイン。
記憶喪失だったが、三章で少しだが戻ってきた。
恋愛パートでの可愛らしさは勿論のこと、三章では主人公との共闘でかなり熱い活躍を見せてくれるのもいいところ。
総評
評価点
文章力が非常に高く、読みやすい。
それによって戦闘シーンは格好良く、恋愛シーンは甘く可愛らしくと、どちらも強く強調されて印象に残るものとなっている。
かなり力が入った作品世界も魅力の一つで、情報としても邪魔にならずむしろ作品を盛り上げる材料としてこの上ない役目をはたしている。
いざわからなくなっても用語辞典があるのも、実にありがたい。
問題点
やっぱりキャラクターが少しばかり多い。
メインキャラクターは把握できているので大きな問題というほどでもないが……。
最終評価 54点(Web小説としては充分な良作)
戦闘も恋愛も、どちらも高いレベルで書かれた良作小説。
戦闘シーンでは主人公達の格好良さに見惚れ、恋愛部分ではヒロインと主人公の少し不器用だが互いを想いあう関係に悶えることができるようになっている。
特に三章からは物語も動き出し、少しずつ謎も解けてくるがまた次なる問題が浮上するなどいい意味で物語が脈動していく。
一章を読んで気に入った人ならば、そのまま読み続けても全く問題がない出来となっている。
所要時間は『第一部 第三章 動き出す歯車 『幕間 不穏の影⑥』』までで凡そ1時間30分ほど。
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