しいたけ賞(仮)その11 深きダンジョンの奥底より 作者 ディメンションキャット様

本編URL

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前書き

この記事は作品のネタバレを含みますのでご注意。
こちらの記事はあくまでも筆者の個人的感想です。
例えそのような内容であろうと、作品の価値を定めるようなものではないことは予めご了承ください。

あらすじ

突如出現したミノタウロスによってダンジョン1層にして仲間を失い、上層への道すら閉ざされた主人公リューロは、2層でシズクと名乗る転生者と出会う。いつの間にかリューロに与えられていた[転生者の篝火]という称号が2人を出会わせたのだ。
シズクとリューロはお互いダンジョンを無事に脱出するため、協力し合うことになる。
これは『超回復』という強力な転生者特典を持つシズクとリューロが助け合う王道ダンジョン冒険譚である。

── 否、違う。

リューロに与えられた称号[転生者の篝火]、それは転生者が死ねばその転生者特典はリューロに引き継がれるという恐ろしいものだった。リューロはダンジョンを潜る中で、運命的に幾人もの転生者に出会い、絆を深めるが、しかしその者らはみなリューロにその力を託し、この世を去っていってしまう。
故に力を託され、たった1人残されたリューロはダンジョンを潜り続ける。

100年前の隠された真実とは? リューロの身柄を狙う各国の思惑は? 転生者はどうしてこの世界に転生してきた? ダンジョンを潜り、新たな転生者と出会う度に浮かび上がる真実。
これは陰謀と絶望の帰還譚である。

ストーリーとかについて

異世界転生者が死亡することで、その人物が持つ強力な『スキル』を手に入れることができるスキルを持った主人公が、様々な陰謀に翻弄されながらもダンジョンを進むダークファンタジー(多分)作品。

異世界転生者はいるが、主人公は現地人というちょっと珍しい設定の作品。

で、まぁ……結論からいえばこちらの作品は割と読みやすくて面白い。

行きつく間もない怒涛の展開が繰り広げられる序盤や、少しずつではあるが確実に強力なスキルを身に着けていく主人公。

そして彼を取り巻く様々な国の陰謀など作品自体の見所が多く、今後主人公がどういった道に進んでいくのかと期待感に溢れるような内容となっている。

と、まぁメインのストーリーラインとしてはかなりいい感じなのだがそれ故に個人的には残念な点もそれなりにあったりもする。

戦闘シーンに関してはスキル名を叫ぶのが基本となっており、一応効果は説明されるが中には読んでいて「なんのこっちゃ?」となるようなものも幾つかあったりもする。

また良くも悪くも『なろう系』の範疇であり、別にそれ自体は悪いことではないし作品としては楽しい要素ではあるのだが、主人公の性格や舞台設定などどうにも説明不足な点が目立つ。

ただこの辺りに関してはあくまでも序盤の印象なので、ここから挽回する可能性は充分にあり得る。
なんにしても、読んでいて先の展開に興味を惹かれる作品であることに間違いはない。

キャラクターとかについて

こちらもまぁ、良くも悪くもなろうテイストといったところ。
ある程度の方向性はあるが、基本的にパラメーターやスキルで読者に把握させるといったところだろうか。

最終評価(極めて個人的な感想)

文章

文章自体は割と読みやすい。
少し物足りなさもあるが、その辺りは作品の方向性から考えれば特に大きな問題でもないだろう。
戦闘シーンがスキル名の連発でちょっと面食らったが、こちらも作品のテーマ的にスキルが重要なので充分納得はできる。

キャラクター

取り敢えず最序盤の時点では少々物足りない。
特に主人公の人格面での描写が足りず、また活躍も少ないため物語の軸が掴めない。

当然今後活躍が増えていくのであろうが、できればもっと強烈な掴みが欲しかったというのが正直なところ。

構成

最序盤は読みやすく、展開も早くとてもよかった。
なのだがキャラクターの部分で書いたのと同じで、もう少し主人公についての描写が欲しかったところではある。

設定

主人公のスキル周りの設定や、世界観はとても魅力的。

総評

スキルや転生者など、なろう系でおなじみのテイストに少し暗めのオリジナリティを混ぜ合わせた、いい感じの作品。

主人公周りの描写や細かい部分など、気になるところが全くないといえば嘘にはなるが、物語の進め方など魅力的且つ今後が気になる要素が強い。

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