俺が必要だろ?
…俺は…幸せ者らしい。
何故か…俺の恋人は人気アイドルで
何万、何十万人いるファンが恋人に
なりたがってるなかで選ばれたから。
ガチャ……
〇〇:あ、おかえり!
??:あ〜…うん。
俺の恋人の冨里奈央。
中学校、高校での同級生で
その繋がりで付き合った。
俺の彼女は男装女子で…
アイドル活動もしている。
冨里:なっ…味濃ッ…なにこれ
〇〇:え?マジ?
いつも通りに作ったんだけどなぁ
冨里:"マジ?"じゃねぇし
俺、スタイルキープしてぇのに
なんでカロリー高いの出すの?
〇〇:ごめんごめん
冨里:はぁ……使えな………………
〇〇:……
冨里:俺寝るわ。片付けておいて
〇〇:おい…
冨里:あ?
〇〇:そもそも奈央が毎晩のように
飲みに行ってるから不摂生で
スタイルキープ出来なくなってんだろ?
それをこっちのせいにすんなよ
冨里:は?別に行きたくて行ってねぇよ
俺は稼ぎ増やしてお前の為に
行きたくもない飲み会行ってんだけど?
〇〇:別に俺は頼んでねぇ。
冨里:は?なにそれ。てか何急に
〇〇:別に急じゃねぇよ…
積もりに積もった不満が爆発しただけ。
冨里:何不満って。俺毎月〇〇に
小遣い渡してるじゃん
〇〇:使ってねぇよ。
ってかいらないって言ってるし
本当に奈央は自己中だし自己満だよな
冨里:は?
〇〇:"お前の為、お前の為"って
全部、奈央の自己満足じゃねぇかよ
俺は頼んでねぇって言ってんのに
それに俺に家事やらせて俺だって
仕事してんだよ俺は一人でも暮らs((
バシッ…(〇〇の頬を叩く奈央)
〇〇:痛ッ……
冨里:………
〇〇:…今のでわかった……
俺達、別れよ。
冨里:っ……
〇〇:何も言わないってことは
それでいいんだよな。
…ガチャ……バタンッ…
(部屋を出ていく〇〇)
冨里:……はぁはぁ。
お、俺…今、暴力を…振るったのか?
わ、別れるって?え?待って?
な、何が今起きたんだ?
…その日の早朝、俺は家を出て。
実家に向かった……
〇〇:こっちの方が近いし。いいか。
…俺の職場の保育園は
奈央と住んでる部屋よりも
実家の方が近いこともあり
実家に帰った。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
数日後……
〇〇:はぁ…荷物取りに行かないと。
…家を出てからは奈央とのLINEは
淡白なものだった。
…そんな僕とは対照的に奈央からの
LINEはかなり必死というか……
追いLINEをしてくるようになった。
…そして今日は、数日前に持ってき
忘れた荷物を取りに行く。
ガチャ……
冨里:お、おう!久しぶり
〇〇:……
(無言で奈央の横を通り過ぎ)
(自分の部屋に向かう)
冨里:お、おい…あ、挨拶くらい。
〇〇:……
(黙々と荷物を詰める)
冨里:ちょ。ういっ!
(〇〇の詰めようとする)
(Tシャツを奪う)
〇〇:っ……
冨里:あっ…こ、これ。
…奈央がたまたま取ったTシャツは
〇〇と奈央が二人でお揃いにした服……
〇〇:それ…
そっちで捨てておいてください。
冨里:……むり。
〇〇:そうですか…
じゃあ俺が捨てます。
(Tシャツを受け取ろうとする)
冨里:そ、それも…無理だからっ!
(服を抱きしめる)
〇〇:そうですか。
(バッグのファスナーを閉め)
〇〇:俺、行きますね。
(荷物を持って部屋を出ようとする)
冨里:ま、待てよ。
(〇〇の目の前に立つ)
〇〇:なんですか。
冨里:お、俺達もう一回やり直さね?
〇、〇〇ってさ俺がいないとダメだろ?
〇〇:それはそっちだろ?。
冨里:……そ、そうだよ?
だ、だから考え直してくんね?
お詫びになんでも買ってやるからさ!
〇〇:俺は…奈央がいなくても
生きてけるから大丈夫。
冨里:ほ、本当に待ってくれ!
お、俺が悪かった!!全部俺が!!
(〇〇の目の前で土下座する)
〇〇:家政婦でも雇ってください。
冨里:いやだ!!
お、俺は〇〇じゃないと…
〇〇:俺の知ったこっちゃない。
冨里:俺…〇〇がいないと
生きてけないんだよ…頼む…頼むから
(〇〇の足に縋りつく)
〇〇:離せよ……
冨里:うっ……も、もう!!
飲み会も行かないし!家事もする!
文句も言わない!!だから!
お、俺を……許して…くれませんか?
〇〇:わかりました。許します。
冨里:や、やった!な、なら!
〇〇:けど、別れますよ?
冨里:え、な、なんで…許したんじゃ…
〇〇:許したからって別れずに済む
そう思ったんですか?大間違いですよ?
俺はもう奈央とは一緒に居れない。
冨里:そ、そんな…
お、俺のどこが?どこが悪かった?
な、治すから!今すぐ治すから!
〇〇:別に奈央は奈央のままで
いいと思いますよ?…けど俺には。
扱いきれないよ……。
冨里:待って!待ってよ!
俺、〇〇のこと一番好きなんだよ!
ずっとずっと!これからも一生!!
〇〇:俺はもう…好きじゃねぇんだよ。
冨里:え……
〇〇:殴られたあの時から
俺の覚悟は決まってんだ。
冨里:そ、そのことは謝るから!
〇〇:どんなに謝られたってさ……
もう、過ぎたことは変わらないんだよ?
冨里:そ、そんな……グスッ
〇〇:奈央は…俺なんかより
良い相手いるから。な?
冨里:そ、そんなのいる訳ねぇよ!!
(泣きながら怒鳴る)
ガシッ…(泣き崩れる奈央の髪を掴む)
〇〇:お前がしでかしたんだ……
地獄見ろよ……
冨里:あ"ぁ"…!!
ガシッ…(お互いに髪を掴む)
〇〇:俺も…奈央と地獄見てや"る"……
パッ…(お互いに手を離す)
〇〇:きっと…俺らお互いに
数年後には新しい恋人がいるよ……
冨里:絶対作んねぇから…
俺は…〇〇以外の恋人なんかいらねぇ。
絶対にまた俺を好きにさせる…
〇〇:ふっ……待っててやるよ…
いつまでも…奈央のこと……
冨里:っ……
〇〇:んじゃ…俺はこれで。
さようなら。
━━━━━━━━━━━━━━━━━
七年後…
…母親が亡くなった…
原因は寿命だそう…俺が朝起きたら
母親は穏やかに眠っていた…
葬儀を行い…すぐに仕事に復帰した。
それから数日経った頃の午後…
園長:〇〇先生
〇〇:どうしましたか?
園長:玄関に"なお"って方が
〇〇先生に会いに来たって…
黒メガネにマスクしてたけど…
大丈夫?何かあったらすぐに
私達に頼っていいのよ?
〇〇:すみません…
大丈夫ですからご心配なく…
本当にすみません。
…誰が来たのかわかる。
自分を心配してくれる園長先生に
申し訳なさを感じながら玄関へ……
〇〇:……
冨里:ひ、久しぶり…
(メガネとマスクを外す)
〇〇:久しぶり…
数年ぶりに何か俺に用でも?
冨里:……おばさん…亡くなったんでしょ?
〇〇:あぁ…
冨里:挨拶させくないか?
俺もお世話になったから
〇〇:だからって…
保育園まで来るなよ…ってか
よくここだって…
冨里:〇〇がここの保育園が好きで
ずっとここに居たいって言ってたし
もしかしたらってさ?
〇〇:はぁ…
俺まだ帰れないよ?
冨里:わかってる。
連絡先交換しに来たんだ。
〇〇が勝手に電話番号変えるから…
〇〇:あぁ……それもそうだったな。
……連絡先を素早く交換する…
〇〇:じゃ、俺仕事戻るから
園長:あ、〇〇先生
〇〇:はい!
園長:今日はもう帰って大丈夫よ!
〇〇:え、でも…
園長:あの人〇〇先生の大切な人
なんでしょ?
〇〇:っ……
園長:ふふっ…〇〇先生!
〇〇:は、はい!
園長:今目の前にいる人を
大切にね!
〇〇:はい!
……冨里に電話をし呼び出す…
冨里:早かったね。
〇〇:園長先生が気を使ってくれたんだよ
(そう言って歩き出す)
冨里:そっか…
〇〇:今の奈央は
トゲが無くなったって感じだな。
冨里:まぁ。7年も経つとね?
〇〇:そうだな……
冨里:なぁ…〇〇俺さ((
〇〇:家着いた。
冨里:あ、うん…
……家に入る…
二人手を洗い…〇〇の母の仏壇へ…
チーン…
冨里:っ……(手を合わせる)
〇〇:っ…(冨里の横で手を合わせる)
冨里:お久しぶりです…おばさん。
俺、冨里奈央です。
〇〇:……
冨里:怒ってますよね…
〇〇のこと傷つけて……
〇〇と付き合う時に俺がおばさんに
"〇〇は俺が幸せにします"なんて
言ってしまって……
〇〇:え…そんなこと言ってたの……?
冨里:まぁな…
実際には幸せに出来なかったけどな…
〇〇:俺…飲み物取ってくる。
(そう言って部屋を出る)
冨里:おばさん…怒るだろうけど…
俺にもう一度だけチャンスくれない?
…………リビングにて…
〇〇:ん〜。なぁ、奈央
冷たい麦茶しかないけどそれでi((
ギュッ…(〇〇を後ろから抱きしめる奈央)
冨里:俺さ…この7年間…
ずっと〇〇のこと思ってた……
〇〇:やめろ…もう俺達は終わったんだよ
冨里:俺は終わってねんだよ……
俺は俺が幸せになるために
〇〇と付き合いたいし結婚したい
〇〇:は?
冨里:俺さ、この7年間
自分の為だけに生きてきた。
そしたら…俺の行動の中心には
〇〇が常に居たんだ…
〇〇:な、なんだよそれ…
冨里:〇〇に見られるように
色んな雑誌にもテレビにも出たんだぜ?
〇〇の周りに俺が溢れるようにって…
〇〇:っ……
冨里:笑ってくれよ…
俺…マジで〇〇がいないと
生きていけないんだぜ?(苦笑)
〇〇:お前のせいだったのかよ……
冨里:え?
〇〇:そのせいで…
お前が…奈央のことが……
忘れられなかったんだよ…
冨里:ふっ…俺の作戦勝ちか?
〇〇:あぁ…そうだよ。
冨里:そっか……
おばさんが亡くなったとき…
すぐに来れなくてごめん…
〇〇:っ……
冨里:葬式…参加したかったけど…
忙しくて…ごめん…本当にごめん……
〇〇:うっ……グスッ
辛かった、寂しかった、苦しかった…
遅いよ…俺の傍にいてくれよ…
(震える声で呟く)
冨里:ごめんな…ギュッ
(もっと強く抱きしめる)
〇〇:俺…奈央のこと…
あと少しでも遅かったら…
本気で嫌いになってたからな……グスッ
冨里:わかってる…ごめん……
〇〇:来て…れて…嬉し……た……
(声が小さく聞こえない)
冨里:ん?なんて?
〇〇:だ、だからっ!
(奈央を振り抜け顔を合わせる)
〇〇:来てくれて!……嬉しかった!
冨里:ふっ…ふふっ……//
なぁ…〇〇……
〇〇:な、なんだよ…
冨里:俺と…結婚してください!
〇〇:……
冨里:な、何か言ってよ…
〇〇:もう…俺の許可なしで
飲み会に参加しませんか?
冨里:もちろん!
〇〇:もう…俺の味付けに
文句つけませんか?
冨里:どんな味でも飲み込みます!
〇〇:もう二度と…俺を悲しませんか?
冨里:二度としません!!
〇〇:もう…俺から一生離れず…
一緒に居てくれますか?
冨里:もちろん!!絶対に離れない!!
ギュッ…(〇〇を勢いよく抱きしめる)
〇〇:うぅ……グスッ
冨里:なぁ…俺が絶対に〇〇を幸せにする
だから…〇〇は俺の事を絶対に
幸せにしてくれるか?
〇〇:うん!絶対に…絶対に奈央は
俺が幸せにするから!!
冨里:ふふっ…//
じゃあ…早速だけど婚約届けを
書いてもらおうかな?
〇〇:あ、あはは……(苦笑)━━━━━━━━━━━━━━━━
……それから数週間後…
マネ:はぁ…何してんですか?
冨里:別に?俺は恋人とデートしてた
それだけだろ?
〇〇:本当にすみません…
冨里:〇〇が謝る必要ねぇっての
マネ:冨里さんは有名なモデルでタレント
それなのになんでこうも週刊誌に
撮られるような真似するんですか!!
冨里:わかったわかった。
これからはちゃんとするって
マネ:とりあえず冨里さんは
自宅謹慎なので頼みますよ!
冨里:にししっ。
これで〇〇と長く一緒に居れるな
(こっそり〇〇の耳元で言う)
〇〇:っ……//
お家デートに限りますけどね。(笑)
マネ:あぁ!とにかくお願いしますよ!
……そう言ってぷんすかしながら
〇〇家を出ていったマネージャー…
ギュッ…(〇〇を抱きしめる奈央)
〇〇:ん?どうかした?
冨里:いやさ…復縁したはいいものの
ここ最近ずっと仕事ばっかりで
会えてなくてさ?俺も寂しいし
〇〇にも寂しい思いさせちゃったって
思ってさ?
〇〇:よくおわかりで…
冨里:だから…謹慎期間はさ
これまでの埋め合わせするから。
〇〇:ふふっ。楽しみにしてるわ
冨里:とりあえず今日はさ
ガバッ…(〇〇をソファに押し倒す)
〇〇:えっ…ち、ちょっと?
冨里:俺の体で埋め合わせするから
〇〇:だとしても…順序と雰囲気がn((
チュ…レロッ……ンチュ…//
(〇〇を貪るようにキスする)
冨里:ぷはぁ…はぁはぁ…//
〇〇:はぁはぁ…//な、なぁ…//
冨里:どうした?…//
〇〇:実際…俺…7年ぶりだからさ…//
や、優しくしろよな…//
冨里:わかってるよ…//
俺も7年ぶりだもん……//
〇〇:お互いちゃんと両思いかよ…//
冨里:俺の恋人は〇〇が最初で最後だから
けど、〇〇もちゃんと俺の事
待っててくれたんだな…嬉しい…//
チュ…(〇〇から軽く奈央にキスする)
〇〇:は、早く…お、俺をだけよ…//
冨里:っ……//〇〇…大好き…//
誰よりも〇〇のこと愛してるから…//
(〇〇を真っ直ぐ見つめながら言う)
〇〇:ふふっ…//
冨里:〇〇が俺には必要だ…//
(〇〇の胸に顔を埋める)
〇〇:わかったって…//
ナデナデ…(奈央の頭を撫でる)
冨里:んぅ…//〇〇にも俺が必要だろ?
〇〇:うん!俺も奈央が必要だし
奈央も俺が必要だもんな…//
って…言ってて恥ずかしいわ……//
冨里:ふふっ……//恥ずかしさが…
言葉の信用性を高めるんだよな〜…//
〇〇:もうわかったからぁ!
冨里:そんな痺れきらすなよ〜
ちゃんと俺が抱いてヤるから。
7年も経たないと気づけないほどに
自然と本能的にお互いを必要としてた
二人ならこの先も大丈夫。(多分)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
終わり。